洞窟編

第2話 自身を検証こった

 今は何事もなかった。

 動物や人々はそれぞれの活気で働いている。

 そのまいに、上空じょうくうにぽっかりと大きな穴が開いた。

 この世界にもブラックホールが出現した。

 

 「うわっああああぁ!!」

 

 目がくらみ、森と城が目の中でぐるぐる回った。

 身体が燃えるというのは、大気ではないだろう

 空から落ちてきて、火の玉になる。

 火流星ひりゅうせいみたいだ。

  

 「―じいいイ!!」

 「あ熱あ熱、やあ熱い~」

 

 この物辺へおちく僕があまりいないから、なにしろ地面に向かっているのだからざ。

 後の時間じゅう恐れるい。何かにぶつかりそうだ。

 減速げんそくして洞窟どうくつまで運び、強い衝撃しょうげきで木のとびらをへし折る。

 衝撃にうちは地面に大規模な損傷の跡が巻き起こる。

 

 「いやあ!」

 

 草を燃やし、土を崩し、岩を砕き、風を切って木を切り倒す。

 直径80センチの木製ドアは、そのままバラバラになっているらぅぅ。

 森の鳥の群れが威嚇いかくするように飛び立った。

 巨大的きょだいてきな音響が城内に響きわたった。

 城の王も、いや、全員の注目を集めちよ。

 穴の中に入ると、声が遠くなった。

 

 「えやえやえやー」

 

 何度もひっくり返った。

 水の中に落ちる。


 「まてまて!」

 「うぁ、やり過ぎではやすきるか」

 「このままじゃ障害者になったね、ぶ~」

 

 激しい衝撃で一時的なショックを起こすを受けた。

 イずっと横になったまま動かない。

 でそれた僕の意識が目覚めた。

 もう一度ねい、僕の名前は杉瀬吾です。

 37歳のサラリーマン。

 途中で突奇とちきな雷に撃ち殺たれた。

 よし、覚えてるよ。

 

 「今頃いまごろは異世界にいるだろう」

 「だが、ちょっと違いますねえ」

 「見えなるよ、他人たにんの誕生ポイント、もう一度僕のを見てごらんへぶ」

 「やば僕は僕なんだ」

 

 観察かんさつされて閲覧される

 ここは洞窟の中だ。

 なでがマジかよ。

 そこいちマジかて。

 環境かんきょうが新しいだから、まにトキトキである。

 落ち着け、落ち着け。

 環境、環境。やあ、さては無理よ。

 やぇ、僕は最悪だらね。

 やっぱり冷静になれなかったね、高校の時もそうだった。

 まあ。数学が苦手で、特に関数かんすうが苦手だ。

 

 「あった、知識を暗記するざ」

 「よし、それでいこう」

 

 実は、高校時代の彼が逆襲 《ぎゃくしゅう》して理科の覇者になったのは、その年だった。

 てれど、だから今の彼には無理だよじゃ、に忘れてしまったのだろう。

 これは僕が言ったこと、それは本当か?

 まが、それだけか?

 一次関数 《いちじかんすう》y=kx+b(k、bは定数、k≠0)で、xは自変数、yは変数だ。

 特に、酸と非炭酸塩酸が反応して生成される酸が溶液である場合、生成される塩は、沈殿 H2SO4+BaCl2=BaSO4↓+2HClの塩でなければならない!

 なんだ。これは化学だやあ。

 

 「ハアやぁ。覚えているなんて、よかったね」

 

 暗いここ。

 真っ暗で、何も見えない。

 いまで感じたことのない恐ろしい不安ふあんが胸の中にわき上がってきた。

 ここはどこだ? あらて、どうしたのこノ暗度あんたび

 唯一ゆいいつ覚えているのは

 確かに、あの神様だ、僕をが馬鹿にされたんだよ。

 考えるだけで頭が痛くなる。

 焦って、動いてみたくなって。

 

 「えつい、全体ぜんたいは⁇」

 「しかし、てしからきやえす重いる」

 

 どうしたに?

 そういえば、雷にち倒たれただけで、肉体にくたいが消えて転生したら、一体どうなるのだろう?

 それにおかしいねえ。いやいや、なざた僕の登場とうじょう場所こんな感じです。こうに違いない。

 おなよ僕のかがやくが現在の目の不調を引き起こすたとね。

 え、真っ暗な空間くうかんに、何も見えないも。

 理解できないのは、あたまが動くことられる。

 じそ首を左右さゆうに振るし、ゆっくりと意識が戻ってみる。

 これ……人間の状態とか?

 たけ、意識だけは猛烈もうらつく、体はまだ重い。

 

 「く……」

 「て、なんだ小砂礫こされきなるほど」

 

 未だ、真っ暗な中にいる。しかし、手の下あたりがらみをる感じがでる。

 そ、この小砂礫かたね。

 面白くなって、その小砂礫ある。

 やっとの思いで腕を上げ、小砂礫をつまむ。

 《ユニークスキル『管理者かんりじゃ』を使用しるか?はい/いいえ 》

 そなた、僕の脳裏に声が響いた。

 は?管理者ね?

