特別収録「セクサーロボUSA」

⚠⚠⚠警告⚠⚠⚠

本作品は「もしもセクサーロボ!の舞台がアメリカだったら?」をコンセプトに作っております。

が、私はアメリカの事を上部だけしか知りません。

並びに洋画もレジェンダリーの○ジラぐらいしか見たことないので、完全に殆ど想像で書いてます。

あと最近蔓延するポリコレ等に対する皮肉も封入されております。

こんなの見る暇があったらもっと見るモンあるだろ!見るな!!!!!





………………







時に、西暦2096年。


数千年の周期で地球に近づく、惑星「ニビル」。


その、惑星ニビルに、地球を狙う者達がいた………。



「ひゃーはははは!数万年ぶりに目が覚めたよ!今度こそ地球を我が物にしてくれるわァー!」



明らかに人工の物である、三角コーナーのような建造物の前に立つ、一人の女。


地球とは違う大気だというのに、その女は宇宙服すら着ていない。

血のように赤いスーツと血のように赤い髪を振り乱し、遠く見える地球を前に高笑いをしていた。


地球に危機が迫っている事を、この時は誰も知らなかった………。





………………





アメリカ。

それは自由と正義とハンバーガーの国。

2096年においても、そこは世界のジャイアン………中心として、国際社会に君臨していた。


そんなアメリカの一角・マラチューチュッチュ州にある、「エロマンガ山脈」。

その麓にある国立技術研究所「F.U.C.」。


F=future

U=uknown

C=create


未確認の未来を創造する。

という願いを込めて設立されたこの研究所は、将来の宇宙開発の為の技術研究、さらには宇宙開発用のロボットの開発も推し進められていた。


また、ハイスクールとしての側面も持ち、将来宇宙開発を先導する人材の育成も行われているのだ。



「オラァァッ!!」

「げふっ!?」



アメフト用のプロテクターを身に纏った巨体が、同じようにプロテクターを纏った華奢な身体を弾き飛ばす。


吹き飛ばされた華奢な方は、回転しながら地面に叩きつけられ、巨体の方はヘルメットを外し、得意気に米国人特有の堀の深い顔で笑ってみせる。



「健全な肉体には健全な魂が宿る!まさに俺の事だな!HAHAHA!」

「すっげえ!流石はキャプテン!」



得意気に笑う巨体の男………F.U.C.アメフト部キャプテン「スティーブ」は、同じアメフト部の部員やチアガール達からの称賛と尊敬を一身に浴びる。

まさに学園の中心人物、ジョックスとしての姿がそこにある。



「お、おい!大丈夫か!」

「いたた………」



そんなスティーブの超重量タックルにより吹き飛ばされた、華奢な方にも、彼を心配する者達が駆け寄ってくる。


だが、彼はスティーブの方と比べると、顔も悪ければ態度も暗そうな、一目で「冴えない」と解るような連中だ。



「だ、大丈夫だよ………大丈夫」



ヘルメットを脱いだ華奢な方も、牛乳瓶の底のようなメガネをかけた、日本人に近しいアジア人のネクラな男だ。


彼の名は「タイチ」。

見ての通り、冴えないギーグボーイの一人。


背も低く、身体に筋肉もあまりついていない。

日本なら兎も角、アメリカでこの手の人間の居場所など無いに等しい。



本来なら、F.U.C.に所属する彼等は、力を合わせるべき間柄である。

スティーブは作業用ロボットのパイロットを目指していて、タイチはそのオペレーターの授業を受けている。


しかし、ハイスクールの歴史に深く根差したスクールカーストがそれを許さなかった。

ヒエラルキーの頂点に立つスティーブ達アメフト部は、よくこうしてタイチ達を鍛練と称して痛め付けていた。


ようは、いじめである。



「ハァイスティーブ、今日も逞しいわね♪」

「リザ!来ていたのか!」



そんな道徳的に非道な行いにも関わらず、スティーブを英雄のように称える女が、ここにも一人。


うねりの入った髪に、はちきれんばかりのナイスバディー。

いかにもなカースト上位の白人美女な彼女は「エリザベス」、通称「リザ」。

アメフト部を応援するチアリーダーで、スティーブのガールフレンドだ。



