第8話 この手は離さないで
昨日の早朝、姫野は顔も見せずに帰った。
僕はそれが気がかりでいつもより一時間以上早く登校してしまった。いてもたってもいられなかったのだ。
他に誰もいない教室で意味もなくスマホをいじり、溜め息をついては窓の外を見上げる。今日も今日とて清々しい快晴だが、僕の心には暗雲が立ち込めていた。
いっそのことRINGでメッセージを送れば、この心の雲は消えてくれるのかもしれない。しかし僕はそんな勇気を持ち合わせていないし、なんて訊けばいいのかも分からない。
コミュニケーション能力がもう少しあれば、なんて思った。
何度目か分からない溜め息をついたところで、ふと廊下から微かに足音が聞こえてきた。
これが姫野の足音だったら。
規則正しく響く足音に思いを馳せるが、そんな偶然あるわけない。
例えそんな偶然があったとして、姫野になんて声をかけるのか。
普通に挨拶でも交わすのか? 顔も見せずに帰った理由を訊くのか? それともまったく関係ない世間話でもするのか?
乙女心というものは複雑なものなのだ。意図せず乙女心を傷つけてしまったら、意図も容易く崩壊を招く。何気ない言動で、跡形もなく消え去ってしまう。
そしてそれを僕はしてしまった可能性があるのだ。
昨日の別れ際に姫野が放った言葉が、今生の別れのような雰囲気を醸し出していた。それに声は震えていて、泣いているようにも思えた。
つまり僕はいつの間にか姫野の地雷を踏み抜いて、姫野の乙女心を粉々に粉砕したかもしれない。
さらに状況は悪く、僕には姫野の乙女心を傷つけたという自覚が一切ない。男と女の意識の差というものは理解しがたい。
そんな僕が姫野になんて声をかけていいのか。それ以前の問題として、僕は姫野に話しかける権利があるのだろうか。
頭の中では大渋滞が発生している。朝っぱらから姫野に振り回されている。
曇り空の渋滞を解消するため、しっかり深呼吸を繰り返す。
普段通りの落ち着きを取り戻すには至らなかったが、頭も心も幾分か楽になった。
しかし、そんな心の余裕を踏み荒らすかのように足音はこの教室に近づいてくる。
あのドアを開ける人物は誰なのか。姫野か、他の人間か。いっそのこと他クラスの人間であることを願った。
(頼む……姫野だけは!)
心の整理はすでに収拾がつかない。今は姫野と会話なんてできる自信はない。
固唾を呑む。
力いっぱい目を瞑る。
足音がすぐそこまで来た。
祈るような思いで姫野が来ないことを願う。
時計の針が一つ進む。
一羽の鳥が教室に影を落とす。
足音が止んだ。
いよいよその時が来る。
自席で震えてその時を待ったが、いくら経ってもその時は訪れない。
僕はそっと胸を撫で下ろした。よかった、他のクラスの人間だったんだ。
緊張から解放された安心感で、背もたれに全体重を預けて天井を仰ぐ。
問題を先に伸ばしただけで根本の解決は為されていない。それどころか不安が募っていくばかりだ。よくないことだとは分かっているが、小心者の僕にはきっとこれが現状での「……ちょっと早く来すぎちゃったかな」最善なんだろう。
って。
「うわあああああっ!」
「きゃあああ! な、なに!?」
僕は驚きのあまり、周囲の机を巻き込んで盛大に後ろに倒れた。
「彰悟ってばなんであんなに驚いたの? ただ教室に入っただけなのに」
「君がずいぶん早く登校してきたもんだから、つい」
薙ぎ倒した机を戻すのを手伝ってもらいながら、僕の不審な行動について言及される。
なにも言わなくても手伝ってくれるのはとてもありがたい。やっぱり姫野は他人を思いやれる優しい子だ。そのままなにも訊かずにいてくれたら好きにないっていたかもわからない。
「嘘つきは嘘が上手ってわけじゃないんだね」
「ど、どういうことでしょうか」
「こんなに朝早くから来る人が、誰かが来ただけであんなに驚かないでしょ、普通。ぜーったい他に理由あるでしょ」
姫野は散乱したノートや教科書を元通りにしまいながら、目を細めて僕の核心を突いてくる。そんなバレバレな嘘はお見通し、と言いたげな呆れた目をしている。
「どうやら君に嘘をついてもダメみたいだね」
「あたりまえ。彰悟の嘘は下手だからねー。初めて会った日から下手だったけど、私と友達になってからもっと下手になったんじゃない?」
教室の復旧作業も終わり、姫野は僕の隣の席に腰を下ろした。
僕も久しぶりに体を動かしたせいで疲れたから自席に座る。余計に体力を使ってしまったし、午後まで授業を乗り切れるか心配になる。
