8 優しく見守ってください
「女性は、優しく男を受け入れてください」ーえ、なんで?
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私は女性で独身ですから、どうしても「婚活」の立場で話をすると、男性の方を否定ばかりになっているように思える方もいるかもしれません。
ですが、これは私がたまたまそんな立場にいるからです。
「婚活」の現場ばかりでなく、立場を変えれば、似たような話はどこにでも転がっていると思います。
たとえば、「俺の妻は同居してくれていて、俺の地元に来てくれた。あなたとは違う」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはあなたの奥様は、あなたへの愛情ゆえに、その道を選択されただけのこと。
色々と考えることがあっても、あなたへの思いゆえにあなたの望むことを叶えることにしたのです。
でも、「やっぱり俺の妻はあなたとは違う。だから、あなたは独身なんだ」
と言われるのは、違うのです。
だって、愛情は枯れますから。
大切にされなければ、愛情はなくなってしまいます。
何もしないで愛されるのは、子どもだけです。
だから、熟年離婚とか増えているんだろうなあ、とか思います。
「やってくれて当然」って態度が続いたら、そりゃあ愛情も枯渇しますよね。
熟年離婚で、男性が「何故今さら!?」って騒ぐのに対して、女性は振り向きもせずに去って行くのは頷けます。
愛情が枯渇した時点で、「旦那が定年したら離婚」「子どもが独立したら離婚」とゴールを決めて、頑張ってきたわけです。
そりゃ、やっと離婚できるわけですから、振り向きもしないですよね。
ちょっと、話が横道に逸れましたが、結局のところ、男にも女にも「思いやり」と「礼儀」が大切だ、ということなんでしょう。
でもそれすらもない相手に、「優しく男を受け入れて」と言われましても、嫌にもなりますよ。
ってことで、この章はそんな婚活話です。
「奢ってください」と言う態度は礼儀に反しています。
それは、確かなことです。
だから、いくら女性であっても、「奢ってもらう」ことは期待してはダメだと思います。
奢りはあくまでも、相手方の好意です。
好意は笑顔で受け取とるのが礼儀ですが、強制するものではない。
そんなポリシーのもと、私はお見合いの時も自分の分は支払うつもりでお金を用意しています。
注文する品物も相手が奢ってくれた時の場合を考えて、高いのは頼みません。時々、「ああ、ケーキ、注文したい!」と思っても、我慢するようにしています。
ただ、まあ。
初回の支払いぐらいは、男性側が持つのが婚活現場ではマナーとなっています。
けれど、今回のおいおいおい、と突っ込んだ人は、それをしてくれなかった人ではありません。
彼とは、お見合いで知り合いました。
一回目は、相談所でお会することになりまして、お話しを一時間ほどしました。印象としては、真面目で活発な人、という感じでしょうか。
資格を取るための学校の先生をしている他、フリーでお仕事をしていると言うだけあって、お話しすることもお仕事のことなど、なかなか内容が多彩です。
好印象ということもあって、では、二回目も会いましょうということになりましたが、私は「一回会っただけじゃわからん」と言うのがポリシー。
と言う事で、食事をすることになりました。
お店は「わからない」と彼が言うので、同僚さんが「あそこ良いですよ」と教えてくれたお店にしました。
予約は、彼がしてくれました。
ここまでは、順調です。何の問題もありません。
待ち合わせをして、お店に入ります。
席に案内された瞬間、彼はメニュー表を広げて、おもむろに注文し始めます。居酒屋式で、単品メニューのみでした。
と言うことは、私も一緒に食べることになります。
そして、私に声をかけてきます。
「あなたはどうされますか?」
いや、どうされますか? と言われても。
あーたがほとんど注文しとるたいっ!と私は脳内で突っ込みましたが、笑顔で「ありがとうございます」と言って、注文をしました。……二品ほど。
でもこの様子じゃ、出してくれるかな?とも思いましたが、そこは期待しないことにしまして、私は遠慮なくデザートも注文しました。
そして、会計となりまして。
彼は、スタッフの方に、軽やかかに行ってくれました。
「折半にしてください」
ないな、と思った瞬間でした。
こんな話をすると、「奢りたいと思える女じゃなかったからだ」と言う人もいますが、それならそれで、問題ありです。
だって、相手によって態度を変える人ですよ?
恋人として、ましてや結婚相手として、信用できますか?
