第3話 姉妹の認識
何かが変わるときは全て突然で。
いつ起こるか分からない。
私の場合は朝突然起こった。
いつもは義母、母親が起こしにくるのだが、今日は違った。
「おねえちゃん。朝だよ」
私はまだ寝ぼけた脳でいつもの違う声を認識するがただ寝ぼけている。
「ねむい。まだねる」
私は再び寝につこうとするがそれを抑制される。
「だめだってば。おきてよ。」
私の体を揺さぶる。私はその手を取り止めようとする。いつもなら母親の手なので掴んでもなにも起こらないしむしろそのまま起こされる。
強制的に。だが今日は違う。
その手は軽く私の力の方が強く、私がベッド引きづり込むようにして、手を引く。おかしいなと思い目を開けると、そこには。
ミオンの顔がすぐ近くにあった。
近い。
「あっごめん。痛くなかった?」
さっきまで寝てたと思えないぐらいに私の頭は覚醒する。
これでミオンをケガさせてしまったらと思うと私は。
ミオンは
「だいじょうぶだよ。もう、おきてるならすぐおきてよね、おねえちゃん」
一緒のベッドに居る状況をもろともせずにミオンは私に話しかける。
ただ。すぐにミオンは立ち上がり
「ごはんできてるから、よういしてね」
私よりしっかりしてるんじゃないか?と思う
「わかった。ありがと」
私はミオンが初めて起こしに来た喜びを噛みしめて用意をするのであった。
こんなことがあったんだよと私はヒナと喋っていると
「ほんと仲良くなってきたわね。良いことだわ」
と感心してるのか分からないが相づちを打つ、ヒナ
「仲良くなってきたかはまだ分からないけどね、ヒナはチドリが起こしに来たりするの?」
私は質問を投げる。
少し首を傾げるヒナ。
「起こしに来るとゆうか一緒に寝てるし」
私は大きく首を傾げる
それを見たヒナは
「あら?おかしいことかしら」
おかしいかおかしくないかは分からない。ただ私は誰とも一緒に寝たことがないから、一緒に寝ると言うことが不思議で仕方なかった。お父さんと一緒になんて寝れたもんじゃないと五歳の時に思ったことはある。
「最近チドリが甘えん坊でねぇ」
言葉は困った風を装うが表情は凄く嬉しそう
「一緒に寝るとか言って聞かないのよ、良いんだけどね。あったかいしチドリが居ると安心して寝れるし」
小学校卒業までヒナとチドリは一緒に寝ることになるがそれはまた別のお話。
「へえ。そうなんだ」
私は適当な相づちを打つ。そろそろ夏休みになろうとしていることを教室のカレンダーで思い出す。
「エリカとチドリが会ってからチドリがすごい甘えてくるのよね、なんでかしら」
「そりゃ、お姉ちゃんを取られたくないからでしょ」
と私は当たり前でしょと思いながらも口にする。
「?、取られるもなにもないじゃない。私はチドリの姉さんなんだから」
それを私に言っても、と思うんだがそう宣言出来るのはヒナならでは、な気がする。
「ところで何回かエリカはチドリに会ってるけど、私は会ったことないんだけど。ミオンちゃんに」
そう。チドリと初めて会って2ヶ月ぐらい経っているがまだミオンとヒナは会っていない。
機会がなかったと言えばそれまでだけど、私はミオンのことをなんて紹介したらいいか分からない。妹?まだ誰かに妹ですなんて紹介したことがない。私は姉に相応しいのか、妹は姉と思っているのか不安だった。
それを察したのか、私が顔に出してたのか分からないがヒナは
「よし次の休み時間少し長いから私にミオンちゃんを紹介しなさい」
反論も出来ずに次の授業を知らせるチャイムがなるのだった。
私はミオンを探しにミオンの居る教室へ向かう。
「ミオン、ちょっといい?」
「あれ?おねえちゃん。どうかしたの?」
黒く長い髪が揺れて今朝も見慣れた顔をみる。
と隣に
「げっ」
あまりにも歓迎されてない声が聞こえる。
「げっじゃないでしょ」
「なんでエリカが居るのよ」
「私的にはチドリが居ることの方が不思議なんだけど」
チドリがミオンと一緒に居た。
一緒の年齢だし、一緒の学校に居るのであり得ると言えばあり得るのだけど。
意外ではある。
チドリにはミオンのことは言ってないから、どう説明しようか悩んでいると
ミオンがチドリに説明する。
「チドリちゃんはおねえちゃんのこと知ってるみたいだけど。私のおねえちゃんだよ」
おねえちゃんとは言われてるものの他人におねえちゃんと紹介されるのは嬉しい。
「あれ?ミオン。姉いるって言ってたっけ?」
「ううん。言ってないよ。特に機会なかったし」
初めてミオンが誰かと喋ってるのを見た。
だからと言ってどうとゆうことはないのだけれど
「で、なんでエリカが居るの?」
話の根本に戻る。わりと助かる
「そうそう、あんたの姉にミオンを紹介しろって言われてね。」
「ヒナが?」
二人してきょとんとしてる
チドリはなぜと
ミオンはヒナ?誰?姉って?みたいな感じだろうか。
「今説明するのも二度手間になりそうだしとりあえず来て。ミオン」
私はミオンと教室を出る。
「でなんで、あんたがいるのよ」
私は着いてきたチドリに声をかける
「そりゃヒナに会うためよ」
「別にチドリを呼んでた訳じゃないんだけど」
「ヒナはずっとわたしを呼んでるわよ」
なに言ってるんだこの子はと思ってしまったがヒナに会ったらそんなことを思わざるおえないのだけど
「チドリ、待ってたよ」
と姉妹で抱きつく二人。
「いや、私たちじゃないんかい」
顔だけこちらに向けるヒナ
「心の中でチドリ待って、あなたたちを待ってたのよ」
ヒナは名残惜しそうにチドリを離す。
チドリはほっぺを膨らませていじけた表情でこちらを見る。何故?
「この子か。エリカ紹介して?」
一瞬。ほんの一瞬。勇気をこめる。私はこの子の姉として名乗れるのかと思もう。が姉と紹介されて嬉しかった。それだけで私の背中は押された。
ミオンを私のもとに引き寄せる。
「この子がミオン。私の妹よ。」
それでも少し声音が震えてるのが自分でもわかる。
それを感じとったのかミオンが私の手を握る。
「ミオンです。おねえちゃんの妹です。よろしくお願いします」
ヒナに頭をぺこりと下げる。
「丁寧にありがとう。ミオンちゃん。エリカの友達のヒナよ。で多分二人は友達なのかしら?この子が私の愛しい妹よ。」
四人でお辞儀をしてる異様な光景が生まれる。
後日談にはなるがミオンが私の手を握ったのは声を震えてるのも分かったらしいのだが。それより妹と言うのが怖かったらしい。私からも力を与えられたと思うと凄く嬉しかった。
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