また、いつかのように姫野のお弁当を分けてもらったら。なんていつの間にか思っていた。
「そこまで言うか……なら嘘はもうつかないようにするか」
「うんうん、それがいいよ。人にも自分にも嘘をつかないで正直に生きてたら、そのうち友達も…………」
姫野が言い淀む。
「友達も、なに?」
「な、なんでもない! それより、どうして私が入ってきた時あんなに驚いたの?」
「あ、無理矢理話をそらしたな。君がさっきの続きを言わない限り、僕も驚いた理由は言わないから」
そう告げると、姫野が僕のことを親の敵のように恨めしそうに、うっすら涙を湛えた目で睨んでくる。
やっぱりオオカミって感じがあまりしなくなってきた。チワワとかトイプードルとか、それこそ姫野が飼っているハムスターの方がしっくりくる。
「んぐぅ……彰悟は相変わらずお馬鹿なくせして意地悪なんだね」
「僕だけ教えるんじゃ不公平だから。こういうのはお互い様でしょ?」
「…………まぁ、それもそっか」
嘆息と共に姫野は恥ずかしそうに呟いた。
「彰悟に友達、作ってほしくなかったから」
僕は耳を疑った。
僕に『友達を作りなさい』と説教してきたのは、僕の記憶違いじゃなかったら、隣で顔を真っ赤にしている姫野大華のはずなんだけど。
「えっと、それって僕に天涯孤独の身でいろってこと?」
「違う違う! そうじゃなくて、その。うまく言葉にできないんだけど。えっと……」
「ゆっくりでいいよ」
「うん、ありがと。……その、初めて会った時は彰悟に友達を作ってもらって、ひとりぼっちじゃなくなってほしかった。あれは絶対に嘘じゃないよ? でも、彰悟に他の友達ができちゃったら、私といる時間が減っちゃうかもって。そしたら、私のことなんて忘れちゃうじゃないかなって。すごく自分勝手で最低なことだって分かってる。分かってるけど……すごく、不安で」
姫野は今にも泣き出しそうだ。
どうにもこのオオカミは独占欲が強いというか、嫉妬深いというか、そういう節がある。その気持ちは分からなくもないけど。
閉めきった教室に時計の針が進む音が響く。その他の音は一切ない。嫌でも二人きりなのだと実感してしまう。
「……君はすぐに感傷的になる。それに、そんな心配しなくても大丈夫。君以外の友達なんていらないから」
口には出さないけど、僕だって姫野とずっと一緒にいたい。忘れられたくない。
ひとりじめしたい。
無味乾燥で色褪せた世界に命を吹き込んでくれた金髪。
嘘つきの僕を食べに来てくれたオオカミ。
僕が作った壁を壊して、僕の心の中に押し入って、僕を外の世界へ連れ出してくれた姫野。
「……もぅ、なんでそんな嬉しいこと平然と言ってくれるかなー」
姫野にいつもの笑顔が戻ってくれた。
別に喜ばせるつもりなんて毛頭なかったけど、姫野は僕の発言で喜んでくれたらしい。やっぱり、乙女心は分からない。
「それじゃ、次は彰悟の番ね! なーんでこんな朝早くに登校してきたか、あんなに驚いたか、全部教えてね!」
僕の鼻先にびしっと人差し指が突きつけられる。うってかわって今度は僕が答弁する側となってしまった。
「あっ、正直に言わないと今日の帰りにでもまたファミレスでハンバーグ奢ってもらうからね。ふひひっ。他の人には嘘ついていいけど、私にだけは嘘つかないでね」
「はいはい、正直に答えますよ」
僕たちの関係性は、恐らく歪んでいる。
お互いにお互いを必要として、お互いに他の関係を持つことを許さない。共依存じみた、そんな関係。いや、共依存と断言しても差し支えない。
姫野がいなくなってしまったら、僕は確実に壊れてしまう。たった数日でそう思えるようになってしまった。
だって僕たちは時計の針だから。長針の姫野と短針の僕。どちらか一方でも欠けてしまったらそれは時計ではなくなってしまう。それはもう死んだも同然なんだ。
隣で今か今かと僕を見つめる姫野も、同じことを思ってくれているだろうか。思ってくれていたら、安心する。
「昨日君が顔も見せずに帰ったことが気がかりで、いてもたってもいられなかった。それで君のことを考えてたら、君が急に入ってきてあんなに驚いた」
僕は律儀に、誠意を込めて真実を伝えた。
すると姫野は目を丸くしたと思ったら、頬をだらしなくゆるめた。
「なーんだそんなことか。彰悟のポエム聞いたら泣いちゃってメイク崩れただけだよ。あんな顔、見せられないし」
「そっか、そんなことがあったのか」
心の中の暗雲は無事に消え去ってくれた。僕が憂慮していたことは一切なかったらしい。
