第107話  弱さ -それでもいきる- 暫定版

『弱さ』 -それでもいきる-


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かりそめのいのち?


かりもののこころ?


わたしのほんとのわたしはどこだろう?


あのひとをおもうわたしはわたし?


そんなことをかんがえていることにきづく


わたしはよわい


そんなことをおもっているから?



-◇-



人の想いとともにいきる


想いを受けることで生かされ、

想いを告げ、与えることで生かす


生かすという言い方は、少し言いすぎ

生きていただく、たぶんそう


決めるのは相手なのだから

相手の想いなのだから


私の想いは決まっている


共にいること

ただそれだけの想い



私があの人にできること

とてもとても少しだけのこと


私があの人にできること

それは、ほんの少ししかない

あるのは、できないことばかり


私がしてもらっていること

とてもとてもたくさんのこと


いろいろなものをあの人から受け取って

一緒に、毎日を過ごしている



私の周りのひとは強い


私は弱くて、ちっぽけ


ここにいて良いのだろうか?

いないほうが、あの人のためにならないだろうか?

いつもそんなことを考えてしまう




私にできること

私がいて、そしてできること

私がいないほうが、できるはずのこと


後ろ向きだなあ

でも気がつくと考えてしまっている



私がいることで、

あの人の気持ちは救われているのだろうか?


私がいないほうが、

あの人の心は安らげるのではないだろうか?


負担をかけたくない

足手まといはいやだ


役に立ちたい

なんでも、

なんでもいい


守られるだけはいや

たとえ少しだけでも、少しだけしかなくても、

私はできることをしたい



私にできること


あなたやみんなへと返せること


少しだけでも


みんなへの手助けになること



みんなは強い、あの人もそう


強いから、大きなことができるから、

小さなこと、弱くてちっぽけなことへと目が行かないこともある


弱くて小さい私だからこそ、

強くて大きいと見逃すことが、私には見えることがあるのかも知れない



少しだけでもいい

ちょっとづつ進めばいい


私は私にできることを探す


あの人のためにできること

その事を探しながら、あの人のそばを歩いてゆく


私はそうして生きてゆく


歩く道を見つけて少しずつ進む



たとえ小さくてちっぽけでも、

私は私になっていきる


心もとない足下だけれど、

一歩一歩すすみながら生きてゆく


あなたと共に……



-◇-



「ただいま、

今帰ったよ。」


「お帰りなさい。」

「お仕事たいへんだったのね、

疲れたでしょ。」


わたしはそう言って、

あの人へとあたたかい飲み物を渡す。



「ご飯できてるから、座っていて。」

「今出すから、待ってて♪」


笑顔で、あの人へと。






〈おわり〉


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