第7話
幸いなことに、ここまでの道のりはそれほど苦もなく来られた。調査員たちも、
「どう?」扉を調べているイズールとロウ=サーに声をかける。
経験上、こういった場所には何らかの罠や警報装置が仕掛けられていることが多いので、より慎重に行動しているのだ。
「侵入を防ぐための
現代まで
「二人で協力した分、解除の精度は良い方だと思いますが…」ロウ=サーも続けるが歯切れが悪い。要するに絶対はないということだ。
「わかった。私とイズールで先行する。残りの面子は様子を見て私たちに続いて。くれぐれも注意は
遺跡調査で最も緊張する瞬間といっても過言ではない。前に罠解除ができておらず、
先史時代というのは随分と
「いつも通り、何かあったらイズは守りに
ミレイは一度大きく息を吐き出し、素早く新鮮な空気を肺に取り込む。扉に触れると自動で開いた。
足を一歩、二歩と前に踏み出す。イズールと視線を交わし、次に後ろに向かって大丈夫そうだと合図した。
ミレイたちは室内を見渡した。天井は高く、壁の途中から寺院に絡みついていた大木の内側と繋がっていることに気付く。外から見た時、樹が寺院に寄生している印象を受けたが、内部から見ると寺院が樹を侵食しているような不気味さを感じた。
この空間は何だろうか?宝物庫を期待していたわけではない。だが、だだっ広いだけで何もないというのはあまりにも期待外れだ。わざわざ封印をするだけの何かがあるようには思えない。
見つからない答えを求めて、なんとなくイズールに目をやると、
「修行僧…おそらく高僧の
「見てください、ここに何かあります!」調査員二人が興奮した声で全員に呼びかける。
ミレイが声の方に顔を向けると、そこにはさっきまでなかった
「馬鹿もん!」ミレイの怒声に大気が震え、一瞬の
場内に
『緊急警報発令。不正な手続きが実行されました。管理者手続きに
入り口は閉ざされ、退路は断たれてしまった。
上空を見上げ目を凝らすと、すでに異変が始まっていた。天井に
「
影律兵器〈護り化身〉先史時代に
『
護り化身は
『偽譚書庫より
それはまさに伝承に語られる
誰もが立ち竦む…顔には絶望感を
その
ミレイは助走をつけ壁を蹴り上がり、二足で壁龕まで到達する。そこで筋肉を引き絞り、逆手に握り込んだ短剣を相手の
(届く…!)
そう思った瞬間、
「っ…!」ミレイは剣に力を注ぎ込む。
強烈な抵抗が腕に伝わってくる。次の瞬間、ミレイの二刀が世界の
『検索終了。「
ミレイが動き出すのとほぼ同時に――あるいは早く――イズールは行動を開始していた。
「〈
声に出したつもりはなかったが、エッダがこちらに顔を向ける。
霊威形象は両前腕に装備した大型の
しかし、今イズールが霊威形象に求めたのはそれではない。影律兵器として秘められた力、霊威形象の
発動までの時間、広域防御に伴う守備力の低下、そもそも偽譚書庫から引用した虚影律を防ぎきれるかどうか…山積みされた問題を払い除けたいという思いと、祈るような気持ちで…イズールは世界が書き換えられていく様をただ
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