学校のマドンナ
「えっ…?ゲームですか?」
面識のない学校のマドンナからなぜかゲームのお誘いを頂いた。
「ちなみに、どんなゲームをするのですか?」
そう言うと先輩は、少しニヤッととした顔で
「いいえ、君が想像しているゲームはしないわ、というかできないわ。自慢じゃないけど私、ゲーム全般とんでもなく下手なの。以前友人の家でプレイさせて頂いたマ○オカート?なんかはずっと草のところを踏みながら走行するものだから七位以上を取れなかったの。おかげで友人にはもっと真剣にやってよと言われ、凄く悲しくなったわ…私はいたって真剣なのにね。」
あっ、聞いちゃいけないこと聞いたかな…でも先輩は何でもそつなくこなすイメージがあったから少し近づきやすくなったかもしれない。
「話を戻すけれど、私がキミとしたいのは…」
そこまで言うと先輩はうずくまってしまった。緊張しているのか足が少し震えている。
僕の方は先輩と顔を合わせたときからずっと緊張しているけれど。
少し時間がたってから、先輩は顔を上げて深呼吸してから艷やかな唇を開けた。
おい!?今ぷるんってしてたぞ!?
「私が君としたいのは恋愛ゲームよ。」
僕はなんか意外だなと思った。先輩もそういうゲームに興味があるんだ。ああいうゲームなら選択肢とかでプレイヤースキルが必要なわけじゃないもんな。
「了解しました。それでどのゲームをします?」
そういうと先輩は少し怒ってしまったような顔で、
「何か勘違いしていないかしら?私がしたいゲームは一切機械は使わないわよ?」
「えっ?」
「プレイヤーは私達自身、ゲームをするにあたって使用するのは私が前もって用意しておいたこの一冊の手帳だけ。」
鍵付きのやつだ…!こういうの久しぶりに見たな…。小学生のとき女の子たちがみんなこぞって交換日記していたとき、みんなこういう手帳だったなぁ…!ていうか準備がいいな…
僕が断ることを想定にすら入れていなかったのか…。断らないけれども。
「つまり恋愛ゲームというやつの内容は
交換日記的なことをするんですか?」
「そう。交換日記。私と君だけのね。恋愛ゲームといったけれど、私の意図は…と思ったけれど、これを言ってしまったらおしまいだから言わないわ。そしてこのことは決して誰にも言わないこと。いいわね?それと、この手帳の鍵は一つしかないから君が持っているときに無くしちゃだめよ?」
まさかあのみんなのあこがれの倉敷先輩と交換日記をするとは…考えてもみなかった。
「書く内容は今日の出来事とかでいいんですか?」
「だいたいはそれで構わないわ。ただし恋愛ゲームだから恋愛に関する出来事があれば嘘偽りなく書くこと。一週間のどこかで二人で確認します。ちょっと待ってね。」
そう言うと先輩は、肩にかけていた鞄をおろし、中にある何かを探し始めた。それはすぐに見つかった。何これ…結構大きいな…。
「この嘘発見器を使って嘘が見つかった際には嘘をついた回数分、相手の言うことを一つ聞くということにするわ。だからといってえっちなお願いはなしよ。お金のかかることもね。」
まぁ当たり前だよな、別に考えてなかったけど。お金のかかることは僕も嫌だし。
「でも先輩、僕平日バイトがある日がありますのでバイトがない日にお願いしますね。」
「そうなのね。ちなみに何曜日に入っているのかしら?」
「月火木です。」
「なるほど、了解しました。関係ないけれどどこでバイトしているの?」
先輩が気になっているのなら教えてもいいけれど。先輩いうように別に関係ないしね。
「学校を出てまっすぐ行ったら、一つ目の信号を右に曲がってすぐのラクドです。」
ちなみにラクドっていうのは某有名な超有名店の略称ね。
「ふーん。そうなのね。」
なんだか先輩の顔が赤くなった。なんでだろ。別に赤くなる要素なくない?それになんか嬉しそうだ。
「とりあえず今日のところはここまでにしておくわね。今日から日記を始めるけど今日は私が書くわ。あと渡す方法だけれど絶対に手渡しで渡すこと。いいわね?誰かに取られたりしたら嫌だから。」
そう言うと先輩は屋上から降りるためにドアの方に向かった。
あれ立ち止まったぞ?どうしたんだろ?
「いいことを思いついたわ!昼休みどこかの空き教室を使っておちあいましょう!それなら手渡しで渡すことができるし!それでいいわよね?」
「わかりました。それで構わないですよ。」
そう言うと先輩は今度こそドアを開け帰って行った。さっきの先輩凄く嬉しそうだったけど何だったのだろうか。お昼休みってことは、お弁当一緒にたべるってことなのかな?
少し楽しみにしちゃってる自分がいる。
けどこれは自分の中での秘密。
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