「当然じゃない!スティーブの為ならすぐ駆けつけるわよ♪」

「ははは!こいつめっ!」



これ見よがしにイチャつく二人。

そんな二人を遠巻きから見つめるのは、スティーブのタックルで吹き飛ばされたタイチと、そんな彼の仲間であるギーグ達。



「………おいタイチ」

「いいんだ」

「いいってお前………」

「あれでいいんだよ、本当に」



心配そうなギーグ達に、タイチはそう言って笑ってみせる。

だがその笑顔は、どこか無理をしているよう。


実を言うと、タイチはエリザベスが好きだった。

無論、異性としてだ。


だが、ギーグである自分にエリザベスを幸せにする事はできないと知っていたタイチは、自らその想いを封印した。


エリザベスが幸せならそれでいい、と。



「………ねぇ、あいつらこっち見てきてキモいんだけど」

「本当だ、よし俺がシメてやる!」



もっとも、当のエリザベスには、そんなタイチの想いなど数ミリも伝わっておらず、単に気持ち悪いヒエラルキー下位のギーグとしか見られていないのだが。


この後、タイチ達がスティーブ率いるアメフト部達に殴られたのは、言う間でもない。



そんなこんなで、彼等のよくあるアメリカン・ハイスクール・ライフはなんとなく続いていた。


………あの時までは。





………………






………その日、マラチューチュッチュ州は、真昼にも関わらず、まるで真夜中のように真っ暗になった。



「何だ?」

「日食………じゃないよなあ」



屋外で練習をしていたアメフト部も、屋内で授業を受けていたギーグボーイ達も、突如空を包んだ暗雲を怪訝な顔で見上げていた。



「おい!何だアレは!」



生徒の一人が空を指差す。

そこには、まるで壁に映写機で映したかのような、巨大な妙齢の女の顔が浮かんでいた。



「聞け!私は宇宙最善の魔女、パソトーラ!」



妙齢の女………「パソトーラ」は、妙に演技がかった口調で、地上の人々向けて言い放つ。



「私はこの地球に、真の正しさをもたらす為に復活した!今度こそ地球を、平等と正義の世界にしてみせよう!ハァーッ!」



パソトーラの瞳より、青い稲妻のような光線が飛ぶ。

それは、F.U.C.の敷地に向けて放たれ、今まさにアメフト部が練習をしているコートに向けて飛来した。

そして!



「グワーッ!」



それは、スティーブに直撃した!



「キャプテン!?」

「大丈夫ですかー!?」



煙をあげながら倒れたスティーブを心配し、他の部員達やチアガール達が集まってくる。



「スティーブ!大丈夫?!」



当然ながら、その中にはエリザベスの姿もあった。

心配そうな顔で、スティーブを見つめている。

すると。



「………ッ!」



ぐわんっ!とスティーブが立ち上がった。

驚き、おののく部員達。


数秒の間の沈黙を起き、スティーブは焦点の合ってない目のまま、口を開いた。



「………今ので、目が覚めたよ」

「………はい?」

「今の世界は、間違っている!」



いきなり訳の解らない事を言い出したスティーブに、部員達は困惑する。



「もっと女性や子供達や同性愛に配慮を!誰しもが平等に、そして健全な表現を!」

「どうしたのよスティーブ?!何をそんな大豆ヤローのような事を言っているの?!」



いきなり支離滅裂な事を言い出したスティーブに、エリザベスは困惑する。


これではまるで、大豆ヤロー………意識だけ高い活動家気取りを指すスラング、理由は大豆ミートから………のようだ。


いつもの豪快で男らしいスティーブではない。



「ポリコレ!ポリコレ!ボリティカァァァル!!」



そして、異変が起こった。

意味の解らない叫びと共に、スティーブの身体が光に包まれ、大きく拡大したのだ。


そしてスティーブは、まるで90年代のSF映画に出てくるような、恐竜にバイオ的なアーマーを取り付けたかのような、巨大でグロテスクな怪物に姿を変えた!


魔女パソトーラの操るオーガニックモンスター「パワードガシボ」の誕生だ。



「行けぇいパワードガシボ!弱者に配慮しない腐った街を叩き壊すのだァァ~~ッ!」


GAOOOOOOOOOO!!



