異世界を実力が抜群であるさ転生のゴブリンだ

山戸エケ

本編

序章

第1話 死後に転生

 あた、残っているのはたった一つの書類だけだろ。

 ここは、データの集計図ねある。

 めちゃめちゃねー。

  

 「もしもし、この何は……」

 「ああ、何があった」

 「お、二条城にジョジョ先輩ら、ここ……」

 「えつとー、杉瀬吾すぎせわれが、ご覧の通りただも今月のある投票結果だ」

 「し……ええ、そかそかね」

 「まさお前忘れたか」

 「忘れないと」

 「まったくじあ、わい、してるかあのニュース」

 「おなが、たしかに天気は悪かったええ」

 「ま、夏だからだろうか、そろそろ早いくるね」

 「はい」

 

 そして、退勤するがあ。

 しかしだ杉瀬吾は、画像形式がぞけいしきにこだわる。

 杉瀬吾がやるべきことをやった。

 ならばんどパソコンのデスクトップの右下に目をやる。

 やあ!22時だ。

 ま、ローカルハードディスクに保存するがしばらくぞ。

 タイムカードを押して退勤する。

 

 「よお、あなた一緒に夜食を食べに行きましょう」

 「い、え 二条城先輩」

 「ハハ、なんだありや」

 「別に」

 「じゃ、また」

 「うん、二条城先輩」

 「女が待っていたろよ」

 「これありません」


 あの人は二条城の恋人こいびとした。

 心理的な打撃を与えた。

 家に帰ろうが、お新作ゲームが発売されろき。

 そ、俺の名前は杉瀬吾てす。

 サラリーマン、今年で三十三歳、独身。

 大学を卒業した後、就職しゅうしょくしてある会社に入ったど。

 先後ら何度も就職活動をは、ハハ大丈夫な俺じじた。

 その後、生活は獣のように忙しくなった。

 

 「ボス電話、ボス電話、ウウウウウウウ」

 「う……やかましい、くそたれが」

 

 無理は目覚ましかしら。

 起きてる、して服を取って着た。

 黒いダウンジャケットの中にスマートフォンがあった。

 あええ、ここにあったのか。

 昨日使ったのを覚えて、やあ、待機状態ら。

 あの目覚ました、充電するかどうか忘れる。

 その充電するかどうか忘れるからにほかならない。

 スイッチを押してスタンバイを解除してみまのかなあ。


 「やあ!」

 「五パーセントのバッテリー、お疲れ様でしたケータイさん」

 「まずは、スマートフォンの充電から」

 

 ‐5% 充電中です。

 て、遅いなでしょう。嫌な汗が出てきた。

 スマートフォンが一っメッセージをプッシュじいぇた。

 『プッシュバッ』クアプリから。

 『気象庁通報中きしょちょつほ‐ちゅ

 天気のニュースは杉瀬吾の注意を引くことはできなかった。

 

 「ええー、ちょっとうんざりですよ」

 「消えろ!このニュースた」

 

 あのニュースけいぇた。

 おお、あの投票が。

 今は天気予報てした。

 テレビをつけるよりほかにしかたがない。

 

 「毎日天気予報、国内天気詳細通知ごこだえにます」

 

 そが、だがな大丈夫よ。

 今日はいい天気ですね。

 杉瀬吾もそう思ってた。

 

 この間、ボス電話来えた。

 イミテーションの声が、今日の出勤を告げる。

 杉瀬吾は信じた、この偽電話にせでんわある。

 ホンダを運転して会社に向かった。

 会社を出て外に出たのは、もう夜の十時過ぎだったろうか?

 朝は九時に出勤するのに、強引に八時半に出勤するなんて!

