第5話 孤独
「そもそも、美里さんは、どうしてこの世界に?」
失礼だとは思ったが、知っておくのが吉だろう。
今後のためにも・・・
「半分は、君と同じだよ」
「僕と?」
「うん。事故で危篤状態にあるんじゃないかな・・・」
あやめさんも、言ってたような・・・
記憶があいまいだ・・・
「もう半分は?」
「この町が気に入ったんだ」
「この町が?」
美里さんは、うなずく。
「ロンリーの意味はわかるよね?」
「孤独ですね」
「そう、この町は文字通りの、孤独の町」
「寂しくないんですか?」
「うん」
美里さんは、なぜか生き生きしている。
「私も、元の世界では、孤独だったんだ。大勢の中の・・・ね・・・」
「大勢の?」
「孤独には2種類ある。周りに人がいる中の孤独と、誰もいない孤独・・・」
「そうですね・・・」
「どっちが、辛いかは・・・わかるね、忠雄くん」
前者の方が辛い。
僕も、そうだから・・・
「君の前に来た子たちは、『俺が変える』とか言ってたけど、
手に負えなくなったみたいね・・・」
確かに人と接した事がないと、どう振る舞っていいのかわからない。
それが、余計に孤独を招くという、悪循環なのだ・・・
「さてと・・」
美里さんは、立ち上がる。
「どうしたんですか?」
「出かけるよ、忠雄くん」
「どこへですか?」
美里さんは、笑顔で答える。
「この町の、しきたりを教えておく」
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