「それより彰悟ってば、私のこと考えてくれてたんだ。嬉しいぞー、このこの」
茶化すように僕の頬が繊細な指で突っつかれる。いつかの夜の仕返し、とでも言いたげに。
「ちょっと、くすぐったいって」
「照れるな照れるなー」
「って、それよりも。君もこんな朝っぱらから学校来て、どうしたの?」
「えーそんなの決まってるでしょ」
僕はやんわりと姫野の指を抑えて、当初から抱いていた疑問をぶつけてみる。
姫野は普段の学生生活から察するに、部活動はしていない。ゆえに朝練なんてものはないはずだ。今日の日直は別のクラスメイトだし。まぁ、前者にしても後者にしてもこの時間に来るのはちょっと早すぎる。朝練に勤しむ学生も、日直という面倒事を押し付けられた学生も、あと二十分は遅くても問題はない。
それなのに、なんでだろう。
「一秒でも早く彰悟に会いたかったから!」
これでもかと言うほどに幸せそうに目を細め、口角をあげ、真っ白な歯をちらつかせる姫野。
……なんでそんな嬉しいこと平然と言ってくれるかな。
その日のお昼も屋上の踊り場で、二人きりで静かに時間を共にした。
姫野は相変わらず僕の昼食にケチをつけてきた。昆布のおにぎり一個じゃ足りない、成長期なんだしもっと食べなさい、と。姫野は見かねて手作りのたまごサンドイッチを無理矢理僕の口にねじ込んだ。もう入らないって、キャパオーバーだって目で訴えたけど、姫野の攻勢は緩むことはなかった。それでも僕はたまごサンドイッチをなんとか飲み込んだ。咀嚼している間、何度あごが外れかけたことか。
それでも僕はこうなることを密かに期待していた。わざと購買で昆布のおにぎりを一つだけ買った。先に屋上で待っている姫野の言葉を思い出しながら。姫野に怒られるだろうなって。そしてお弁当を分けてもらおうって胸を踊らせながら。
姫野の食べる分が減ってしまうことを知っていながら。
それなら学校の帰りにでもまた二人でファミレスに寄ろう。お腹を空かせた姫野と一緒に。ああだこうだ言ってメニュー表をシェアしながら、周囲の雑音なんて断ち切って注文をしよう。そしてまたハンバーグをお腹いっぱい食べてもらう。少しは味わって食べなよって言っても、姫野は味わってるって言い張るんだろうな。あんな大口で食べられたら、味わってるかどうか怪しいところだ。
僕はやっぱり鉄火丼を頼んで、頃合いを見計らって姫野に一口あげるんだ。そのお返しに、あのとき僕が断った一口をもらう。
そしたら間接キスだね、なんて小学生みたいなことをまた言ってくるだろうから、今度は本当のキスでもしようって反撃に出るんだ。僕が突然こんなこと言ったら、姫野はどんな反応をするんだろう。そのまま人目を憚らずキスするのだろうか。嘘が下手だねって一蹴するのだろうか。恥ずかしさで頭がショートするのだろうか。
まぁ僕はどれでもいいし、どれかじゃなくてもいい。
姫野と一緒に笑っていられるなら、答えがどうであろうと関係ない。姫野と話せるだけで、一緒にいるだけで、笑いあえるだけで十分なんだ。
それ以上はなにも望まない。
「彰悟? しょーうーご?」
僕の膝の上から声がした。
「あっ……ごめん、考え事してた。なんの話だっけ」
誰もいない屋上の踊り場でお昼を食べた後、僕の膝枕で姫野がお昼寝することが決まり事になった。テスト前日に部屋の掃除を始めるぐらい、唐突になんとなくで決まった。
そんな中、僕は姫野の話を聞いていながら姫野のことをずっと考えていた。我ながら馬鹿なことをしている。
目の前に考え事の張本人がいるっていうのに、贅沢な話だ。
「なんの話って、今度の日曜日どこに遊び行くかって話。人の話はちゃんと聞いてよね」
通算で何度目か数えきれない呆れた視線を送られる。
姫野の表情は見ていて飽きない。若者の流行より目まぐるしく変化して、日本の四季のように美しくそれぞれの表情の良さを見せてくれる。
一緒にいて退屈しない。心と胸が躍りっぱなしだ。
「ごめんごめん。うーん、そうだな。君を見に行きたい」
「私? 私なら毎日見せてあげるけど。あっ、もしかして私の家に来て部屋着とか下着とか見たいの? えっちー」
「……変な言い方するんじゃなかった。動物園で狼が見たい」
姫野は僕をからかえてご満悦といった表情をした。
今日は快晴だから外から雨の音はしない。雨の日とは違った静けさの中、姫野と僕は少しずつ距離を縮めていった。時計の針同士が近づいていって、重なるのを待ち望むように。短針の僕は長針の姫野からのアプローチを待つことが現状だけど、いつの日かは僕から姫野を誘ってどこかへ出掛けてみたい。
