#9
何度目かの通院帰りにいつものカレーを食べに店に入った
定期的に通うと店主に顔を覚えられ世間話をしてカレーをたいらげる
最近じゃ薬も飲む頻度が減り代わりに外でビールを飲むようになった
最初はカレーを食べて会計してずらかったのが
カレーを食べてから店主とビール片手に談笑するのがメインディッシュに変更しつつある
「凄い回復力ね」
隣に座った女性の声に衝撃が走った
振り向くとそこには担当の女医のマリアだった
「患者のプライベートまで監視するなんて先生も人が悪いな」
皮肉交じりにマリアに投げかけた言葉に後悔なんてなかった
普段の白衣からわからない彼女から溢れ出る妖艶さに心を踊らしている
ビールのせいで妖艶さは2割増に見えてるかもしれない
「初診で見せた可愛げは今は見当たらないわね何処に置いてきたの?必要なら探すの手伝ってもいいのよ」
皮肉を返してきた彼女に俺はやられた
それから彼女と深い仲になるのに余計な段取りは必要としなかった
マリアなんて名付けたけど彼女の名前はマリヤ
妄想の末の渾名の母音は偶然が重なり
無意味な偶然は運命なんて言葉に絆され踊らされた
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