第14話
さっと見渡すと三人ほどいるな。あとは……。
ドゴォォォォォン!!
「お、おい、大変だ! 町の門が壊されたぞ!」
さすがにこれはやりすぎだろ……。
カイは苦笑交じりにすぐ近くにいる暗殺者を殺していく。
「や、やばいぞ、町の外から魔物達が現れた!!」
やはりここまでしてくるとはな。
というか、この国もそのうち滅びるんじゃないのか?
まぁ、魔物ならプラークがどうにかしてくれるな。
(俺は今自分でできることをするだけだ)
ため息を吐きながらとりあえず、近辺の暗殺者を倒し終える。
◇
「はぁ……、ようやくおわった……」
プラークの店で椅子に深々と腰掛けて俺はため息をつく。
「一体何人やったんだ?」
「さぁな。どうにもこの国の国王をどうにか排除したいという勢力があるみたいだな」
「それなら戦争で仕掛けてくれ。どうして暗殺で済まそうとするんだ……」
「それは今の時代背景だろ。圧倒的九人の暗殺者がいるわけだし……」
「まぁ、そうなんだけどな……」
「それじゃあ私は家に戻るからまた報酬を頼むわね」
「あぁ、プラークが持って行くよ……」
「って俺なのかよ!? まぁいつもの仕事だもんな」
ため息交じりのプラーク。
「そういえばチルは店の方、大丈夫だったか?」
「はい、お客さんは一人も来ませんでした……」
まぁ町の中で騒動があったわけだからな。そんな中にのんびりカフェに来るやつもいないか。
「まぁ、いいか。それじゃあ俺たちも帰るか……」
「はいっ」
チルが笑みを見せてくる。
何だかそれを見るとホッとする。
日常を感じられるからだろうか?
首を傾げるカイ。
「おっとちょっと待ってくれ。カイに一つ依頼が来ているぞ。えっと……、これは
「隣の国からか……。それで内容は?」
「えっと、……すごくわかりやすいな。この国の国王を殺してくれって書かれているぞ」
「なるほどな……」
カイはニヤリと微笑む。
「ここまでわかりやすいとは思わなかった。どう考えても今回の暗殺騒動、アルストラメーグ王国の人物が犯人だ。問題はこの依頼を受けるかどうかだな」
「まぁ、わざわざ守った国王を殺すかどうか……になるもんな」
「それにおそらくもうすぐ――」
カイがニヤリと微笑む。それを見てプラークは不思議そうな表情を見せていた。
「まぁ明日にはわかることだな。とりあえずその依頼は保留にしておくよ」
「……? まぁわかったよ」
◇
翌日になり、いつもと同様にカイはプラークの店へとやってきた。
するとプラークが紙を手に持って固まっていた。
「あっ、カイか。よく来たな……」
「どうしたんだ、顔色が悪いぞ。何か変なものでも拾い食いしたのか?」
「お前の中で俺はどういうやつなんだ?」
呆れ顔を見せてくるプラーク。
しかし、すぐに手に持っていた紙を見せてくる。
「それよりもお前に新しい依頼だ」
見せられた紙を見てみるとそこにはこの国の国王からの依頼で内容は『自分を殺すように命令したやつの暗殺』だった。
「まぁこうなるよな」
「それでどっちの依頼を受けるんだ? どっちも受けないという手もあるが……」
「いや、せっかくだ。両方受けるか」
カイがニヤリと微笑むとプラークは不思議そうに聞き返す。
「どうやって受けるんだ? どうやっても先に殺した方からは依頼料が受け取れないぞ?」
「あぁ、だから交渉をする。よろしく頼んだぞ……」
「はぁ、またか。それでどんな交渉をするんだ?」
「アウストラメーグ王国の方に金は先払いで払うように伝えてくれ。一部だけになっても構わないからな」
「なるほどな……。わかったよ。それでこの国の国王の方はふつうに受けておけばいいんだな」
「あぁ、よろしく頼む」
「わかったよ……」
ため息交じりのプラークが奥の部屋に入っていく。
そして、話が終わるとチルが不思議そうに聞いてくる。
「えっと、カイさん、お出かけですか?」
「あぁ、隣の国までな」
「わ、私はどうしたらよろしいでしょうか?」
「そうだな。チルはどうしたい?」
「えっと、私はカイさんと一緒に行ってみたいですけど……」
「わかったよ。それじゃあ依頼が終わるまでチルは一緒に連れて行くぞ?」
「あぁ、構わないよ。どうせ数日だからな」
「まぁな。行く方が時間がかかるくらいだ」
「はは……、それじゃあ国王には承諾の報告を、アウストラメーグ王国の方には前金を渡してくれって言っておくな」
「任せたぞ」
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