とまとちゃん発狂する


とまとちゃん発狂する

これ題な

とまとちゃん発狂する

そしてこれから本文が始まるからな

こんなこといちいち説明しなくてもいっか

大体わかるもんな

だが今日のおれは優しい

農村で芋を作るしか能の無いぼんくら共にもわかる詩が書きたかった

「寄り添いたいんだよ、このおれは」

まさに愛しさと切なさと心強さと

とまとちゃん発狂する

さすがにこれだけ題名を繰り返せば覚えてもらえるだろう

さあ、これから始まる詩の中でとまとちゃんが発狂するぞ

とまとちゃんは中学二年生だ

もちろん野菜である

野菜の中でも義務教育はある

とまとちゃんは近頃、誰にも言えない秘密を抱えていた

それは満月の夜になると決まって性的衝動が身体の芯から疼いてくるというものだった

「ほう、それは実に興味深い出来事だ」

ナスはうんざりしつつも答えた

何故ならとまとちゃんに逆らうと血縁から恋人、飼っている犬まで皆殺しにされてしまうのだ

それほどまでにとまとちゃんは強い

とまとちゃんはさらに続けた

「わたしはその衝動に『淫靡テーション』と名付けたわ」

ナスが言った

「それでとまとちゃんはどうなってしまうの?」

ナスの問いかけは完全無視して自分の話しだけを続けた

「ほてるわあ………」

そして詩も終わる


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