AQUA LinQsへようこそ キミラノversion
揣 仁希(低浮上)
未知との遭遇 ディアナ・ファーブニルの場合
カランカラン。
「いらっしゃいませ、AQUA LinQsへようこそ」
閉店間近のAQUA LinQs。
さて、本日のお客さんは……
「こんばんはっス」
「あ、はい。こんばんは」
森の中を歩いていて偶然見つけた不思議扉を開けてみるとおかしなところに出たっス。
「あれあれ〜?ここって不思議な感じがするお店っスね?」
「はい、当店はあちらとこちらを結ぶ狭間にあるお店でございますので……」
「ああ〜なるほどっス。だからあんな森の奥に扉があったっスか」
「森の奥に……ですか?」
「そうっスよ」
おおっ?これはもしかしてもしかする異世界のお店っスか!
「お客様、もし宜しければどの辺りかお教え願えませんでしょうか?」
「ん?いいっスよ。えっと……」
異世界のお店の店員さんに扉のあった場所を教えてあげるっス。
ほ〜、変わったお店を作る人間もいるんスね。
それにしてもこの店員さんはちっとも驚いていないっスね。
「あれ?あんまり驚かないっスね?」
「はい、先程も申し上げたとおり当店はあちらとこちらの狭間にありますので色々なお客様が起こしになりますので」
店内を見渡してみると魚の入った水槽やらカメの入った水槽がたくさん並んでいるっス。
でも……あんまり美味しそうに見えないっス。
「ふ〜ん、この魚を食べにっスか?」
「食べにではありません、観賞用にお買い求めにこられるのです」
「このカメもっスか?」
「!!!!!!」
「ひっ!」
な、なんスか?今の殺気は?
魔王並っス!魔王っス!
「あ、あのどうしたっスか?」
「カメさんを……つつきましたね?」
「え?あ、いや、え?」
「カメさんは非常にデリケートな生き物です!むやみやたらにつつくなど言語道断です!わかりますか!今のあなたの心無い少しつついただけでもこの
「……はいっス」
「いいえ、それだけではありません!今のあなたの行いを見ていたこの子もこの子だって怖い思いをしたかもしれません!いいえ!きっとしたに違いありません!ああ……なんてかわいそうなカメさん……私のカメさん……」
ヤバイっス!この人間ヤバイっス!
邪竜の本能が告げてるっス!
「カメさんに謝罪を要求します!謝罪です!謝ってください!さあ!さあ!さあさあさあさあさあさあ!」
ひいっ!ダメっス!目がイッてるっス!
逃げるっス!
魔王とかそんなレベルじゃないっス!
「すみませんでしたっス〜〜!!!」
カランカラン、バタン。
「はあはあ……ヤバかったっス。マジでビビったっス」
慌てて扉から出てみれば先程までそこにあったはずの扉は綺麗さっぱり消えていた。
「はあはあ……今度からは考えて開けるっス」
これはあちらとこちらを結ぶ狭間でのほんの一幕のお話。
「……"亀LOVE"ってなんスか?」
おしまい
AQUA LinQsへようこそ キミラノversion 揣 仁希(低浮上) @hakariniki
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