まあ、それはさておいて。
彼にしてみれば、自分も好きな物を選んだのだから、私も好きな物を選んで、自分の方が少し注文数多かったけど、折半で男女平等、と思ったのかもしれません。
でもこれって、相手に対する思いやりがないなあと思いました。
奢れとは言いません。
ですが、気心の知れた仲ならともかく、知り合ったばかりの相手にこれをやると言うことは、あまり相手の立場になってものを考えることはない人なんだな、と私は思いました。
繰り返しますが、別に奢れとは言いません。
でも、「優しさ」と「礼儀」が感じられない人は、やっぱり結婚しても幸せにはなれないな、と思いました。
「礼儀」と言われるものにもいろいろあります。
それは物であったり、時間であったり、言葉であったりと色々です。
婚活の場は、それこそ初対面の方との対面から始まるわけですから、礼儀はとても大切です。
まあ、あまり堅苦しく考えなくても良いのですが、しかしやはり初対面の方なのですから、それなりの恰好で会うことは、相手に対しての思いやりだと私は思います。
相手に対して、「お会いできて嬉しいです」と言うメッセージがその恰好から出ているようにも感じるからです。
服装にもTPOがあって、その場に相応しい恰好をすることで、相手に対しての思いやりを示すことが必要だと、昔から考えられて来たのです。
そこに異質な恰好で来るということは、その人は自分のことしか考えられないということなのは、言い過ぎでしょうか?
ーって、言うか。
こちらがそれなりに礼儀を尽くしているのに、ジャージ姿で来られた日には、「そのケンカ買ったあ!」となりますわ。
その方とは、結婚相談所ではなくて、仲人さんとの紹介で知り合いました。
職場の人生の先輩が、仲人さんに私を紹介してくださったのです。
人の縁は、大切です。どんなところに繋がっているかは、わからないのです。
で、婚活していましたから当然その話に乗りました。
「紹介したい人がいるんだけど、どうかしら」
と連絡が入ったので、会ってみることにしました。
ちなみに、この「仲人さん」達は独自にネットワークがあるらしく、自分達が知っている独身男女の紹介をし合って、お見合いの場をセッティングします。だから、
「相手の方のことは私も知らないの」と、言われることもあります。
彼と会う前にも、私はそう言われました。
まあ、「会ってみないとわからない」をポリシーにしている私には、それは何の問題もなかったです。
けれど。待ち合わせの喫茶店で、三人の華やかな恰好をした年配女性に囲まれた彼を見た瞬間、「ないわ」と思いました。
ぬわうんと、ジャージ姿だったのです!
私を見た瞬間、彼はしまった!と言う表情になりました。
後から思えば。
彼は、あまりこのお見合いには気が進まなかったのでしょう。
だけど、親戚のおばさん方達にやいのやいの言われて、渋々出かけて来たって感じでした。
けれど、まあ私を見て、彼の予想とは違い、ちょっと嫌らしい言い方をすれば、「思ったのと全く違うものが来た」という表情になっていました。
まあ、でも。
私はもう「そのケンカ買ったあ!」状態。
確かに笑顔を浮かべて談笑はしましたが、それは大人としての態度を貫き通しただけのこと。
四十代にもなってTPO もわからない相手と結婚したらどうなるのか、想像に難くなかったです。
仲人さんからは、「あちらの仲人さんからは、『申し訳なかった。私が気楽な格好で良いって言ったから』とおっしゃっていたけど・・・・・・」
と言う連絡がありましたが、
「でも、ジャージはないですよ」
と、私は苦笑しながら言いました。
「そう・・・・・・」
仲人さんは残念そうでしたが、きっと共にいても、幸せにはなれないなーと思って、私は少しも残念ではありませんでした。
しかし、こうしてみると。
「大人として常識なのでは?」
と、思われることが、意外とできていない人って多いなあと思います。
TPOに合わせた服装をしたり、相手と相談しながら食事を決めたりなんて、学生の頃にはしていなかったのかなあ、とも思います。
たとえ知らなかったとしても、社会人になって働いていくうちに、自然と身に付くもの。
ーと私は信じていたのですが、どうも勝手が違うようです。
確かに、アイシュタインは「常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである」とは言いましたが、でも、やっぱりね……とは、思うわけです。
ただ、私も自分でも無意識の内にやっていることはあるかもしれません。
って、言うか。おそらく、ずがずがやっているはずです。
でなければ、連続5回初対面で断られる、ってことはないですから。
でも、やっぱり大人として最低限に必要な「礼儀」と「思いやり」ってありますよね。
会話の内容に気をつけるとか、相手の気持ちを察するとかは、なかなか難しい部分はあります。
でも、紋切り型ーと言うか、「こうすることが望ましい」っていうパターン化された「礼儀」もあるわけじゃないですか。
食事の注文時に相手の好みを先に聞くとか、TPOを気をつけるのとか、まさにそれだと思うのですが、どうでしょうか?
そして、そんな男性達を「優しく受け入れて」と、言われても。
異性として男性に「若い方が、優しい方が、しとやかな方が」とやいのやいの言われている女性としては、「そう言う前に、己の礼儀スキルを磨いてこいっ!」と言いたくもなるってことです。
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