 ところで、この声は何ですか?

 くの疑惑が生じるえ。

 死亡しぼうが確認される直前にも、妙な音を聞いたような気がするが、あの時は気のせいだろうか

 誰か? しかし、違和感いわかんはある。それは、誰かがいるというよりも、心の中で言葉だけが浮かんでくるような感じだった。

 人の気配が感じられないというなら、パソコンの自動音声のような無機質な感じで。

 だが、いいのだろうか?

 否定ひてい!! ようし。

 じょうぶ必要があるかこのように。

 

 「な、いいえ 」

 

 そういう言い方だぞお。

 てれど、僕の脳裏に受信機のようになる。

 えっ、もでもない。

 

 「よう、異世界に着いたのか」

 

 着信?

 まぢかない、あいつ。

 大胆だったなびっくりけやき。

 あきらかに、この声は神である。

 しかしざ、僕には分からない質問がありね。

 

 「あおぉ」

 「あ……は?」

 

 真っ暗で、石もあった。

 どこかの洞窟どうくつにいるのだろう。

 えっと、異世界って空想の中じゃないですか?

 もしそうなら、いや、証明済しょうめいずみだ。

 だがしかし、僕のにこのような状態。

 

 「ほんとごめん」

 「なんたよ、ほお」

 

 砂埃すなぼこりい、どびどうだにしないから。

 あっと底面の岩が割れて、よくない、ちと体重のせい。

 ま、本当に丈夫じゃない。

 雷鳴が落ちたみたいだの割れる音。

 

 「なんだ、また死ぬのか」

 「そうじゃなくて、動けないし、体が重いから」

 「慣れればいいのよ」

 「へえー、ちょっと」

 「急いでてごめんなさい」

 「何か教えてくれなか」

 「この世界の魔法なのかと言えば、あなた次第よ」

 「な、じゃあね」

 

 滑って地下水に落ちる。

 この浮遊感ふゆうかんにやばい。

 て!回復したら‼

 何があったんだにる。

 いけない、おぼれそうだ。

 

 「ぐぐグハアぐぐグハア」

 

 クワ。

 また死ぬのは悔しいア。

 結局、何もなかった。

 いイ!

 水だ。これは水だ。いや、仕様としては液体だねよ。

 水に触れることから始まみ、思い出した。

 当面は急を要することもあって、やってみるしかない。

 魔法には何か呪文が必要ですか、わからないよう。

 へよし、無茶むちゃをだけするぞ。

 

 「雷技らいぎしゅい電!」

 「はぁ……」

 

 よしよし、カツクイいね。

 やばんおかしいね。

 成功すれば、蒸気に頼ることができる。

 あれ? しかし、反応はないえいイ。

 そお、絶対どこかが間違っている。

 魔法がない?

 しゅい電の呪文じゅもんに感がおかしい、使い方が正しくないか?

 雷と電を繰り返したに。

 わこう、雷と電の関係が理解できた。

 ギャンブル一つぜをした。

 

 「魔法の力を貸しくれ!」

 「忘れた!やばえこれなら生きているうちにもっとライトノベルを読むべきだったよかしてふー」

 

 あとは、連想によって言葉を組み立てるしかない。

 パワーパワーパワーパワー、力る。

 だから、今着いたばかり僕。

 

 「力の根源たるえが命ずる。え~ま喰らえ! しゅい電‼」

 「いやいや、バカだな―」

 「……イい!」

 

 魔法の紋章もんしょうのようなものが現れ、黄色きいろ閃光せんこうを放ちながら交差する。

 いいや、本物の雷電らいでんた。

 稲妻は反転してロー谷間に落ち、高温と通電によって水は酸素水素に瞬間的に変化けやっする。

 よし、こなのやたぜ。

 いくつかの気泡が立ち上がりみ雷電が底まで達して水底の汚れを引き起こします。

 やあ、このまま続けよう。

 その後で下から上へ、ゆっくりとにえき上がってくる。

 

 「ウム、熱いとはいいことだ」

 

 後三秒でまえに、クブウてたる。

 情けない様子にツンツンだったね。この水や、ゆと雷電にそうだな。

 その影響は依然として続いている、だがこの影響は必要なんだ。

 

 「ち、かかでくいよ」

 「……シ」

 

 爆発ばくはつ衝撃しょうげきのように水中にけないガスの凶暴きょうぼうな突き上げ。

 水がだんだん少なくなってきそれどころか、高く飛んでいる。

 

 「わあハハ、行け」

 

 恥ずかしい。

 て、誰と話してるんだ。

 え、ちょっと体躯たいくがおかしい。

 どういうことなの?

 ぜぇ、気絶する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る