第35話 鉄鎖を切る ― 言祝ぎの音 ―

-カクヨム版まえがき-

こちらで公開するか悩んでたんですね(^_^;)

実際に出来上がっていたのは、34話、気づきの2日ほど前です。

ちょっと暗いのですよ。


気をつけて、都合でやめてくださいませ(-人-;)



---



昨日の深夜のことだ


自らを縛りつけ、心を責め苛んでいた鎖の輪がひとつ千切れて落ちた



きっかけとなる事柄が何だったのかは、まったく身に覚えがない


その少し前に、知り合いの幾人かについて考えていたことか、


以前に自分を家族だと言ってくれた人のことを、思い出してしていたからだろうか



おそらくその中の何かしらが、鉄鎖てっさを緩め、外すきっかけとなったのだろう




言祝ことほぎの気持ちが起きたのだ


呪詛の鎖を切るためには、

何かしらの祈りと、自らを赦す気持ちが必要だからだ



どこかしらで、

自らを赦す気持ちが生まれたのかもしれない



そんな奇跡のようなことも時には起きるのだと、

少し不思議に思う気持ちが生まれてくる



自分自身のことを、

たとえわずかでも赦す日が来るとは思ってもいなかったからだ




死ぬまで苦しめばいい


苦しむことが、魂を殺すことが当たり前だという呪詛を、

まさか緩める日が訪れるとは…




あれから、たくさんの時間が経ったのだろう


自らを傷つけ縛る呪詛が、

緩んでしまうほどの時が過ぎていったのだろう…




遠ざかる記憶


時の流れの中に、言祝ことほぎのを感じる


後悔と謝罪、感謝と祈り


絡み合う感情が、久遠の時の中へと溶ける




身体が少しだけ軽くなる


今までよりも少しだけ、歩き続けてゆくことが楽しくなるだろう



けれども、おそらくは、

自分自身へと掛けた呪詛の鎖が、全て外れることはないと思う


ただ、この訪れた出来事に感謝して、

少し歩きやすくなったこの身体で、さらに先へと歩いてゆこう


まだ見ぬ世界へと向かって、歩いてゆけることを喜ぼう










君に言祝ことほぎのを贈りたい




ありがとう…


どうか、君が幸せに過ごしてゆけますように




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る