第2話 姉妹との出会い

「ヒナ、私、ミオンにただいまって言えたわ!」

ミオンにおかえりと言ってもらった次の日。

意気揚々と私は、ヒナにお礼と嬉しさを伝えるのだった。

「そう、よかったじゃない。」

少し鼻を高くしながらヒナは答える。

と、私は少しヒナの髪に違和感を覚える。

いつもは肩まで伸ばした髪が縛られてないのだが今は後ろでまとめられているが少し、いやかなり雑にまとめられているだけとなっている。今にもほどけてゴムがするりと落ちそうだ。

「あら、髪の毛今日は縛ってるのね。でも今にもほどけそうじゃない?」

何故か少し嬉しそうな顔をするヒナは

「そう。チドリに結んでもらったの。」

ほんとにヒナは妹のことが好きらしい。

それは良いことだと思う。

「それから、妹さん。ミオンちゃんとは喋ったの?」

意外と気にかけてくれてるのだろうか、分からないが私は嬉しさと憧れでするすると喋っていく

「少しね。ミオンの好きな食べ物だったり好きなことだったりね」

それから私とヒナは休み時間の度に、

私達姉妹のこと。

ヒナ達姉妹のこと。

私とヒナのことを喋り、私とヒナの2年は過ぎて行く。


ただ、その二年間で私とミオンは仲の良い姉妹とはお世辞には言えないのものの最初に比べると仲良くなっていった。

少しぎこちないが喋るようになり、おはよう等積極的に言えるようになった。

一緒に遊んだり、ゲームしたり、ミオンがそこに居るとゆうことを意識するようになった。

私自身、家に居るのも楽しくなったしもっと仲良くなれたら良いなと思っていたし理想の姉妹。

ヒナとチドリみたいな姉妹になりたいと思っていった


少し変化が起き始める。

ただ変化は良い変化なのか悪い変化は分からない。

変化なんて日々を過ごしていれば変化していくが


私とヒナは3年生になった。

そしてミオンとチドリは1年生になった。

同じ小学校に入学した。当たり前のことだが

そして私は初めてチドリと会うことになる。


3年生になって少ししてから、ヒナが私に紹介したい人が居ると言われて、ヒナの家に遊びに行くことになった。ヒナとはたまに遊んでは居たが家に行くのは初めてである。

そして誰かの家に行くのも初めてである。

そもそもヒナ以外友達と呼べる人は居ない気がするけど

チャイムを押しガチャと玄関の扉が開いてヒナがいらっしゃいと言いながら私を2階にあるヒナの部屋へ招待する。

私はそれに従いヒナの部屋に入る。

ヒナの部屋はなんというか物が少なくベッドと勉強机と丸い台と本棚があるだけだった。

「そこら辺に座ってて」

とヒナは私に言い残し部屋を去る。

私は座りながら待つ。

すると部屋の外で少し喋り声がしていると扉がノックされる

「入るよ」

そこにはヒナに良く似た女の子がヒナと一緒に立っていた。

その表情は決して歓迎されてるものではなく敵対心すら感じるのだった。

「もう、そんな顔しないの」

とヒナが隣の女の子に優しい声音で語りかける。

「だって…」

「だってじゃないでしょ。ほら挨拶して」

ヒナが隣の女の子の背中を少し押して前に出す

「ヒナ、姉さんの妹のチドリ」

一言だったがこの子がチドリかと思った。

チドリは髪は短く毛先はまとめられてなく、少し見間違えると男にも見えそうだったがヒナと顔が似ていて綺麗で1年生の頃のヒナを見ているようだった。

「ヒナとお友達のエリカです。ヒナからよく聞いてる。よろしくね」

私はチドリに向かってぺこりと頭を下げる。

するとチドリは少し頬を赤らめる。

白い肌は赤くなるとすぐ分かる

「ヒナ、わたしのことよく喋ってるんだ」

聞こえないふりも出来そうなぐらいに小さい声で囁く

「とゆうことで私の妹です。これからは一緒に仲良くしてやってよ」

「うん。こちらこそね」

「わたしはべつに」

チドリは少し乗る気では無かったが私はヒナからの目線だけではなくチドリ目線からも姉妹像が聞けると思うと嬉しくなっていた。

それからチドリは自分の部屋に戻り私とヒナは

「ごめんね、ほんとにあの子は私にしかなつかないんだから。」

「最初だし、仕方ないよ。でもヒナの妹だし私は仲良くなれたら嬉しいよ。」

私は少し心を隠しながらも本心を吐露する

ヒナは嬉しそうに

「ありがとう」

と照れながら言うのであった。


時間が経過して私はトイレに行きたくなり、ヒナにトイレの場所を聞いてトイレに行く途中にチドリと出くわした。

そりゃ同じ家なんだから当然である。

敵対心ばちばちで話しかけてくる。

「これ以上わたしとヒナの時間を少なくするなら許さないから。」

あぁとこの子はヒナを取られるんじゃないかと心配してるのか。

「ただでさえヒナ最近帰っての遅いし、エリカのこと喋るし。もう。お母さんはヒナにべたべたしすぎ、嫌がってるでしょとか言うし、ヒナがわたしのこと嫌がるはずないのに。別に良いじゃんね。姉妹なんだし。」

ぶつぶつと文句が出てくる。

途中から私関係無くなってるような…

少し私は聞きたいことが出てくる。少しではないのだけれど

「チドリはヒナのこと好き?」

とこれが一番聞きたいことである。

チドリは当たり前と言わんばかりに自信満々に

「大好き。姉さんのことを嫌いな妹なんているはずないじゃない」

と答えるのだった。


私は家に帰る途中考え事をする。

初めてチドリ、他の妹に出会ってあんなにヒナのことを好きだとは思ってはいたが、いざ目の当たりするとすごいものではある。

姉妹揃って互いを大好きと言える存在。

私にはそれが眩しく見える。

憧れるなぁ。

私は妹、ミオンのことを好きと言えるのだろうか、分からない。今はまだ言えない気もする。喋るようになり、ミオンのことを分かりはじめた気がしてるが、それでも分からないことの方が多い。分からないから好きではないと言うことではないが、それでもまだまだ、だ。

理想には程遠い。

まだまだ聞いて実践しないとなぁと思いながら家に着く。


ドアを開け、そこにはミオンが居た。家事をしていたのか、こちらに気付き、纏められている長い髪が揺れて私の方を向く。

「ただいま、ミオン。」

いつもと変わらず、可愛らしい笑顔で

「おかえり、おねえちゃん。」


好きだなぁと思ったのは言うまでもない。

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