第2話昼
桜はまだ咲かない。
何が見えるのだろう。
彼女に会いたかった。
「伏せ目がちでね、いつも本を読んでいる」
図書室で見る女の子の話をした。
「ふうん?美人か」
友人は聞く。
彼にだけは色々話せる。
女の子のことも。
「どこか心に残る顔なんだ、まっすぐにこっちを見た時の視線がね、忘れられなくなるような」
僕は言う。
彼女が手にする本はどんな本なんだろう。
知りたかった。
本について話をしてみたかった。
その少し変わった色合いの、どこか灰色がかった瞳を覗いてみたかった。
彼女の目に僕を映してみたかった。
「・・・へぇ、俺も見てみたいな」
友人は言った。
「駄目。話しかけたら消えちゃいそうなのに、君なんか絶対だめ。騒ぐだろ」
僕は言った。
「・・まあ、ね」
友人は笑った
「でもね、桜が咲く日にはね・・・君にも会わせあげられるかも」
僕は言った。
「桜?」
友人は不思議そうに言った。
知らないらしい。
確かに。
先生達でも知らない人がいた位だ。
でも古くからの伝説なのだ、この学校の。
「知らないのか。この学校の桜はね、満開に咲くその夜にその下では何かが起こるんだ」
友人は興味を示した
「何かって?」
聞かれる。
「死んだ人はずの人が帰ってきたり、不思議なものが現れたり、色々だ。ただ、満開に咲く、その夜だけの話らしい、だから・・・」
僕は友人に計画を話始めた。
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