読んでも読まなくても楽しめる的な説明回(1章)


 ここでは作中に登場する専門用語など、細かい設定をまとめようと思います。

 宜しければどうぞ。


 あてんしょん。

 ※1章のネタバレを含みます。21枚目まで読了済が望ましいです。




<世界設定・専門用語編>


①舞台:地球ではないどこかの星。1分は60秒、1時間は90分で構成されており、日が昇って沈み、また昇るというサイクルが24時間で1日 (作中表記を~時間、~分表記にしているのは、読み手に合わせて翻訳しています)。1年は365日だが、1時間90分の24時間=1日であるため、地球の1年より262800分 (=182.5日)長い計算になる。


②衛星など:太陽は1つ。月は二つあり、それぞれ灰の月、青の月とよばれている。


③四種族:人族・魔族・獣人・亜人という人型の四種族が「人間」として扱われ、五つの大陸に分かれて暮らしている。

 人族は第一大陸、魔族は第五大陸 (浮島含む)、獣人は第二大陸、亜人は第四大陸、といったような感じで住み分けているが、第三大陸にある貿易国のように、サラダボウルになっている都市や町は各地にある。


魔力子まりょくし:通称「魔力まりょく」。この星の生物や空気に通っている物質。物質と呼ばれるが酸素のような質量は持たず、しかし生命活動に必須なもの。

 魔力子を使って何かをすることを「魔法」、複雑な魔法に名称を付け、詠唱することによって簡単に発現できるようにしたしたものを「魔術」と呼ぶ。つまり、魔術も大枠的には魔法といえる。詠唱無しで使用が容易い魔法は下級魔術の域を出ない出力であり、魔術は術式によって高出力にも低出力にも応用可能である。という基礎知識を元に「人間」は魔術を発展させた。


⑤魔法系統:魔法の属性を表すもの。

汎用五属はんようごぞく

 「土」を魔力で練れば、触れずとも形が作れる。

 周囲の空気を引き寄せて集めれば、形のない「水」を生み出せる。

 水を震わせて蒸発させ、空気を熱せば「火」のもとに。

 周囲の熱を操作したならそれは「風」に。

 それらを組み合わせたなら――「雷」をも生み出せる。

(10枚目「隠者の企み」より引用)

 ……というように、土・水・火・風・雷の五属が基本的な魔法系統。発現までの操作が複雑になる土→雷の順で魔力消費が多くなる。とはいえ、得手不得手が人にはあるので全てが教科書通りに説明できるわけではない。

 因みに、汎用五属の他に特化五属 (光、闇、時、空間、錬成)とがあり、別枠に回復術、無魔法などがある。


⑥魔術系統:回復術を中心に呪いを解く魔術など、人を癒す魔術全般が白魔術。攻撃的で他者を傷つけられる魔術全般が黒魔術とよばれる。

 術者や被術者に及ぼす影響差が釣り合わなかったり、即死の呪いなどを筆頭に倫理を無視した魔術などは禁術と呼ばれ、使用者や使用資格が管理されている。

 魔術系統の線引きは人間が引くものなのでどうしても曖昧だが、それぞれ魔法系統を跨っているので白も黒も生活魔術として使われている。昨今はどちらもバランスよく扱う赤魔術士とやらが流行っているらしい。


⑦名前 (いみな)と魔術の効きについて:魔術を使う時、相手の魔力に干渉する際に影響するのが「干渉のしやすさの度合い」である。名前を知る程近しい存在である程、与える影響もまた大きい――という概念が元になっている。故に、あだ名呼びが定着している。


⑧血中毒:魔力枯渇により引き起こされる中毒症状をいう。昔は魔力が少ない=血が濃いと思われていた (現在は魔力子と血液が流れる場所は一切混ざっていない事が分かっている)ので、血の中毒と呼ばれている。

