第85話 魔王はとんでもないものを創ってしまいました
「人型なんて、作れるものなのか?」
「作れなくもありませんが、膨大な魔力と人体の理解度が必要なはずです」
舞台袖の蘇芳の疑問に舞台から戻ってきたロゼが答える。
人型の魔物は確かにいる。しかし魔女のように元が人間だったり、吸血鬼や悪魔のように人間ではない者が効率よく目的のものが得られるよう人間の姿を真似るというようなものだ。
だからどの魔王も人型魔物を作ってはいない。作れないものだと考えもしなかった。
しかしブランは過去、何もないところから刷り込みをする雛という魔物を生み出した。あれは簡単な作りであったし、魔力もさほど必要としないらしい。
それの何倍も難しいものと考えれば、人間を作ることとは無理ではないものらしい。
「普通はドラゴンの骨や鱗などを媒体にして魔力を込めてドラゴンを作るのです。そうすればドラゴンの知識がさほどなくともドラゴンを創る事ができます。魔力の方はここが魔王城ということもありなんとかなるでしょうし」
「素材で知識を頼らないということか。それはまた、膨大な知識なのだろうな」
魔力。それはきっと才能によるものだ。さらには知識。それは彼女が魔王立研究所などで身につけたものだ。
これだけの魔力と知識を持つ魔王は過去いなかったはずた。こんな魔物を創れたのなら誰も文句は言わない。それどころか後世に名を残す魔王となれるはずだ。
「と、姿がはっきりとしてきましたね。男なのか女なのか。わたくし的には陰鬱な雰囲気の美女を希望します。でしたら是非に血を吸いたいです」
「君は本当自分の欲望に素直すぎるな」
欲望をはっきりぶちまけるロゼに蘇芳は呆れる。しかしその姿は気になるものだ。舞台裏の二人は新作魔物に視線を向けた。
体格は男性体なのだろう。たくましいとは言い難いが華奢ではない。その体にベージュのコートに山高帽、コートの下にはスーツを着ている。そして手には銃と手錠。顔はなく黒ののっぺらぼう。
舞台上のブランは解説を始めた。
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