部活のお話 「先輩が高校の部活動で一番頑張ったのは後輩を虐める事ですね」
「せんぱーい」
部活動中、走り終えた私にふわふわした声が投げかけられます。
声の主は発言から分かるように後輩で、彼女はタオルを持って、てってけ走っていました。
それらは別に良いのですが、彼女が声を掛けているのが私であり、私の元に寄って来ているのが問題でした。
彼女が先輩と呼ばなくてはいけない相手なんてそこかしこにいるというのに。
「タオルです!」
「そのようですね」
「使って下さい!」
「仰せのままに」
私は差し出されたタオルを受け取ると、彼女の額の汗を拭いました。
「私にじゃ無くて先輩が使って下さいよ!」
「私はタオルを使いましたが」
「そうじゃなくて先輩の汗をー」
言いかけて、感付いた様にあっと呟くと私に渡したタオルを取ると、後輩は私の額の汗を勝手に拭います。
「ドリンクもありますよ! 作ってきました!」
「水で結構」
こうした具合に私はある後輩に何故か懐かれてしまいました。
彼女が私の何を気に入ったのかは分かりません。
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