咆哮し、パワードガシボが街に向かう。

怪物と化してしまったスティーブを前に、その場に居た人々は呆然とするしかなかった。



『校内のロボットパイロット科、及びオペレーター科の生徒は、至急地下第7倉庫に集結せよ、繰り返す、校内のロボットパイロット科、及び………』



そこに響く、校内放送。

こんな時に何だと言うのだろうか。

疑問に思いつつ、生徒達はF.U.C.地下へ向かう………。





………………





校内放送で地下に集結せよと召集をかけた。

だが………。



「………何だ、この出席率の悪さは」



F.U.C.校長にしてロボット技術の権威「ケンザキ」博士は、集まってきた生徒達を見て愕然としていた。


そこに居たのは、エリザベス以下パイロット科のチアガール三名、タイチ達オペレーター科のギーグボーイの集まりが五名。



「他の連中はどうした?」

「はっ、パイロット科は彼女とデート、オペレーター科はアニメのイベントでほとんどが休暇を取っており………」

「………学生気取り共め」

「いや学生ですし」



助手の報告に頭を抱えるムラサメだったが、そんな事をしていても仕方がない。

気を取り直し、その場にいる生徒達の方を見る。



「………今現在、我々を脅かしている魔女パソトーラについて、知っている事を話そう」



………始まりは、今から数年前。


F.U.C.の前進となった国連科学技術部は、今F.U.C.の立っているこの土地の地質調査の最中、三つの物を発見した。


一つ目は、紀元前にまで遡る、謎の古代文明の遺跡。


二つ目は、今までのどの金属よりも強靭な強度を誇り、また男女のペアが近くに居ると電気エネルギーを生み出す特殊金属「S鉱石」。


そして三つ目は、そこに記された予言である。



太古の昔、その文明は人外の少女と人間からなり、愛に満ちた素晴らしい平和な世界だった。


だがある日、魔女パソトーラとそれに率いられた怪物達が、世界を健全に支配せんと侵略を開始した。


人々は力を合わせ、パソトーラと戦った。

そして激闘の末、数千年周期の軌道に乗る惑星ニビルに封印し、宇宙の彼方に追放した。


だが封印の直前、パソトーラは最後の魔法を使い、人外の少女達と人々を引き裂き、両者は別の世界に住む事となった。



これだけなら、ただの迷信として片付けられるだろう。


だが、この発見を皮切りに、世界各地でパソトーラ伝説を伝える古代遺跡や文献が、次々と発見された。

韓国の高句麗古墳の壁画「手搏図」にも、パソトーラの怪物と戦う古代人の姿が描かれている。


同時に、太陽系外より地球に近づく惑星の存在を、NASAが捉えている。


人々は確信した。

パソトーラは存在する。

そして、再び地球に危機が迫っていると。



「そして我々はパソトーラに対抗する為に、こいつを産み出した」



ムラサメがそう言うと、彼の背後にある格納庫のハッチが、ゴゴゴと轟音をあげて開いてゆく。

そこにあったのは………。



「飛行機?!」

「と、ロボット!?」



格納庫に立つ、二つのマシン。

二つのローターを持つ飛行機と、某機動戦士を思わせる白いロボット。



「飛行機は「ヒロイジェッター・レックス」、ロボットは「Cセイバー」、S鉱石を加工した「セクサー合金」で出来ている、君達はこれに乗って、あの怪物と戦ってもらう」



戦闘飛行機、ヒロイジェッター・レックス。

戦闘ロボット、Cセイバー。

ムラサメが、そのパイロットに選んだのは………。



「………エリザベス君、タイチ君」

「ええっ!?」

「僕達?!」



パイロットに選ばれたのは、エリザベスとタイチだった。

理由は、この場にいる中で、エリザベスが最も飛行機類の運転に優れ、タイチがロボットの操縦が上手かったから。


エリザベスはともかくタイチがロボットの操縦が上手いのは、元々タイチはパイロット志望だったから。

親の反対で、オペレーターの道を選ばされただけで。



「頑張れよタイチ!」

「お前は俺達の希望の星だ!」

「みんな………ありがとう!」



ギーグ仲間から応援と称賛を受けて、Cセイバーに乗り込むタイチ。

ギーグ達にとって、ジャパニメーションのように巨大ロボットに乗り込んで戦うなど、まさに夢のようなシチュエーションだ。


一方で。



「最悪!なんであんな奴と力を合わせなきゃならないのよ!」

「かわいそうなリザ………」

「気にしないで、スティーブだって許してくれるわ!」



カースト最底辺のタイチと力を合わせなきゃならない事に、あからさまに不満を漏らすエリザベス。

チア仲間達も、そんな彼女を慰めている。


なんだかんだありつつ、出撃準備は整った。



「タイチ・アスカ!Cセイバー行きます!」

「エリザベス・ホークス!レックス出るわよ!」



地下から伸びたカタパルトより出撃してゆく、レックスとCセイバー。

二機の機体は空に飛び立ち、パワードガシボの暴れている都市部目掛けて飛んでいった………。





………………





マラチューチュッチュ州都市部。

「フラチオシティ」と呼ばれる大都会に、パワードガシボはその体高90mの姿を現した。



GAOOOOOOOOOO!