この日曜日の誘いも姫野からしてくれたものだから、断る理由はないんだけど、姫野にばっかり任せていられない。こういうのは男である僕がリードしないと。僕だって男らしいところを見せて姫野に頼られる存在になりたい。
「私を見たいって、狼のことだったんだ。勘違いしちゃった。もー、思わせ振りな言い方やめてよね」
僕の膝枕で寝ている姫野は唇を尖らせ、人差し指で下から顎を突っついてくる。
「ごめんごめん。次から気を付けるから」
「謝れば済むと思うなよー。狼みたいに食ってやるからなー」
「僕は狭い部屋の方が好きなんだけど」
「ん、どういう意味?」
「大食いオオカミの君の胃袋の中だ、きっと東京ドームより広いだろうね。東京ドーム何個分になるんだろう」
「うわっ、女の子に対してなんて失礼なことを!」
「ははっ、君が相手だと冗談が言えて楽しいよ」
「もー! 私は楽しくなーい! 謝れ、このお馬鹿彰悟!」
なんて言いながら姫野はえくぼを浮かべている。
僕も家族にすら向けたことのないような顔で微笑む。
きっと今が人生最高の瞬間。唯一の居場所。姫野といるこの時間、この場所。
絶対に守り抜こう。僕の命と引き換えにでも、とかっこつけたいところだけど、僕の命がなくなったら姫野が悲しんでしまうかもしれない。
「はいはい、ごめんって。それじゃ、詳しいことはまたRINGで連絡するから。早く教室に戻ろう。もう昼休みが終わっちゃう」
「雑な謝罪だったけど、デートに前向きな発言をしたのでよしとします。以後、乙女を傷付けることのないよう努めるように、東雲彰悟受刑者」
「いつの間にか前科持ちになってる……」
「乙女を傷付けるのは重罪ですから。極刑もありえますよ?」
そう言って姫野がむくっと起き上がり、僕もそれに続いて立ち上がる。
痺れた足から不快感が駆け上がってくる。でも姫野の体温がまだ膝にある。そう考えると、なんて心地のいい不快感なんだろうと思えてくる。
「そうだ! どうせなら手、繋いで行こうよ。誰にも見られないところまで」
「それはいい考えだね」
「でしょでしょ?」
「うん、君にしては珍しい」
「もー! いちいち一言余計!」
「ごめんごめん。お詫びに恋人繋ぎで行こう。誰にも見られないところまで」
「……許します。お馬鹿彰悟。はい」
差し出された左手に、ズボンで手汗を拭ってから右手で応える。
お互いの指を絡めて、きつく、固く手を繋いだ。初めてファミレスに連行された時とは違う。一方向的なものではなく、双方向的なもの。お互いの気持ちを確かめ合う温かい手繋ぎ。初めて血の繋がっていない人間と心を通わせる。
いや、両親にも本心をさらけ出したことがあったのだろうか。無理をして背伸びをして、両親の期待に応えるために自分を殺してこの学校に来たんだ。今までだってそうだった。両親をがっかりさせたくないから、心配をかけたくないから、表面上は理想通りの息子を演じてきた。
だけどそんな日々には今日で別れを告げよう。僕は僕だけの居場所を見つけたんだ。
姫野のとなり。ここだけが僕のただひとつの心を開ける場所だ。絶対に誰にも渡さない。
そして二人で並んで、一段ずつ惜しむように階段を降りていく。
今は姫野の横顔がよく見える。後ろ姿じゃない、姫野の顔が。
緊張しているのか、口を真横に結んでうつむきがちに階段を降りている。色白で繊細な左手も小刻みに震えている。
「緊張してるの?」
僕は震えた声で訊いた。どうやら僕も緊張しているらしい。
「うん」
姫野の声も震えていた。
「彰悟も……もしかして?」
「そりゃ、もちろん」
「もちろんなんだ」
「君と手を繋ぐだけでこんなにドキドキするとは知らなかった」
「正直だね」
「君にだけは誠実でありたいから」
「それじゃあ、彰悟が今、なにをしたいか言って。私の目を見て、言える?」
階段の中腹で立ち止まり、僕たちはお互いの瞳に映った自分自身を見つめていた。
「…………言っても怒らない?」
「嘘ついたら怒る」
「なら、正直に言うよ。…………今は、君と一緒にいたい」
「……私もそう思ってたっ!」
パッと笑顔の華を咲かせた姫野は手を離し、降りてきた階段を三段上に戻った。
「授業なんてサボっちゃえ!」
そう言い放った姫野が振り向き様に左手を勢いよく僕に向けた。
「君にしては珍しく、いい考えだね」
「でしょ!」
僕は姫野の左手を握りしめ、導かれるように屋上へと戻っていった。
そして謝らなければならないことが二つできた。