 残業は許さないと言っているのに、オフィスには一人もいないのに、どうして早く出るのが耻ずかしい。

 あえや、会社のドアは閉にた。

 さまざまな可能性の原因を心理的に考えた。

 ま、何かの間違いだろうなね。

 帰るんだよ。

 会社の地下ガレージで。 スーツを脱ぐと車のキーが! なんという不運! 何度も上着を探したが、下着もそうだった。

 

 「うわわ、しまたあ」


 頭を下げて探す。 陽光が反射してまぶしく、流れの向こう側から。

 

 「痛い、まぶしい、あれここにいる」

 

 ズボンのバンドを使って、取っかけよう。 鍵は、ちょっと。

 

 「わあ、あ、落ちた」

 「今日は、不運な虫がついたのか」

 

 そして、先輩に電話するだ。

 

 「わい、もしもし、ここは二条城た」

 「僕もた、杉瀬吾で」

 「お そなた な、どうしました」

 「あの……今日は仕事を休むらしいあるね」

 「ああ、そねあ」

 「ありがとう」

 

 やはりこど。

 先ほどの電話に返事をする。

 だれも出ない、この番号は空き番号です。

 ぴ、くそったれ。

 誰かにフォークリフトでホンダを運んでもらおう。

 あ、方法がある。

 運んで帰れば、それしかない。

 いかりの後で、とりあえず、家に帰ろうこすつもりで。

 

 「僕は死にそうだよ」

 「このままじあから革靴かわぐつが破れくたよ」

 

 スーツ姿の男が、ネクタイをゆるめたまま歩いている。

 疲れた顔をしている。

 まだ夕食をとっていない。

 思わず文句もんくを言ってしまうだど。

 そのとき、シティプラザビルの屋上にある巨大スクリーンに、ゲームのcgアニメーションが映し出されていた。

 

 「夢幻神域むげんしんいき、あなたにふさわしいゲームであるが」

 

 磁気を帯びた女性解説じょせいかいせつの声に励まされたように、もともと疲れていた僕の体も軽くなったぞ。

 そうだ! 僕もこのゲームをプレイしていますし、その中でも非常に高いレベルのプレイヤーですよ。

 オープニングcgの後、スクリーンにはプレイヤーに読み聞かせをするための紹介が映し出された。 その間にこめかみを軽くんで、できるだけ目を覚ています。

 

 「くぐぐ……腹が減きけ」

 

 おなかがすいているから大丈夫、食べなくても死にはしないが、精神的な食糧は一食たりとも止まらない。そうでなければ、次の日の退屈をどうやって乗り越えるのか?

 て、ても今日と違うのは、おそらく何日も食べないことによるものだろう。

 

 「け……こんな時に」


 みいぇた、あの乗り換えホームだ。

 おなかさえて、空腹くうふく。 この先にバス停のホームがあるので、ちょっと頑張っている。 金を出して、残高を見積もった。

 

 「え、は? 2……250円」

 「おお、2350円なの」

 

 あら、2350円や。

 cgアニメーションが突然途切れ、通行人が立ち止まったり、通り過ぎたりした。 僕は第二のタイプです。

 

 「え、それを急いで、家に帰らないと」

 

 しかしながら。

 スマートフォン、テレビ、今日の特大イベントけれども。

 

 「今夜は雷を伴ったり雨に見舞われる予測よそくですが、原因は現時点では不明ですので、市民の対応をお願いします」

 

 最初は信じられな、このイベントたわ。

 だがだ、自業自得じごじとくにせもらう。

 頭に水滴を感じて、顔を上げる。

 

 「月がない?」

 

 ――怖い極める。

 空を見ると、ところどころに暗雲あんうんれた。

 

 「待って、天気予報が当たらない」

 「曇っているのだろう、まあたく」

 「やっぱり天気は変わりやすいな」

 

 溜息ためいきをついてスピードを上げると、四メートルほどで着いた。

 この後は落雷らくらいが人を打つあるぞ。

 

 「ゴーゴーゴーゴーゴー」

 「えて、雷が鳴ったね」

 

 雨が降るの後、地面はまるでコンクリートのように。

 そのまま歩き続けていたら、つい転んでしまった。

 

 「痛痛痛いたいたいたい」

 