咆哮をあげ、その巨体でビルを破壊し、口から吐くプラズマ熱線で車を吹き飛ばす。



「怪獣だ!」

「逃げろ!」



巨大怪獣が街を襲撃するという非現実的な状況に、人々は逃げ惑うしかない。



「ご、ゴ○ラだァァー!」

「そうかぁ?またマグロじゃねえの?」



怪獣に慣れた日本人ですら、この有り様だ。


そんな人々を尻目に、パワードガシボは街を破壊し、蹂躙してゆく。


その時。



「あ、あれは何だ?!」

「鳥か?!飛行機………もあるけどもう一方は何だ?」

「ガ○ダムだ!」



空を切り裂き、二体の機影がやってきた。

エリザベスのヒロイジェッター・レックス。

そしてタイチのCセイバーだ。



「お願いスティーブ!正気に戻って!」



レックスより放たれる数初のミサイル。

だがそれは、パワードガシボに少しのダメージも与えられない。



「よくも今までいじめてくれたな!それェッ!」



Cセイバーが、手にしたレーザーガンを撃つ。

だがそれも、パワードガシボにダメージは与えられない。



GAOOOOOOOOOO!


「うわっ!」

「きゃあっ!」



パワードガシボが放った熱線により、二体とも叩き落とされてしまう。



「んもうっ!あのジジイ!全然歯が立たないじゃないの!」



パソトーラに対抗する為に作ったといいながら、これでは手も足もでていないと、ムラサメの悪口を言うエリザベス。



『聞こえてるぞ』

「ひゃあっ!?」



そこに飛んで来る、ムラサメからの通信。

思わずエリザベスも可愛い悲鳴。



『いいか、このままでは二機とも只の高性能戦闘機とロボットだ、合体しろ!』

「が、合体ぃ?!」

『ロボットと戦闘機があれば合体できる、ジャパニメーションでは常識だろう!』

「い、いやそうだけど………」



そんな、ロボットアニメでは当然の説教をされて、返す言葉もないタイチ。

だが、エリザベスは。



「合体?!ふざけないで!あんなキモい男と合体なんて死んでも嫌!冗談じゃないわ!」



と、この嫌がりよう。

合体という言葉が別のナニかを連想させるのだろうが、流石にここまで言われてタイチもバツが悪そうだ。



『残念だが、君の意見は聞かない』

「へっ?」

『合体システムはこちらで作動させた』



ムラサメの無慈悲な手回しにより、Cセイバーとレックスが空に舞い上がる。



「嫌ァッ!やめて!初めてはスティーブって決めてるのに!!」



F.U.C.において、最初に体験するスペースシャトル等の合体・連結訓練にてペアになった男女は永遠に結ばれる。

そんなジンクスがあり、エリザベスは日々、スティーブとの合体を夢見、互いに約束してきた。


所がエリザベスは、好きでもない………というか嫌悪すらするタイチと、初めての合体をする事になってしまった。

しかも、パワードガシボに変異してしまったスティーブの見ている目の前で。



『さあ!合体だ!』

「止めなさいよキモオタ!」

「こっちの操作も受け付けないんですよ!」



嫌がるエリザベスを余所に、二つのマシンが重なりあい、合体する。



「OHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!」

「ひゃああああああああああああああ!?」



説明しよう!


先も話した通り、S合金は男女のペアが近くに居る事でエネルギーを生み出す。

そのエネルギーは、その男女のペアの精神に多大な影響を与える。


ようするに、合体するとナニとは言わないが「してる」ような感覚に陥るのだ。



「な………ナニこれぇ………♡」



合体と共に、タイチとエリザベスの精神がかき乱される。


スティーブとも、ナニとは言わないが何度も「した」事はある。

だが、タイチとの「合体」は今までスティーブとしてきた何よりも、ずっと、ずっと、気持ちがいい。



「スティーブより………すごぉい♡♡」



押し寄せる快楽の波に、エリザベスは静かに、その身を委ねた………。



ズシン!


轟音を立て、降り立つその巨体!

80mのパワードガシボにも引けを取らない、その鉄の巨神!


その名も「セクサーチア」!

Cセイバー、そしてレックスを始めとするヒロイジェッターからなる多目的戦闘システム「セクサーロボ」の形態の一つ。

バランスに優れ、地上戦を得意とする。


そして、その特徴は!



