第3話 親友

翌日。


結局、壮真は夕飯の時間まで好き勝手に遊んだりして、せっかくのあたしの日曜日は台無し。


爽やかな朝で始まることもなく、重い足取りで学校に向かったのだった。


「おはよー、優花!」


「おはよー、美桜ー」


明るく声をかけてきたのは、クラスメートであり親友の野崎のざき美桜みお


少し癖毛のミディアムヘアの女の子で、あたしが転校して来た日に一番に話しかけてくれて、仲良くなったんだ。


挨拶を交わすと、美桜は歩きながらあたしの横に並んだ。


「どうしたの? なんか元気ないね?」


「あー、まあね。気にしなくていいよ、すぐにまた元気になるから」


「そう? 何かあったらちゃんと相談してね」


美桜は大人っぽい性格をしていて、少し心配性な部分もあるけど、頼りになる人だ。


「うん、ありがとう。そういえば、一時間って何だっけ?」


「数学だよ。確か先生、テストだって言ってた」


「ええ~!? あたし全然復習してないよ~!!」


昨日は一日中、壮真と遊んでやってたからなぁ~……。


「優花、テストのこと忘れてたの?」


「それもあるけどさー、壮真が昨日ずーっと家に上がりこんで、それどころじゃなかったっていうかー……」


「なるほどー。彼氏が同じ家にいると、中々自由にできないもんねー」


そうそう、と相槌を打とうとしたところで、あたしはピタッと立ち止まった。


今、"彼氏"って言った?


「はあ!? あのねー美桜、あたしは壮真なんかと付き合ってないから!!」


「えっ、そうなの? いつも二人で一緒に登下校しているから、付き合ってるのかと……」


「それは! 家が隣だったからであって、別に付き合ってるからとかじゃないの!」


「へえー。あ、もう学校着いたみたい」


美桜はあたしの話をスルーし、学校へと駆け込んだ。


美桜ってば、壮真に対してそんなこと思うわけないじゃん。


って、そうじゃなくてテスト!


今のうちに復習しないと、点数がひどくなるよ~!

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キミの隣に なのはな @pad

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