結末はいつも悲しい
私は葬式には出ませんでした。
彼と、私の家で、あの部屋で、泣いたのです。
正直のことを考えながら、しくしくと。
引き出しから一枚の紙がはみ出ているのに気づいたのは、そうしてうつむいてばかりいた時でした。
引っ張り出すと、まさしく私の字で、こう書かれていました。
「正直はきっと私を騙す」
ただ、私にはその意味が理解できませんでした。というより、それが、どれを指しているのか、全く想像ができないのです。
正直はもう、死んでしまいました。
私に「うそだよ」と言ってくれる人はいません。
あるいはすでに呪縛は解けているのかもしれませんが、きっと、私は常に疑念を抱きながら生活をしていくことになるのです。騙されているかもしれない、と。
知識か? 気持ちか?
代償は何だった?
何もわかりません。思い当たりません。
■
だから皆様、教えてほしいのです。
私は正直に、どんなうそを言われたのでしょう。
この話のどこから、私は騙されていたのでしょう。
前提から? 途中から? あるいは、結末でしょうか。
彼のうそは一体何だったのか。
それを、どうか、教えてください。
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