星の行く末
勝利だギューちゃん
第1話
「ルタ、ルタはおらぬか」
「はい、ルタここに」
ある日、私は神様に呼ばれた。
私はルタ。
天使だ。
まだ、見習いだけど・・・
「ルタ、この星を見よ」
そこには、青い星が映し出されていた。
「きれいな星ですね」
「そう思うか?」
神様の問いが、私は理解できなかった。
「まあ、仕方あるまい。ならこれを見よ」
「こ・・・これは、ひどい」
そこには、先程の青い星の、中身が映しだされたいた。
「ルタ、この星を滅ぼしてまいれ」
「私がですか?」
「この星は、失敗作じゃが、この程度の星なら、お前の力でも、たやすく滅ぼせる」
その使命に、私は承諾した。
「わかりました。ただちに滅ぼしてまいります」
「頼んだぞ」
私は、その青い星にむかった。
確か、地球とか言っていた。
どうやって滅ぼそう・・・
この星は、国などというものをつくり、それぞれがいがみあっていると聞く。
特に、人類という種族は、自己利益のために、地球を私物化している。
たしかに、残しておく価値はない。
私は、この星の日本という国に降り立ったが・・・
「いてて・・・」
着地に失敗して、怪我をしてしまった。
でも、さすがに他人の事には、無関心だ。
私の事は、見て見ぬふり。
まあ、そのほうが、ためらいなく、滅ぼせる。
「あのう、どうかなされましたか?」
ひとりの男の人が声をかけてきた。
下ごころがあるのかしら・・・
「いえ、転んだだけで・・・」
「でも・・・あっ、ひどい怪我。救急車呼びます」
まずい。
「いいです。すぐに治りますから」
「じゃあ、うちで手当てをします。すぐそこですから」
何か、やましい事を考えているのかしら?
まっ、いいわ。のってあげる。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「では、つかまってください」
私は、この男の人に、おんぶされた。
なぜだろう?
とても、温かい。
「ただいま」
「あなた、お帰りなさい。あっ、その子は?」
「そこで、怪我をして倒れてたんだ。ほっとけなくて・・・」
「そう・・・大丈夫?」
これが、この星の夫婦なのか?
神様から、聞いていたのと違う。
「じゃあ、傷の手当てをするからね」
「はい」
「大丈夫だよ。僕の奥さんは、看護師だから」
看護師?
ああナースさんか・・・
神様が言ってた・・・
怪我をしたところに、包帯を巻いてもらう。
「いてっ」
「ごめん。痛かった?」
「大丈夫です」
何なの?この人たち?
私を誘拐するつもり・・・
「あのう・・・」
私は、この夫婦に訊いてみた。
「私の事、訊かないのですか?」
「ああ。いいたくなこともあるだろ?」
「ええ」
家出少女と勘違いされているみたいだ。
しばらくして、女の人が料理を作ってくれた。
「お口にあうかどうか・・・」
これが、この星の料理か・・・
毒でも、入れているのかしら・・・
まあ、私には効かないけど・・・
「美味しい・・・美味しいです」
「それは、よかった」
とても、喜んでいてくれた。
私は、怪我な治るまでの間、この夫婦の家で、お世話になった。
「いろいろ、お世話になりました」
「また、いつでも遊びに来てね」
「はい」
夫婦で見送られた。
何もなかった・・・
私は、任務を忘れて、神様の元に帰った。
「ルタ、なぜ滅ぼさなかった。あれほど言ったのに・・・」
私は、本当の事は言えなかった。
でも、自然と言葉が出た。
「お言葉ですが、神様、あの星は、私たちが手を出す必要はありません」
「どういうことだ?」
「これを見て下さい」
私は、あの地球という星の、悪い面だけを、報告した。
「この星の生き物、特に人間は、いつまでだっても、過ちを繰り返します。
自滅していくと、思いますし、地球もほっておかないかと・・・」
恐る恐る、神様を見上げた。
神様は、笑顔で答えてくれた。
星の行く末 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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