第14話バーベナ

「おはようございます!」

朝からでかい声出しやがって。

元気しか取り柄がなくてよく刑事やってんな。


「あのダイイングメッセージなんなんすかね。ない頭で考えても全くわからないっす。」


「俺が考えてわからねぇコトがお前にわかってたまるかよ」


「尾崎さん。自分、尾崎さんと違って英語話せます。」


「英語と事件の捜査は関係ねぇだろうがよ。」


ブー、ブー。

尾崎と原田のスマホが同時になった。

進展があったのか?


新たに刺殺事件発生。

捜査員は会議室へ。


嘘だろ。2日連続だと?


「尾崎さん!」


「ああ、わかってる。クソが。」


会議室には散っていた捜査官が集まっていた。

尾崎たちは所轄と協力し基本1人で動いているが会議室には一課の人間たちがいた。

全員が席に着くと捜査会議が始まる。


「えー、昨日までと同様の手口で同一犯と思われる手口が2件起きた。」


2件だと?ふざけるな。

周辺の巡回を強化しても見つからずにやったっていうのか。


「5件目と同様にダイイングメッセージのようなものが残されていました。1つは十字架。もう1つは何か動物の絵だと思われます。」


カンガルー?


「尾崎さん。これ、カンガルーですかね?」


「お前もそう思うか?」


犯人は何を伝えたいんだ。

星、十字架、カンガルー。


「もしかして、オーストラリア?」


「原田、なんでそう思う。」


「星と十字架は南半球でしか見られない星座って解釈できまさんか?南十字星です。それにカンガルーだから…」


「お前、よくそんなこと知ってたな。」


「オーストラリア留学したことあって、たまたまっす。」


しかし、オーストラリアと伝えたところで何になる。ほかに意味はあるのか…


「篠崎って確か、2年前までオーストラリアいましたよね?」


たしかに篠崎はオーストラリアにいたが犯人が篠崎と伝えるために自ら3件も事件をおこすやつがいるのか?

しかもこの犯人の異常な殺人スキル…


それでは、解散。


「尾崎さん。電話なってますよ」


「おお。もしもし。」


「速報で見た。2件ってどういうこと?」


「そのまんまだ。今回もメッセージ付きで親子全員皆殺しだ。」


「メッセージの内容は?」


「十字架とカンガルーだ。」


「…ありがとう。わかった。」


「おい待て!なんか心当たりでもあんのか!?」


「いろんな可能性を探してみる。それじゃあ。」


切れやがった。

でもメッセージの内容を伝えた時に何か気づいた様子だった。

原田と同じオーストラリアか?それとも別か…

クソが。直接会うか。


「原田。行くぞ。」



星、十字架、カンガルー。

真っ先に思いつくのはオーストラリア。

私が犯人だと知っていて尚且つ、私の過去も知っている人間の仕業。

兄はありえない。

ゆうき?

ゼロではないが私の過去の事は話していない。


「エマ。2件起きたってホント?」


「うん、さっき刑事に確認したらまた絵が描かれてたって。十字架とカンガルー。」


「星、十字架、カンガルーね。パッと思いつくのはオーストラリアだね。」


「私もそう思ったけどこんなに安直な答えじゃないと思う。」


頭に何かが引っかかる。

引っかかっているものの影だけ見えて正体がわからない。


「視点を変えてみたら?絵通りの意味じゃないかも。たとえば十字架があるのは教会だよね?」


「この街の教会か。調べてみようか」


「調べてみたけど結構あるや。絞るのは難しいね。」


十字架、星…

星?もしかしたら。


「昨日と一昨日事件が起きたのってどこだっけ。」


「そんな詳しくはわからないよ。」


「だよね。あいつに頼るか。」




事件が起きた場所を教えてほしい。


電話勝手に切ったのに勝手な奴だ。

俺をなんだと思ってやがる。

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