第九葉 「ケア」とは何か?
ケアとは何か? この問いに対する答えは、調べてみるといろいろあって、人により所により時代により様々に考えられているように見えます。でも、よくよく見ると、ケアという言葉を使って人が何かを訴えようとするときには、時代を超え場所を越えてなにか共通する切実な思いのようなものがあることに気づきます。それは、こんなふうに要約できるのではないかとわたくしは思います。
(ケアの定義)
ケアとは、人間の力ではどうしようもない悲しみや苦しみを、みんなで分かち合って背負うということ。そして、人間の力でなんとかなる悲しみや苦しみは、放っておかずに無くしてしまうということ。
ケアをそのように定義した場合、ケアには双方向性があると分かります。どちらかが一方的に与えるとか、一方的に受けるということではなく、お互いに支え合うのがケアです。誰かを介護した経験のある人なら、いつの間にか自分の方が支えられていた、と気づく瞬間がけっこうありますよね。介護を「売ります、買います」の商品扱いする感覚に慣れてしまうとつい見落としてしまいますが、双方向の体験は日常生活の中にあふれています。このところ自然災害が相次いでいますが、被災地で被害にあわれた人たちとボランティアで現地に向かった人たちとの間でも、支える側が支えられていたり支えられる側が支えていたりという双方向の体験が当たり前に観られました。また、なぜ行政は何もしないのか、なぜ義援金がすぐに配られないのかと誰しもが思いますけれども、これは、人間の力でなんとかなる悲しみや苦しみを放置していることに対する怒りですよね。人間が誰でも持っている「ケアの力」が表に出ている姿です。
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