第2話 二人の家庭事情
「なんであんたが居んの……」
そして現在。
あたしが6年生となり、ここに引っ越して1年が経った日のこと。
ソファに座ってお菓子を食べながら、悠々とテレビを見ているのは、瀬川壮真。
「おー、優花。そんなしけた顔してどうした?」
「どうしたもこうしたもないでしょ! 勝手に家に上がりこんで来て、しかもあたしのお菓子食べてるし」
「だってしょうがないだろ。父さんと母さん、今日も朝から喧嘩してうるせーんだよ」
確かに、壮真の家は、実は結構荒れてる。
あたしやお父さんが初めて壮真の両親に会った時は、そんなこと思えないほど、優しそうな人だった。
しかし壮真の話によると、両親は目を合わせる度に言い争いが起きて、それが止むのは結構時間がかかるようだ。
だから壮真は、こんな感じでほとんど毎日家に避難しているというわけだ。
「ていうか、喧嘩とお菓子に何の関係があるの! お菓子くらい自分の家から持って来てよね!!」
「はいはい。わかったから静かにしてくれよな。せっかくわざわざこっちまで避難したのに、うるさいんじゃ意味ないだろ」
そうやって反論すると、またテレビを見出した。
人ん家なんだから遠慮くらいしたらどうなの?
そう思ったけど、こいつには『遠慮』という二文字の言葉がないから当然か、と諦めた。
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