エピローグ
夏休みをパリで過ごし、京都に戻ると、もう伯母の姿はありませんでした。
伯父は女性との仲を全て清算し、仕事に打ち込んでいましたが、私が高校を卒業して間もなく、バブルの崩壊とともに建築工事が激減し、工務店はあっけなく倒産してしまいました。
「香織にはすまんことをしてしもうた」
長年の不摂生がたたり、糖尿病で入院していた伯父は、亡くなるまでそう言って反省していました。
今、伯母は北海道で静かに暮らしています。
「一生懸命に頑張るんよ」
毎年、年賀状にそう書いてくれますが、あの夏以来、会ったことはありません。
私も当時の伯母の年齢を超えました。もう一度、伯母が元気なうちに会いたいと思っています。
ホタルですか?
見ると悲しくなりますから、勘弁して下さい。
(了)
蛍 椿童子 @tubakidouji
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