血が足りなくなっても魔力が枯渇しても命にかかわるので、重症の枠に入る症状。



<作中魔術編>


①【黒】沈黙サイレンス:中級土系統、呪術式。

 かけられた人は、身体から出る全ての音を相殺され、声を出すこともできなくなる。体外由来の物音は消えない。


②【白】天使の霧アーキリィ・フォグ:中級回復術、再生。

 怪我をしたラエルにドクターが使用した魔術。触れた傷や病理を治療する白い霧。


③【黒】彷徨いの呪ノーセンス・オブディレクション:上級水系統、幻術式。

 「場の呪い」の一種。対象の方向感覚を狂わせる効果がある。


④【白】解呪デスペル:中級回復術、解術式。

 通常は対応する「解術式デスペルコード」が必要になる呪術系を解呪することができる魔術。


⑤【黒】土人形ゴーレム:下級土系統、物質構築式。

 土から人型を作り、操る魔術。人族は土以上の魔法系統を扱えない人も珍しくないため、練習用の魔術としてもよく使用される。


⑥【‐】回線ライン:上級雷系統、通信魔術。

 魔力子を登録した相手と遠隔通話を可能にした魔術。魔法具「回線硝子ラインビードロ」の技術を応用したもので、魔法具を介さず扱える術者は一握り。


⑦【黒】旋風ワールウィンド:中級風系統、破壊術式。

 渦巻く風を生成する。『突風ガスト』程の威力は無い。


⑧【‐】筋交いブレース:中級土系統、物質構築式。

 本編で固定魔術式と呼んでいた魔術の正式名称。強度がある。


⑨【‐】受け流す壁パリング:中級土系統、物質構築式。

 本編で魔術防御壁と呼んでいた魔術の正式名称。強度がある。


⑩【‐】表示式パネル:中級土系統、物質構築式。

 金額が表示されていた例の板。しっかり前準備をすることで、画像や映像を表示できる。強度がある。


⑪【黒】霹靂フルミネート:中級雷系統、破壊式。

 ラエルが落とした雷。一度の発現で術者の保有魔力の半分を使用する為、連発するごとに威力が低下していく。


⑫【黒】炎弾フォイア:下級火系統、破壊式。

 凝縮した炎を撃ち出す魔術。


魔法の無効化マジックキャンセル:ハーミットの無魔法特性。

 あらゆる魔法を解術、無効化する。詳細不明。


⑭【黒】風の爪ウインドクロウ:中級風系統、付与術式。

 真空刃を纏う強化付与術式。


⑮【黒】蜂の針スピア―:中級風系統、破壊式。

 元々は槍術用に開発された魔術。武器に鋭利な魔力刃を形成し、突くと同時に対象を貫く。


対竜種魔術ドラゴンキラー:魔術の種類の一つ。詳細不明。


⑰【‐】指文字フィンガースペリング:下級土系統~中級雷系統、物質構築式。

 生活魔術。指で空中に文字を書く技術で、慣れれば詠唱無しで扱える。魔術発動時に使用する魔法系統によって色が変化する。対応するメモ帳などを使用すると書き取りもできる。


⑱【‐】精神感応テレパス:上級土系統、感応術式。

 先述した『同調リンク』とは違い、術式共有を行っていない他者の思考を読み取る能力。あくまで魔力で繋がった同士の意思疎通になるため、情報の隠匿性が高い。消費魔力量は多め。


⑲【‐】同調リンク:上級土系統、感応術式。

 伝書蝙蝠ノワールが意思疎通の為に服用している術式。言葉を発することができない使い魔に使われることが多い。心象スピーカー。主に、食事の固形飼料に術式を刻むことで発現させる。


⑳【黒】念動テレキネ:下級土系統、念術式。

 生活魔術。手を使わずに物を動かしたりひっぱったりできる魔術で、慣れれば詠唱無しで扱える。上位互換にあたる『心念動サイコク』は魔力を実体化する為、破壊式に分類される。。


㉑【黒】点火アンツ:下級火系統、発現式。

 生活魔術。下級魔術としても最初期に習得する魔術で、慣れれば詠唱無しで扱える。蝋燭につくような火を点けることができる。


㉒【‐】転移術トランスファー:上級空間系統、転移術式。

 魔術で登録した座標へと飛ぶことができる。国から国へ、島から島への移動に使われるが、魔法具発動の魔力量消費が多いので通行料を取られることがほとんどである。個人で扱う場合には、専用の陣を各座標に敷き、保存する必要がある。