一つ、授業をサボってごめん。父さん、母さん。たぶん今が生まれて初めての反抗期かもしれません。大好きだけど、今はあなたたちの期待を裏切ります。
そして二つ目、さっきは誠実でありたいとか正直に言うとか宣言したけど、あれは嘘です。今は君と一緒にいたいなんて大嘘です。
今も、ずっと、これからも。一緒にいたいです。
僕たちは結局、午後の授業を全てサボった。屋上の踊り場で誰にも気付かれないように声を潜めて話をしていた。あの日の夜だけでは話し足りなくて、また笑顔で面接みたいにお互い質問攻めにし合った。
屋上の踊り場で発覚した事実の一つとして、僕たちは高校生活で一度も学校を休んだことがない皆勤賞予備軍だったことが発覚した。
姫野はそれを聞いて心底意外そうな顔をしていた。彰悟のことだからいっぱい学校休んでそう、らしい。家に両親はいないから仮病の連絡一つで学校を休めるけど、両親の期待がそうはさせてくれなかった。
僕たちの関係がどんどん歪んでいっているのを感じるけど、僕たちは僕たちなりの関係があるんだと割り切る。
そんな放課後、僕たちは住宅街の路地に入ってから手を繋いで帰路を共にしていた。誰にもバレない、秘密の関係というものに憧れていた姫野たってのお願いだ。断る理由がない。本音を言えば、昇降口を出た瞬間にでも手を繋ぎたかったけど我慢した。
「やっぱり楽しい時間ってあっという間だよね」
薄暗くなった空を見上げながら、となりを歩く姫野が呟く。
僕はその横顔に見とれながら、そして空に嫉妬しながら応えた。
「うん。君と一緒にいると、時間の感覚を忘れる」
静かな住宅街では僕たちの発する声や足音以外の音はほとんど聞こえてこない。左右の家の窓から溢れる明かりこそあれど、僕たちをただただ淡く照らすだけに過ぎない。生活の気配がまったく感じられない。
まるで僕たちだけを取り囲むように世界から切り抜かれているような感覚だ。本当はもっといろんな音も匂いもするんだろうけど、今は姫野以外のものに五感が働かない。きっと無意識のうちに姫野以外のものを排除しているのかもしれない。
「えー、それでいいの? 私たち時計の針なのに、時間の感覚忘れちゃって」
姫野が繋いでいる手にぎゅっと力を込め、視線を空から僕に移して困ったように笑う。
「よくはないね。でも、大食いオオカミの君なら、腹時計のおかげで正午は絶対に忘れなさそうだね」
「………確かに、正午は絶対に忘れない」
「あれ、いつもみたいに怒らないの?」
初めてできた友達に冗談を言える喜びを享受して、それを優しく怒られることがクセになっていたけど意外な反応だ。いつもの姫野なら乙女がどうのこうのと言い返してくるはずなのに。
「怒らないよ。だって本当のことだもん」
「えっと、どういうこと?」
僕たちはなにかと思わせ振りな発言が多い気がする。
「もー、まだ分からないの? お昼の正午と東雲彰悟の彰悟。字は違うけど読み方は同じでしょ? だからね」
姫野は一旦そこで言葉を区切った。そして改めて短く息を吸って、躊躇いながらこう告げた。
「しょうごのことは、絶対に忘れないよ」
それっきり姫野はそっぽを向いてしまった。姫野がどんな顔をしているのかは、なんとなく想像がつく。でもそれ以上に繋いで手が教えてくれる。姫野の恐ろしいほどに上昇した心拍数を。
僕はその心拍数を抑えるように繋ぐ手にそっと力を込めた。
「僕だって忘れないよ。ていうか忘れられない」
初めてできた唯一の友達が金髪だなんて忘れられるはずがない。
「……そっか」
姫野はそう呟くとつま先に視線を落とし、にやけ顔を隠すために唇を丸め込む。
そんな姿が微笑ましくて愛しくて、僕は一つだけ姫野に約束をした。
「ねぇ、これからも仲良くしてね」
透明な水よりも澄んだ本心からの言葉だった。姫野に心を開いてから僕の本音は洪水状態だ。
「あたりまえ。ずっと一緒だから」
「言ったからね。嘘つかないでよ」
「まさか。東雲くんじゃあるまいし」
「うわっ、懐かしいな。その呼び方」
「出会ったときのこと、思い出した?」
「思い出したよ。君にたくさん酷いことを言っちゃった。でも君のおかげで今となっては良い思い出だ。君に出会うために、僕はあんなにひねくれてたんだって」
「おっ、ついに彰悟も過去を変えられるようになったんだね」
「おかげさまでね」
僕たちは顔を見合わせ笑いながら、静寂の真ん中をゆっくりと一歩ずつ、別れの十字路へと迫っていった。