 立ち上がる。 黒い雲が集まって。

 さっきまで振動していた携帯電話を取り出す。

 ボスから電話がかかってきたので、このをつながなければならない。

 

 「ああ杉瀬吾、このところ偽電話に注意してよ、だまされないようにしていますね」

 「そがね、分かりました、てもね」

 「何で」

 「僕はだまされてしまったろ」

 「え、どこにいる、大丈夫か」

 「あー、ちょっと面倒くさいらる」

 「そが……」

 

 神様は鼻がむずむずして、くしゃみをした。

 瞬間、雲の中に雷が生まれ、地面にパチパチり劈击へぎげきぐ。

 目を丸くして稲妻いなずまを見つめている。

 あわててどうしていいかわからないなのこた。

 まや、人間としてどうすることもできない。


 「パチパチ」

 

 ほこりを払う。 物音が近づいてきたので、僕は振り向いた。

 ――首をひねったの時、嫌な予感がした。

 

 「やああ、この状況なあああああ、一体何だと……」

 

 神様は思わず連打を放っ砲声ほせいみちた。

 くしゃみをしながら動き回るぞ。

 雷がも動いて、近づいてくる。

 紫電しでん一閃いっせんしあるた。

 一声ひとこえらか『どん』だた、と前にあのぞ雷に撃たれた。


 「ママや」

 

 嫌な汗が出てきたも一度から。

 感電して飛び上がる、髪の毛が爆発あるぞ。

 くしゃみが途切れ途切れに続く、

 彼も止まらなかの「いいあいいあいあいああああああいいいいやあややあやっやあっやや」こんな情勢じた。

 

 「ええー、痛た痛たあ」

 「……え、痛くないよ」

 

 体の感覚がなく、まさか死んだのかこの意識的な考え。

 <ショックの分析——完了

 たいでんせい獲得られる>

 <飢餓の分析ぶんせき——完了

 ???が得られる>

 <水残量みずざんりょの分析——完了

 耐湿性が得られる>

 <熱反応の分析——完了

 耐熱性獲得られる>

 <光の分析——完了

 耐光性獲得られる >

 <炎の分析——完了

 耐炎性獲得られる >

 <上記の内容を確認しますか?>

 

 は?

 それ以上言うな。休ませてくれ。

 こいつは逆のことをした。

 なぞど上記の内容を勝手に決めている。

 そのとき、空から誰かが見ていたみよ。

 

 「しまった、人が死んだあ」

 

 神様はあせって、埋め合わせる方法を思いついた。

 自分に大きな親指おやゆびを立てる。

 

 「さすがは俺だ」

 

 ――意識が朦朧もうろうとしてきて、僕は……

 神様は天に連れてこいと言った。

 強大な力を発揮して、天に連れてきる。

 

 「こ……これは」

 

 手首てくびを見ると問題があるけん。

 すさまじい雷撃らいげきを受けて、まだ生きているね。

 だが、ここがどこなのか、まちかくわからない。

 気がつくと、そばにじじいがいた。

 かみらんれ、白いひげかたい。

 

 「来たのね、おこちらは天界てんかいです」

 「え……率直な言い方だろよ」

 「君は落ち着いているや」

 

 しかし、そうではなかったのよ。

 

 「は? 実は、ここは一体どこなのかどこなのかどこなのか」

 「天界、天界が、またくあなたね」

 「なんだあの、つまりは僕死んだのだねえ、てよここか意味あろか」

 「大変なことだ、おっしゃる通りです」

 「大変なことだねよ」

  

 して、このジジイは誰なのか。

 疑問をぶつけるぞお。

 

 「まい、先に答えろ、あなたは一体何者なだ」

 

 この人はきっと神様の存在を信じていないのだから仕方がない。

 焦っている様子よす、神様を信じていない様子。

 なんとなく笑い始めた。

 杉瀬吾は気分が悪くなる。

 

