第23話 再びギルドへ

「よっしゃ。コタロウまたギルドへ戻るか」

「にゃあ」



出現した宝箱を回収し、道を塞いでいた巣を火魔法で焼き払ったオレ達はまたEDOへと戻る。






それから約1時間後。オレ達はギルドに到着し、木の扉を開ける。



「ギイ・・・」



中に入ると、誰もいない。まだ昼前だからであろう。

オレは奥に向かって呼びかける。



「アヤさんいますかー?」



すると、「はーい」



奥からアヤ姉が出てきた。今日は昨日とまた感じが違う。水色の浴衣に髪はアップにしてうなじを見せている。メイクもナチュラルにしているので、きれい系というかカワイイ系だ。というか浴衣の丈が短くてフトモモが露わになっているじゃないか。



オレはまたドキドキしてうまく話せない。うつむいてるとそんなオレにアヤ姉は、



「あら、シュウ君いらっしゃい。昨日はゴメンねー」

「え?なにが?」



オレはアヤ姉の白くてスラっとした足から目が離せない。完全に上の空だったが、どうやら謝られているようだ。



「・・・だからー。アレはまあしょうがないって言うか…って言うかシュウ君聞いてるの?」

「え?」



ハっとしたらアヤ姉と目が合った。



「もう、どこ見てるの?」

「あ、スミマセン」



どうやら昨日、他の冒険者と揉めたことのようだ。クエストの依頼書は、早い者勝ちだからどうしてもちょっとしたいざこざは起こるそうだ。特に新人の冒険者が、自分の力量に見合わないクエストを引き受けた場合、ほぼ確実に絡まれるとのこと。



「一言いっとくべきだったわね」

「いえ。ハチベエさんのおかげでなんとかなりましたので」


「まあ、それも含めてシュウ君の力なんだけどね」



つまり、そういったいざこざについては自己責任で処理しなさいよって事らしい。冒険者は自分の腕一本で食っていく職業だ。自分の力量を自分で見極めると共に、周りにもそれを認めさせなければ一人前とはみなされない。一人前にならなければいつまで経っても高ランクの依頼は受けられないのだ。



「なるほど。よく理解しました。肝に銘じておきます」

「それより今日は一体どうしたの?昨日受けた依頼の準備とかで忙しいんじゃない?」


とアヤ姉が不思議そうな顔をする。



「え?その依頼ですけど、女郎グモ討伐してきたんで報告に」

「ああそう?早かったわねえ」




アヤ姉は一瞬納得したが、次の瞬間目を見開いてコッチを見る。




「ハア?ウソでしょ?もう討伐してきたの?昨日の今日で?」




いつも涼しげな表情でほぼ感情を表さないアヤ姉の激しい剣幕にオレはちょっとびっくりしながら



「え?討伐してきたんですけど。ほら」



と言いながらアイテムボックスから例の宝箱を取り出す。宝箱の中身は、絹糸のような光沢のあるきれいな糸の塊だった。



「うん。コレは女郎グモの念糸だわ、うん間違いない。」


と次になにかブツブツ言い出した。



「あ、もしもし?例の女郎グモだけど。そう、口臭街道の。アレいなくなってるか見てくれる?え?もうきれいさっぱり?うん分かった。ありがとうね」


アヤ姉も念話出来るんだなあと思いながら見てると、額を押さえながらまだ信じられないといった様子だ。



「本当に討伐したみたいね。一体どうやって?」と言いかけて

「あ、これは聞かない方がいいわね」と思いとどまる。


オレもさすがにやばいかなあ。と思いながら“コタロウが本当に聖獣でした。”ってカミングアウトはしない事を心に誓う。



「それで、討伐報酬とそのアイテムを買い取って貰えますか?」

「ええ、分かったわ」



さすがアヤ姉だ。もう落ち着いていつもの様子に戻っている。大人の女性だ。



そんなやり取りをしていると2階からドタドタと階段をおりてくる音が聞こえてくる。

(あ、2階には人がいたんだなー)と思っていたら、


「アニキー。シュウのアニキじゃないですかー」


昨日の3人組だった。彼らはオレのところまでダッシュで来て一糸乱れぬ動きで目の前に並び90度のお辞儀をした。



「え?え?」



オレは現世では、完全に草食系だった。こんな輩の舎弟なんか持つキャラでは断じてない。

どうしてこうなった?

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