第10話 意思

「つまり、向こうの世界にいる時は、こっちの世界の、

こっちの世界の世界に入る時は、向こうの世界の時間が停止してるってこと?」

あやめさんに、尋ねる。


「うん、そいうことだよ」

「行ったり、来たりする時は、自由にできるの?」

「ううん、君の意志ではできない」

「なら、どうするの?」

あやめさんは、続けた。


「私を召喚して。そしたら、睡眠を通じて、行ったり来たりできるから」

なんとなく理解できた・・・


「さあ、どうする?」

あやめさんは、見つめてくる。

考えるまでもなかった。


「しばらく、こっちにいるよ」

「いいの?」

「面白そうだ。見てみたい」

「OK.美里にも伝えておくね」

「うん」

自分で伝えるのがいいのだろうが、面識の深いあやめさんに任せたほうが、よさそうだ。


「僕以前にもいたんだよね?ここに来た人」

「うん、そうだよ」

「彼らには、伝えたの?」

あやめさんは、首を横に振る。


「彼らの記憶には、ないよ。消したから」

「そっか・・・」


この世界を見てみよう。

結論は、それからにしよう。


「じゃあ、とりあえずは、こっちで生活だね」

「うん」

「衣食住にはこまらないし、病気にもならないから安心して」


病気にならない。


それは決して、吉だけではないことを知る。


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