第6話
ブルは見た目通りの重量級の剣士で一度の
しかし、敵の数が多くこのままではじり
「思ったより数が多い。ちょっと楽がしたいわね」イズールに目を向けると、弟は
「で、何か手はある?」訊くと次はイズールが肩を竦めた。
「姉さん達が戦っている間に、妖を六匹だけだが
「えっ?」ロウ=サーがいつの間にという驚いた表情で声を上げる。うちの弟は優秀なんだよと心の中で呟く。
イズールは
「つまり、その因子だけを破壊する
「それほど大規模の虚影律を
虚影律は世界の
「それほど難しい術ではない。
「どれだけ掛かる?」ミレイの問い掛けにイズールは短く「五分くれ」と答える。
白目を剥いたロウ=サーを横目に、ミレイは頷き戦線へ戻った。
個の能力はこちらが勝ってはいるが、数で押されている。
恐怖を感じない敵軍ほど恐ろしいものはない。歴戦の
自分やイズールは危機に対処するだけの実力や集中力、胆力もある。だが他の者のことはわからない。ミレイが短期決戦にこだわる理由がそこにある。
ミレイは繰り出す
そしてそのままの速度を
(ちっ!見掛け倒しなんだから)
ミレイは
全身の筋肉を引き絞り、踏み込もうとした瞬間…。
妖が
「環境再設定完了…予定調和式の正常展開確認。影律完了」イズールが両手を前方へ突き出した姿勢で呟く。特定因子を破壊すべく世界に入力された実行式がその役割を終え、
「はぁー、しんど」イズールは肩を揉み、首を回している。
大袈裟だと思うのだが、大規模な虚影律は
ミレイは味方の損害確認をする。ブルが小傷を負ったくらいで、あとは大したことはなさそうだった。スホイと調査員二人は少し顔色が悪いが問題なさそうである。
「上手くいったようね」最後にイズールとロウ=サーを
「まあ、初めてってわけじゃないしな。ロウ=サーが補助してくれたぶん楽ができた」
「いつもはこんな大技を一人で仕組んでるんですか!」
影律士でないミレイにその
「経験ですよ。教科書通りに虚影律を仕組むと意外に無駄が多いことに気付きます。実戦ではどれだけ早く術を発動できるかが勝負です。だからそういう無駄な部分に気付けるんでしょうね」特別なことではないと言いたげにイズールは頬をかく。
「それじゃあ、皆さんの準備が良ければ、私はさっさと調査を続けたいんだけど…」ミレイは全員の顔色を伺う。公社の人間は更に顔色を青くする。ロウ=サーも少し休みたそうな空気を出す。
「はいはい、わかった。ちょっと
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