もう目の前にはその十字路が見える。このペースで歩けば残り三分もないだろう。僕が右に曲がって、姫野が左に曲がる。そうしてしまったら僕たちの一日が終わってしまう。
姫野と一緒にいられない時間が怖い。一人でいることに耐えられないかもしれない。
「時間なんて止まればいいのに」
いつの間にか僕はそう呟いていた。
「また時計の針の役割を放棄しようとしてる。ダメでしょ、短針くん」
そんなことを言う姫野も残念そうに声を漏らしている。
「大丈夫。また明日、すぐに会えるから。ね?」
自分に言い聞かせているともとれるその言葉に、僕は頷くことしかできなかった。
そして、ついに十字路へとたどり着いてしまった。僕たちはそこでしばらく立ち尽くした。
お互いに一言も発することなく、ただじっと十字路を見つめる。固く握り合った手によりいっそう力が込められた。
「……今日はここまでだね」
重い口を先に開いたのは姫野だった。
「うん」
「そんな残念そうな顔しないの。明日は彰悟のお弁当作ってきてあげるから、楽しみに待ってて」
「あぁ。楽しみに待ってる」
僕は寂しさを言葉にしないように奥歯で噛み殺して答えた。
「うん、素直でよろしい。彰悟の好きなオムライス、特大で作ってくるからね!」
「常識の範囲内のサイズで頼むよ」
あの日の夜に話したことを覚えてくれてるんだ、嬉しいな。姫野の好物は言うまでもなく肉料理だし、今度お返しになにか作ってみようかな。
「それじゃ、バイバイ。また明日ね」
「……うん、バイバイ」
ついに別れの時が来た。
姫野が握っている手の力をそっと緩め、僕の手からするりと抜けていく。さっきまであった体温は、まだ少しだけ残っている。
そして姫野は僕の手を握っていたのとは反対の手を振る。僕も同じようにして手を振り返す。
しばらくそうした後、未練を振り払うようにさっと踵を返し、姫野は帰路へとついた。
鮮やかな金髪と短く穿いたスカートを揺らしながら歩く後ろ姿を目に焼き付けてから、僕も背を向けて家へと歩き出した。
その時だった。
「あっ、そうだ!」
僕が姫野の声に振り向いたと同時に、姫野も僕の方を振り返った。
そして薄暗がりに溶けかけていた姫野が徐々にその輪郭を取り戻し、僕の目の前へと走ってきてその姿を現した。
「卵、切らしてたんだった!」
少しだけ息を乱した姫野が、目の前で嬉しそうに告げる。
そういえば、今日の姫野のお昼ご飯は卵のサンドイッチだった。なかなかの量があったし、卵の消費量もばかにならなそうと思ったことを覚えている。きっとそれが卵切れの原因だろう。
「買い物、付き合って!」
そう言い切る前に別れを告げた手とは逆の手を差し出す姫野。
満面の笑みの姫野のペースに気圧されながらも、僕は自然と口角が上がるのを感じた。
「よろこんで」
僕は迷うことなく手を差し出した。
最寄りのスーパーは十字路から徒歩八分となかなか便利な立地をしていた。この時間ともなると家族連れやスーツ姿の人達で賑わっていたが、さすがにスーパーなら何度か寄ったこともあるのでこの程度の人混みなら大丈夫だ。
「ここのスーパーね、おっきいし近いし値段も安いからよく来るんだ。庶民の味方って感じ」
鮮魚コーナーで寄り道をしている最中、姫野が半額シールが貼られたマグロの刺身をかごに入れながら言った。
何回も僕がかごを持つと言ったのに、姫野はやっぱり変なところで頑固だった。私が持つと言って聞かなかった。理由はさっぱり分からない。
「へぇ、確かに学校の近くのスーパーより安いかも」
「でしょでしょー」
手を繋ぐのは人目のないところだけと分かっていながらも、姫野といられる時間が伸びただけで良かったと、姫野の笑顔を見てそう思った。
「さーて、あとはなにを買おうかな。砂糖はまだあるし……醤油もまだ余裕だし。あれ、塩ってあったっけ? それにサラダ用の野菜も切れてたような」
顎に手を当てて頭の中で戸棚や冷蔵庫を開ける姿は良妻賢母って感じがした。
「君が料理得意なのは知ってたけど、普段も料理するの?」
「ふっふっふ。こう見えて私、姫野家のシェフを務めてますので。年中無休でキッチンに立ってます」
今度は誇らしげに胸に手を当てて、えっへんと言わんばかりの姫野。
姫野の母さんは女手一つで姫野を育てているわけだし、夜遅くまで働いているのだろう。そうなると必然的に姫野自身が料理することになる。だからあんなにお弁当が美味しかったのか。心の奥底まで納得した。
「偉いね、君は」
「えっへへー。それほどでも……あるかも?」
「あるある。もっと誇っていこう」
