フル鬱☆蔵ノ浦
Heartbeat_ga_DOKKIDO
部活のお話 「先輩が高校の部活動で一番頑張ったのは後輩を虐める事ですね」
私の通っている高校では生徒は皆、部活に入らねばなりませんでした。
なので火薬が炸裂する音が聞こえると、私は走っていました。とにかく全力で。
隣のレーンで誰が走ってるとか誰かに抜かれたとか何も考えずに、手足を左右交互に前に出して、大体11秒くらいでゴールします。
度々そういう事をしていたら顧問からやけに指導を受けるようになりました。
彼は私のフォームだとか呼吸だとか、そういうのを改善してより良い成績を出して欲しい様でした。
その姿勢は少々熱が入ってたようで、傍から見るとエコヒイキに見えたようです。
ですが私は走る事自体が目的なので速く走る事には興味がありません。
私が先輩を差し置いて大会やら選抜やら、細かい所では体育祭のリレーやらに出場する事は糾弾の対象になるようでした。
ですが私は行事にも大会にも別に興味はありません。
その事が他の部員から要らない嫉妬を買いました。
そうした背景があり、部員の大多数はまるで子煩悩な親の如く私の一挙手一投足を見守り、私の日々の生活ぶりについて陰で、或いは私に聞こえる様に囁くのが彼女らの部活動及び部外活動の一部となったようです。
私が買いたい物はスーパーの特売品くらいだというのに、とんだネガティブオプションです。
しかし何と言われたのかはっきり言って覚えていません。
興味の無い役者や作家のドラマや、何となく表紙買いした小説のタイトルとかそういうのと同じです。見た事は覚えていても感心も感動もしない内容は覚えていないのです。
それに……何より私にとって厄介事とは敵意ではなかったからです。
ああ、私は興味が無いというのに。
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