『新発売! 戦慄の焼きそば』

やましん(テンパー)

『新発売! 戦慄の焼きそば』


* このお話は、すべてフィクションです。お店に行っても売っておりませんので、ご注意ください。




  ************ 🍜 🍜 ************


 

 みなさん! 当社は、このたび『戦慄(旋律)の焼きそば』を、火星と地球で同時発売いたします。


 最高の、ババヌッキ・ソースを使用した、本格派カップ焼きそばです。


 しかも、ただの焼きそばではありません。


 一筋食べれば、あなたの喉から、すばらしいお歌が溢れて来ます。(一本約30秒間)


 一本ならば、ソロで


 二本ならば、デュエットで、


 三本ならばトリオで


 四本ならば、本格的四重唱となります。


 もちろん、歌詞も自動で再生されます。



 《地球日本地域》バージョンのジョンャンルは、6つです。


 《シャンソン》・・・恋のお歌


 《演歌》・・・日本の心


 《クラシック》・・・本格的な地球のクラシック音楽的歌曲


 《浪曲》・・・本格的浪曲の世界


 《ラップ》・・・本格派ラッパーの世界

 

 《シークレット》・・・何が出るかお楽しみ!


 

 なお、ソロ以外は、どのようなハーモニーになるかは、その時の運です。


 強烈な不協和音になる場合もありますが、それもお楽しみのひとつ。


 さらに、歌詞も刺激的な内容を含みます!


 あなたは、もうやめられない!


 普段は言えない言葉も、簡単に言えちゃうのだ!


 恋の告白も、ありかも!?



 *なお、製品の性格上、人前ではお食べになりませんよう、強くお勧めいたします。(この食品をお食べになったことが原因で生じたトラブルに、当社は一切関与いたしません。)


 *《戦慄のうどん》《戦慄のラーメン》《戦慄の日本そば》も、続々発売予定です!



 ************   **********



  【本人に責任があるのか? 大論争勃発中! 裁判沙汰にも・・・】 


 先に『ババヌッキ火星食品』から発売されていた《戦慄のそばシリーズ》を食べて、勝手に歌われる歌の歌詞が原因となり、各地で言い争いや、喧嘩が多発しているという。


 実際、食べてみないと、どのような《歌詞》の歌が出てくるのかわからない。


 争いになった場合、一体、だれの責任なのか、激しい論争になっている。


 わが国だけではなく、海外でも同様の事態が相次いでいるらしい。


 裁判闘争に発展している事例もあるという。 


 しかし、中には、名旋律が生まれたりもして、地域の人気曲になっている場合もある。


 この場合、こんどは『著作権』は誰に属するのかも、争いとなっている。


 会社側は、著作権は、あくまで、会社に属する、と主張する。


 また、激しい、上司批判や、政治家批判の歌詞が出てきた場合もある。


 会社側は、人前では食べないように推奨していると言うが、職場の昼食時や、宴会時に、仲間で食べ合うことも流行しており、たまたま、その場にいて、切れてしまった上司が、部下になぐりかかった事例も発生しているという。


 製造発売元の責任を追及する声も出ているという。


 『ババヌッキ火星食品』の、やましん営業部長は、『どのようなものも、使い方によっては、凶器になる場合があります。火星では、現在、大好評になっておりますが、あくまでも、楽しい趣向として、高く評価されております。地球での争いは、理解しがたい。お箸もフォークも、使い方によっては、実際に『武器』になります。扱い方の問題です。地球人のみなさんにも、仲良く、楽しく、おいしく食べていただきたいが、発売中止にすることも含め、現在対応策を検討中です。』と述べている。


 火星の食文化評論家、ショウユ・ソース氏は、『まだ、地球人類の社会文明は、そこまで進化していない。貨幣経済からは脱却している火星と同様には扱えないのではないか。200年は早すぎたのではないか?』とも、述べている。


                       (社会食品部 記者 🍜)




  ************ 🍣 🍜🍜🍜 🍣 ************




 








 



 





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『新発売! 戦慄の焼きそば』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る