スランプにいる天才カメラマンの友人を持つ主人公。主人公のファインダーから見る天才とそれを囲む世界を描いたストーリーだ。
世界観と主人公の心理描写が丁寧で、独特で、少し寂しくて、心地いい。主人公の複雑で抽象的な「灰色」の心理も、手に取るように伝わってくる。
終盤、スランプから抜けだせるかもしれない友人が、シャッターをきらないところは圧巻だ。ここは、よい意味で読者を裏切り、友人はその後どうなったのだろうか、と思わせ、まさに「灰色」のストーリーだ。
著者は、タイトルにある「灰色」にこうした世界観や心理も込めているのか不明だが、この作品の素晴らしいところは、すべてを灰色に描きあげていることだ。
続編はないほうがよいと思うが、
読みたい。灰色だ(笑)