 「何を笑っているんだ」

 「ごめごめ、な、誰も知らない世界に住んで、誰も知らない仕事をして、この世界を見て、その世界を見て。そ……」

 「むむむ、神様です」

 「あお、あなたはよく知っていますね」

 「嘘かせ、あなたは神様ですか」

 「事実じじつは事実だ」

 「ならば、ここから出してくれ」

 

 ジジイは返事をしなかやろぞ。

 しばらく離れていた。

 ジジイは、急須きゅうすを持ったまま、腰をおろした。

 ボスからの知らせを思い出した。

 

 「あなたも座りなさい」

 「おお」

 「お茶をどうぞ」

 「え、うん」

 「心ばかりのもの」

 「ごちそうさま」

 

 仕方なく本当のことを言った。

 

 「復活は無理むりです」

 「なで」

 「あなたの実体は、再生無理です」

 「そ、そなか」

 

 ゆっくりお茶を飲み、落ち着いた様子でそう答えてくれらた。

 今の状況を理解した。

 

 「ぜひ送っていただきたいのですが、お願いします、神様」

 

 それを繰り返しなた。

 目を見開いて、お茶を吐く。

 

 「あの時言ったでしょ」

 

 小さな机の隅に、古びた引き出しがあった。 あたりはのどかな雰囲気ふんいきで、きりがたちこめ、青空がない。

 

 「帰るのは無理だけど、それ以外なら」

 「他に! ?  他に……」

 

 神様はひげで、眼鏡めがねを上げて、茶碗ちやわんの中の茶を見た。

 僕にはわからないことがある、神様の意図。 神様の動きを見習えば、お茶はお茶で、何でもない。

 神様のカップの中のお茶は、落ち着いていた。 その後、お茶が激しく波打ち、竜巻となったあるぞ。

 止まった。

 

 「すごい」

 「あなた自身」

 

 鏡花水月かがみすいげつのように。

 

 人界じんかい、後2時

 イブニングニュース、現場撮影げんばさつえい、今日の落雷・イオン豪雨災害で人的被害なし。

 道行く人が走ってきて、路地の出口で火傷の死体を発見したことを告げた。

 

 「私たちもついて行きましょう」

 「はい」

 

 そして、あの後、自分の体を見た。

 と、神様らかど、ぞのねいた。

 

 「ところで、あなたには一家の者がいますか」

 「そんなこと聞かないでよ、頼むぞ」

 「何で」

 

 そしてこの、と大声で叫んだ。

 しばらく呆然ぼうぜんとして、正直に言った。

 

 「いいえ、一人暮らしです」

 「……童貞なんだから」

 「えっ、それは可哀相かわいそうですね」

 「あぁ! あなたのせいで、これからあるはずだった」

 「こうなっての、ごめんね」

 

 ――溜息ためいきをつき、下を向いて考え込んだ。

 それしか方法はなさそうだね。

 ……どうやらノ彼の補償金だ。

 あのうるさい言葉を思い出した。

 

 「神様、あなたは何なの分析を知っていますかあの時」

 「あのさ、ま」

 「杉瀬吾さん、これからどうするつもりですか」

 「僕、わたしは生きたいけど、でも」

 

 二つの選択肢が与えられた。

 とね、さっきとは目つきが違う。

 

 「一つは天国に行くこと、もう一つは他の生物せいぶつに転生して異世界で生活すること」

 「おお、天国や異世界やてすか」

 「はい、慎重しんちょに選んでください」

 「じゃ、異世界た」

 

 手描きで上半分、下半分を描き、丸い空洞を作る。

 真っ暗で、底が見えない。

 

 「そうと決まったら、受け取ってくださいこの管理者かんりじゃ

 「は?」

 

 <転職中——完了>

 <レポート、新スキルが検証済み、スキル獲得: 管理者>

 

 「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、それは何によ」

 「今後ともよ頼むよ」

 

 神様は僕が気がつかないうちに、僕を突き落とした。

 その言葉はいったいどういう意味なのだろうに。

 全然知らない。

 

 その世界で遊ぼう。いえ、管理するやぞう。

 

 「やあ、このお茶は飽きないねいいよいいよ」

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