部活のお話 「先輩が高校の部活動で一番頑張ったのは後輩を虐める事ですね」

「先輩、お昼それだけで足りるんですか?」

「小食なので昨日の余り物を詰めただけで足りるんです。それはそれとして」

 中庭の外れで一人で昼食を取るのが日課になっていた私の隣で、後輩がお弁当の包みを広げます。中からは彼女のイメージにぴったりのピンク色のお弁当。

 何で彼女は私の隣でお昼を食べようとしているのか。

「あまり人に言えた事ではないのですが、あなた他にお友達は居ないのですか? つまりお昼を一緒するような」

「友達は居ますけど……でも先輩と二人っきりになれるチャンスは今しかないじゃないですか! 一緒に帰ろうと思ってもお家は正反対だし……。先輩がお昼一人で食べてるの見掛けて今しかないって思って」

「あらまあなるほど、先輩の隙発見という事ですね。確実に言えるのは私はあなたが求めるようなガールズトークは一切出来そうに無いという事なのですが」

「えぇー、そんなの期待してませんよー! 先輩と一緒に食事がしたいだけですよ! でも勿論先輩が私とお話してくれればとっても嬉しいです!」

「なるほど結構。私は私があなたの事が苦手なのがよく分かりました」

「先輩のそういうクールなところ格好良くって素敵だと思います! ……でも一緒にご飯食べるのが本当に嫌なら離れますけど」

「中庭は誰の物でも無いので好きな場所に座れば良いと思います」

「あ~ん、先輩大好き! 先輩の事、親しみを込めてむぃ」

「今、私の名前を口にしようとしましたね? 私の名前を呼ばないで下さい。あだ名も禁止」

「ふぁい、先輩」

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