「彰悟にそこまで言われたら誇っちゃおうかなー。履歴書の特技の欄は料理って書いちゃおっかなー。かなかなー」
完全に浮かれた顔をしている。有頂天って横顔に書いてある。この字は消しゴムじゃ消えないだろうな。
「そうだ。彰悟は料理とかしないの?」
「僕はからっきしだ。小学生の方がよっぽど上手なレベル」
「それじゃあご飯はどうしてるの? ご両親、お仕事で忙しいんでしょ?」
「母さんの作りおきを食べることもあるけど、ほぼ毎日コンビニ弁当かな。便利だから、つい」
するとみるみる姫野の眉根が寄っていき、僕を睨み付けてきた。相変わらず食事にはうるさいらしい。恐らくまた怒られるやつだ。
「彰悟……」
声のトーンが一つ低くなっている。
店内の陽気な音楽や買い物客の喧騒の中でもしっかりとその声は僕のお腹に響いた。
「ごめんなさい。今日からしっかり自炊します、はい」
「今日、ご両親は……?」
若干会話が成り立っていないような気がするけど、今そんなことを指摘したら噛み殺されそうだからやめておく。あの目は狩る者の目だ。
「えっと、仕事。だけど」
「作りおきは……?」
「たぶん、ない。です」
今朝の時点で冷蔵庫に作りおきがないことは確認済みだ。その代わりにテーブルの上には樋口一葉が一枚だけいた。
「この後の予定は……?」
「暇、だけど」
それだけ訊くと姫野は深く溜め息を一度だけつき、今度はうってかわってにぱっと満面の笑みを僕に向けてきた。
「じゃあ、今夜はうちに食べにおいで」
心臓が肋骨をへし折る勢いで跳ねた。
「い、いいの? 邪魔じゃない? 親子水入らずのところを」
「いいのいいの。彰悟にはしっかりと栄養のあるもの食べてほしいし」
「そ、そうか。なら、お邪魔させてもおうかな」
「うんうん、素直でよろしい。あ、後でお母さんに電話しないと」
どうしようどうしよう。姫野の家にお呼ばれされてしまった。どうしようどうしよう。
嬉しさ半分、緊張半分な気分。足元がバランスボールになったみたいにふわふわしてぐらぐらして安定しない。
今僕はどんな顔をしているのだろう。すれ違う人みんなが変な目で僕の横を通りすぎていく。相当変な顔をしているのかも。
「よっし、今日は張り切って晩御飯作ろっと。そうとなったら買い物の続きだ!」
「……」
「ん、彰悟。大丈夫? なんだか上の空って感じだけど」
「……あっ、ごめん。ちょっと舞い上がってて」
「今からそんなんで大丈夫? 私の家来たら気絶したりしない?」
「そんな、まさか!」
「うーん、本当かなー?」
それから僕たちは紆余曲折を経て、今晩の食卓を彩る食材を片っ端からかごに入れた。さすがに重くなったかごは途中から僕が持つことになり、当初の目的であった卵は三パックも大人買いした。
気持ちがすでに姫野の家にしか向いていなかった僕はレジも通らずに、そのまま店外へ向かっていた。もう浮き足が立ちすぎている。姫野が止めてくれなかったら僕は万引き犯になるところだった。
「いやー、びっくりした。彰悟ってスーパー初めてだったりする? いい? スーパーってね、お金を払わないと品物は買えないんだよ。そのまま持って帰っちゃったら犯罪だからね」
「ごめん。どうやらかなり舞い上がってるらしい」
「さっきはちょっとだって言ったのに」
僕達はしっかりとレジを通して買い物を済ませた。そこそこのお値段はしたが、二人仲良く割り勘だからダメージは半分。本当は晩御飯をご馳走してもらう身だし僕が全額払おうとしたけど、僕の提案は姫野の頑固の前にあえなく散ってしまった。
そして袋詰め作業を分担してさっと済まし、四袋に及ぶ戦利品を僕の細い両手に持って合法退店して店の外、片道二車線の大通りに面する歩道に出た。それなりの道幅はあるがこの時間ともなると人通りも多く、肩と肩が時折ぶつかりそうになる。さらに車道には様々な車がそのエンジンを轟かせている。車道と歩道の間にガードレールや街路樹の類いは無く、直に車の存在感が押し寄せる。混み合う時間なんだし、ドライバーの皆様には安全運転を心がけてもらいたいものだ。
「いっぱい買ったねー。うーん、楽しかった!」
大きく伸びをする姫野。すっかり夜となってしまったが、大通りに溢れる様々な光によってその横顔はライトアップされている。町明かりがスポットライト、この歩道は姫野を輝かせるためのステージだ。
「僕も楽しかった。また一緒に買い物に行こうね」
「もちろん! 今度は服とか買いに行きたいなー。彰悟の服、選んでいい?」
「むしろこっちからお願いするよ。服のこととかよく分からないし」
