自殺
学校に着くと、やっぱり早過ぎたのか誰もいなかった。
窓から見える空の切れ間の淡い浅縹色が独特な雰囲気を創り出す。孤独を暖かく思わせるような。
一番窓側の、一番後ろの自分の席へ行く。
萎れた白い菊の花が花瓶に刺さってくたばっていた。これがお前の真実の姿だろう、お前も早く死んでしまえ。とでも言って、私に見せ付けるように……。
花瓶の下に、花びらが数枚落ちていて、更にその下に真っ白な手紙が置いてあった。ふたつに折られている。
開いて見てみた。
『かわいそ〜な虐められっ子へ♡
こんだけ虐められてんのにまだ死なないとか本当に凄いと思うから、そろそろ死人っぽく机の上に菊の花をプレゼントするね
馬鹿でトロくてなんも出来ないくせにテストで毎回満点取ったりするようなムカつくお前なんか死んじゃえばいいしそうすればみんな喜ぶよ(笑)
早く死ねばいいのに
奈津香より』
びっくりするぐらいに見事な丸文字と殴り書きのコラボレーション。読みにくいし汚い。
なんて、今はどうでもいい。
本当に死んだらあいつはどんな顔をするんだろう。
「ほんとに死んじゃったじゃん」「殺人鬼」ってみんなに責められれば面白いな……
そう考えながら歩いていたら、教卓の横にある机の前にいた。
その机の中から尖い鋏を取り出す。指を入れる所に指を入れず、握りしめ、冷たい刃を首に
刺した
冷たいものが体内に入った感覚。鋭い継続的な痛みと共に紅い血が溢れる。その液体は首を伝い、制服の襟をじわじわと温く、赤く染めて広がる。
暗く……
死
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