「チアガールだ!」

「でっかいチアガールが出たぞ!」



そう、巨大なチアガールのような姿をしている事だ。

少々気が抜ける姿だが、強い事には変わらない。



GAOOOOOOOOOO!



敵を見つけたパワードガシボが、闘牛のように突撃する。



「来るか!」



迫るパワードガシボに、セクサーチアは拳を構える。

メインパイロットを担当するのはタイチだ。



GAOOOOOOOOOO!

「それっ!」



パワードガシボとセクサーチアががっしりと組み合う。

力比べだ。



GA………OOOOO?!

「そりゃあああっ!」



セクサーチアは、その圧倒的なパワーで、パワードガシボを持ち上げ、ビルへと投げつける。



「エリザベスさん!何か武器を!」

「わ、わかった!」



火器管制は、サブパイロットのエリザベスの仕事。

コンソールを開き、セクサーチアの武器を検索する。


………不思議と、目の前のパワードガシボ=スティーブを攻撃する事に、抵抗は感じなかった。



「あった!これを!」



エリザベスが武器を選択すると、セクサーチアの両腕よりバチバチと火花を散らす黄色いエネルギー球が出現。

腕にグローブのように纏う姿は、さながらチアガールのポンポンのよう。



「行くぞ!」



パワードガシボに向け、セクサーチアが突撃する。

その胸に、いじめられ続けた事の鬱憤を込めて。



「これでも食らえ!サンダーマシンガンパンチ!」



セクサーチアの、エネルギーを纏った拳が、文字通りマシンガンのように叩きつけられる。

それはパワードガシボの硬い体表を、意図も簡単に打ち砕いた。

そして。



「これで………トドメだぁぁっ!!」



最後に、最大のパワーを込めた一撃!


ズワォ!


断末魔をあげる間もなく、セクサーチアの一撃は、パワードガシボのボディに大きな穴をあけた。


ぐらり、とパワードガシボは仰向けに倒れる。

そして、大爆発を起こし、木っ端微塵に吹き飛んだ。



「おのれェ~ッ!あんなかくし球を持っていたとは!だがこれは始まりに過ぎない!次に合う時が貴様らの最後だ!覚えておけ~~ッ!」



悔しさ前回の捨て台詞を吐きながら、暗雲と共にパソトーラはその姿を消した。


マラチューチュッチュ州に、太陽と平和が戻ってきた。

勝利を手にしたセクサーチアが、悠々とその場に立っていた………。





………………





それから、数日。

F.U.C.にて。



「………暇だなぁ」

「………暇だねぇ」



二人のアメフト部員が、ベンチに座って黄昏ていた。


あの事件の後、スティーブは帰ってきた。

だが、無事では無かった。

身も心も、大豆ヤローのままだったのだ。


スティーブはアメフト部を止めて、社会活動に身を投じた。

キャプテンの居なくなったアメフト部は、次のキャプテンもまだ決まらず、ずっとこんな調子である。


そして、驚くべき事がもう一つ。



「ハァイ♪ダーリン♡」

「うわわっ!」



チアリーダーであるはずのエリザベスが、カースト最底辺のはずのタダシに抱きつき、頬を寄せている。



「え、エリザベスさん………」

「もうっ!私達恋人同士なのよ?リザってよ・ん・で♡」



アメフト部員からすれば目を覆いたくなるような光景であるが、残念ながらこれは目の前の現実なのだ。



事件の後、すっかり大豆ヤローになってしまったスティーブを蹴り、エリザベスはタイチと恋人同士になった。


この衝撃は学校全体に広がり、多くの生徒が困惑した。


ちなみに「すること」もとっくに「した」そうだが、エリザベスは「今までのどんな男よりもずっとキモチイイ♡タイチとするのって最高♡」とコメントしている。



「今日はセクサーロボの訓練の日ですよ!」

「解ってるわよぉ、うふふっ♡」



すっかり恋人同士の二人は、愕然とするアメフト部員を余所に、セクサーロボの訓練の為にムラサメの元へと向かっていった。



………今ここに、地球の平和を守るヒーローが誕生し、彼等は平和を守り抜いた。


だが、魔女パソトーラの驚異が去った訳ではない。

きっと、新たなオーガニックモンスターを差し向けて来るだろう。


頑張れ!戦え!僕らのセクサーロボUSA!

君達の戦いは、まだ始まったばかりだ!!




おわり

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セクサーロボ! えいみー @MSZ9610

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