第12話サワギキョウ

情報が報道されるまで授業は手に付かなかった。

休み時間スマホのニュースをチェックする。

犠牲者13人に。連続刺殺事件。

あった。

殺されたのは3人。どれも頸部の傷が致命傷。侵入の痕跡や手口から5件目の犯行と断定。

ここまでは同じだ。

現場には血文字が残されていた。

どんなものだったのかはわからないが血文字。

誰へのメッセージだ…


「尾崎さんですか?ネットニュース見ました。血文字ってこれまでなかったですよね?」


「よお、篠崎。そろそろかかってくると思ってた。その血文字なんだけどな、星のマークが害者の横に1つ描かれてた。」


星のマーク…

私へのメッセージか?

もし仮にメッセージだとしたら意味はなんだ?

文字でなく記号で伝えてきたってことは簡単に知られるとまずい事。


「星って五芒星ですか?六芒星ですか?」


「あ?なんだ、ごぼうとかろくぼうとか。星マークって言ったら1つしかないだろ」


この刑事、感が鋭い割に頭悪いのか?


「そ、そうですよね。もし五芒星なら頂点が5個あるのでカウントかと思ったんですよ。」


「カウントか、一理あるな。6件目もあるぞって意味かもしれねぇ。」


その捉え方もなくはない。

今回の犯人は前までのスパンを読んで動いてきた。

私より先に動けるというアピールなのか。

それとも煽りか…

次はお前だと伝えたいのか…

こんなことになったら私の目的から遠ざかってしまう。

どうすれば…


「星以外は前と変わらんが足跡の鑑定やらなんやらはわかり次第教えてやるよ。女子高生探偵さん。」


「私は某探偵漫画の主人公じゃないので。」


「それと、足跡のことはメディアには伏せていた情報だ。この意味わかるな?」


「はい。それに関しては私より尾崎さんの方が調べやすいと思うんですが。」


「原田にやらせてる。なんか進展あったら連絡するわ。ここまで知ったんだから最後まで協力してもらうぜ。」


「わかりました。失礼します。」


最後までって、最初から私が起こした事件だよ。

でもあいつが協力者になったことはかなり大きい。

掻い摘んだ情報しかくれないアイツよりよっぽど役に立つ。


足跡の事も一致しているということは警察関係者か?

足跡の情報は報道されていないし…

でもそれなりに大きい事件。

絞り込むのは難しい。

かといって例のアイツが有益な情報を持ってくるとは思えない。

だめだ。情報が少なすぎる。


「エマ。待ってみようよ。」


「え?どういうこと?」


「エマへのメッセージだとすると5件目の奴はまた殺るよ。点がつながれば線になるからメッセージの意図がわかるかもしれない。」


「なるほどね。ムカつくけどどうせ動けないことには変わりないからね。」


たった1人の模倣犯に何もできなくされた。

さっきはああいったけど…

ムカつく。

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