<魔法具編>


①檻:ただの檻。外からしか開かない。


②腕枷:特殊な魔力認証で解除できる重たい金属の枷。雷を通す素材だった。


③チラシの広告:魔力を流し込むことで広告が浮かび上がる特殊加工を施した紙。発動に必要な魔力は土魔法の下級未満である為、浮かび上がる像も黄色い。


④鉤爪付き縄梯子:金髪少年の私物。魔力を流すと硬質化し、縄とは思えない強度になる。


⑤カンテラ:上下を金属で挟んだ瓶上の硝子の中に、光や火を付与した物。表面の硝子を擦ると明かりの強さを調整できるものもある。本章に登場したものは魔導王国製。


天使の石セラフィナイトの指輪:ドクターが白魔術の魔力濃度を調節するために薬指に嵌めているもの。


⑦グレードアップした檻:柵の太さが三倍になった。外からしか開かない。


⑧謎の球体:なぞのきゅうたい。使用用途については本編を参照。


⑨パーソナルサンドクラフト:砂上バイク。ヒロイン一家の物は、魔力駆動で蓄電器バッテリー付きだった。


⑩眼鏡:視力矯正の道具。勉強するために目が悪くなった人類の英知の結晶。


⑪首輪:奴隷契約に使用される魔法具。嵌めれば最後、所有者の言いなりとなる。


⑫目覚まし鈴:アラーム替わりに使用する鈴型の魔法具。


⑬魔法瓶:容量以内であれば何であれ収納保管できる瓶。


⑭灰色のケープ:雷魔法耐性が付与されたケープ。魔導王国の役人達が着用していた。


引き出しの箱ドロワーボックス:ドロワーシリーズの1つ。空間魔術の応用で、バッグの内容量を操作することができる。


魔鏡素材マジックミラー:針鼠の目に用いられていた、内側からはクリアに見えるが外側からは内側が伺えない、という便利な素材。元来のデメリットである夜視についても解消されているので、夜でも使用可能。視野はやや狭い。


⑰テント:黒と赤のストライプが目に痛い移動式建築物。布地に付与された魔術は「捕縛転送術式」に見せかけた「捕縛術式カンヅメ」。収縮時には腕に抱えられるサイズまで縮小し、バカでかいキャンディーのような見た目になる。


⑱火鼠の衣:ハーミットが着用している黄土色のコートの正式名称。七つの機能がついているというが、多分七つ以上仕掛けが施されている。


飛空船ペテスタイ・ナウス:魔導王国の魔術技術の結晶。気流を操って空を進む。


⑳魔力封じの札:人売りが商品とする人間に貼りつけていた札。魔力の流れを阻害・吸収する働きがある。何故かラエルの背中にはついていなかった。





<生物・食べ物編>


黒曜馬こくようば:黒い結晶のツノが生えた馬。筋肉質で、走ると普通の馬より早い。六年前の戦争では軍用馬だったが、現在はもっぱら馬車引きとして見かける。


砂魚すなうお:全身を固い砂岩の鱗で覆われた、指の先から肘位までの体長の魚。砂の中を群れで泳いでおり、大きな音を立てると飛び出して向かって来る。体当たりが一番危険。


蝙蝠こうもり:この世界で言う蝙蝠は、逆様にぶら下がるだけではなく、鳥類の様に腕の上などに留まる事もできる。心臓の位置が謎な生物。見た目はフォックスヘッドのオオコウモリ。知能が高く、教えれば人の言葉も介すようになる。


蜘蛛クモ:八目玉に毒牙をもち、腕は人の四倍、足は人の四倍ある。虫。


⑤アプルの実:皮は赤く、内側は黄色い果物。種が中心にある。


⑥バナの実:黄色くて細長い、熟すると皮の表面にシュガースポットが現れる果物。栄養価が高く、満腹度も高い。


⑦コーフィー:黒い飲み物。焙煎した木の実の種を粉上に砕き、お湯で煮出した飲み物。焙煎時に果実味が増すか、苦みが増すかが決まる、シビアな嗜好品でもある。苦みをおさえるためにミルクか砂糖を入れる人が多いが、何も加えないブラック派なるものも存在する。


⑧ミルクと砂糖:みるくとさとう。


⑨ダッグリズリ―:ダッグリズリ―という、黄色くてひらぺったいくちばしがついた、純白の剛毛の熊。


とり:この世界で鳥肉と言えば、空を飛んでいる黒い羽のカムメか、家畜として飼われているサンワドリの肉である。


⑪ハイギョノオウ(怪魚):土の中で冬眠する習性のある、凶暴なお魚。全身を鎧のような鱗で覆っているため、破壊しない限り外部からの攻撃は全て弾く。

 センチュアリッジに現れた個体は口の中から美味しく焼かれた後、魔導王国が回収して美味しく頂きました。


⑫お酒:大量摂取駄目絶対。


⑬栄養剤:大量摂取駄目絶対。





<通貨>


 魔導王国、第三大陸で使用されている通貨はスカーロ (S)硬貨。魚の鱗を意味する「スケイル」という言葉が紆余曲折あって訛り、今の発音になった。

 他には紙幣式のエフ(F)という「葉っぱ」を語源とした通貨がある。主に第四大陸で使用されている。



 詳しい話は今後作中にて。






 次話から新章に入ります。


 2章 就活と動機と魔王と 


 お楽しみに。




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