第1話 

 はやる気持ちを抑えきれずその場でカプセルを開ける。

すると・・・

中身は『空』だった。

短い瞬間ではあったが、たしかにさっきまで重みはあったハズなのに。


 空に変わりはないため諦めてポケットに手をツッコむ。が、小遣い分は投入分で終わりのようだ。もうまもなくすると陽も沈む。

文具店は閉まっているし、明日にでも店のおばちゃんに文句の一つを言ってやろう。

そう定めて、カプセルは持ち帰ることにした。


「今日はヤケに素直にご飯食べに降りてくるのね」母が言う。

「うん。ちょっと」

不満気な私を察してか

「どーせお目当てのオモチャ当たらなかったんでしょアンタんことだからすぐ判るわよ」

顔が熱を帯びてきた。

「んなことねえよ」

続くことばは襖に返事させ、階上へとあがった。

「ちょっと〜!!ご飯また冷めちゃうでしょ」

非難の言葉を背中に貼り付けたまま部屋へと入る。

と、その時・・・


 むぎゅう〜


と妙な音がきこえた。


「なんだ今の」思わず階下を見下ろす。

も、食卓の方からは食器を置く音しかきこえてこない。母はTVを観ないし、まさか母の声ではないだろう。


 みむー 


まただ、何処だ!?

「いてっ」

振り返りざま姿勢を崩し廊下でけつまづく。


足元にはカプセルが転がっていた。


 みむー


 まさか・・・コイツなのか?



 するとソイツはゆっくりと私めがけて転がってきた。


カプセルを空けるとソコには2本(?)の触覚をもつ青いイキモノが静かにコチラを視ていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る