「任せて任せて。世界一のイケメンにしてあげるから。あっ、そうだ。お母さんに電話しなくちゃ。ごめん、ちょっと」
「うん、いってらっしゃい」
「いってきます。…………あっ、もしもしお母さん? 今日さ、友達連れていっていい? あのね」
姫野はスマホを片手に、静かで話しやすい場所を求めて路地へと消えていく。
僕は戦利品の重さも忘れてその後ろ姿を見つめていた。
(そうか。これから姫野の家に行くんだ。お母様に粗相のないようにしないと。なるべく好印象、好青年を全面に押し出して……)
僕の胸は期待で爆発しそうだった。そわそわしてたまらない。自分がなんの上に立っているのかも分からなくなる。お腹の底からなにかが沸き上がって、胃が持ち上がる感覚。
スーパーの自動ドアの横で踵を上げたり下げたりを幾度となく繰り返す。今にも僕の足だけが駆け出しそうだ。
そんな気持ちを紛らわせるために、ふらふらと歩道を行ったり来たり。二メートル間隔で引かれた見えない二本の白線の間をひたすらに往復。もちろん、スーパーの利用客の邪魔にならないように。
まだかな。まだかな。姫野。
そうこうしている内に路地からひょこっと姫野が顔を出した。表情から察するに僕の来訪は許可されたらしい。そして僕は姫野の表情なら、多少暗くとも読み取れることが判明した。我ながら呆れた。
途方もなく姫野を求めている自分に。姫野無しでは生きていけない体になったことを。
そっか。今、ようやく自覚した。これが、恋か。誰かをたまらなく好きになって、その人のことしか考えられなくなる。これが、恋。
僕も、恋をする時があるんだな。
「彰悟ー!」
僕の方へと手を振って小走りになる姫野。
僕は言葉より先に足を前に出して姫野へと向かう。いや、出ていたの方が正しい。
「お母さんから許可出ましたー! なんなら今晩泊まっていっても……彰悟っ!!」
それは僕と姫野が合流する寸前の出来事だった。
僕はまっすぐ姫野に向かって足早に歩いていた。
姫野はそんな僕を必死の形相で突き飛ばした。
僕は姫野のものとは思えないその力に抗えず、後方へと突き飛ばされて倒れた。
路上に袋の中身が飛び出し、散乱した。
僕はなにが起きたか状況の整理がつかないまま体を起こし、目の前の惨劇に言葉を失った。
「ひめ…………の?」
僕の目の前に平穏な日常の風景はなかった。
あるのは歩道に突っ込んできた一台の車。
そして、血溜まりの上で横たわる姫野の姿だった。
「姫野!!」
僕は全てを放り出して姫野に駆け寄り、血溜まりの上の姫野を抱き起こした。
「姫野! 姫野! 聞こえるか!? 聞こえるなら返事しろ、姫野!」
「しょ…………う」
「姫野!」
姫野は虚ろに目蓋を開き、焦点の定まっていない瞳で僕を力なく見つめた。
「彰悟…………けが、ない?」
「僕の心配してる場合じゃないだろ! 僕は無事だから、しっかりしろ姫野!」
「よかっ………………た」
「姫野! 姫野!」
「彰悟が……生き、てて…………ほん……とに」
「姫野!」
腕の中の姫野がどんどん冷たくなっていく。目蓋も閉じかかっている。
「姫野! まだ約束、なにも果たしてないだろ! 勉強の約束だって! デートの約束だって! ご飯の約束だって! 他にも……いっぱい! なぁ、嘘つきの僕を食べに来た姫野が嘘ついてどうするんだ!」
僕は涙混じりで必死に姫野に呼び掛ける。
だめだ。このままじゃ、姫野は……。僕が繋ぎ止めなくちゃ。
「ごめん…………ね」
「謝らなくていい! 死ぬな、姫野!」
「…………彰悟、最後に……やく、そく」
「姫野……?」
「彰悟は……生きて。…………それで、私を……わす、れ………………」
「……姫野? 姫野!」
姫野の冷えきった手を握る。
そこにあったはずの体温はもうなかった。
「姫野! 姫野! 死ぬな!」
僕のはち切れんばかりの声は姫野には届かなかった。
姫野は僕の腕の中で目蓋を下ろし、微動だにしなくなってしまった。
そしてサイレンの音が近づいたと思ったら、誰かが僕の耳元でなにかを叫んでいる。
うるさい、黙っていてくれ。姫野は今、僕を求めているんだ。
僕は必死に姫野の手を握りしめるが、白い服を来た誰かが僕たちの手を強引に引き離し、数人がかりで僕は姫野の元から剥がされた。
待って。
声はもう出なかった。
それでも僕は全身全霊で叫んだ。
この手は離さないで。
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