2・~そして、姉は彼女のコミュ力アップの先生になります~
いつもの、あんたらしく無いよ…
『ヤバい…、また、こんな状況かよ…』
金木葉は考えていた。
どうして、またこんな状況になってしまったのかを…
数日前に彼はおとなりの美女を押し倒すというハプニングを起こしている。
今回も彼は、とある美女と似たようなハプニングを起こしてしまっていた。
しかし、今は前回とシチュエーションが異なっていた。
今回は彼が下、そして、美女が上である。
『クッソ、右腕が痛くて力が入らない。というか、何で、コイツ動かないんだ?』
姿勢を起こそうにも、彼の右腕に鋭い痛みが走り動けない。
しかし、彼の上に跨っている女性はそれを知っているはずなのに、全くそこから動く気配が無かった。
彼の上には、黒髪の美しい美女が跨っていた。
しかも、身につけているのは白のショーツと、肩からかけられている白いバスタオルのみで、ほぼ全裸に近い状態だった。
葉が自分の腹部に視線を移すと彼女のショーツがチラリと見え、彼は慌てて視線を上に上げる。
しかし、視線を上げると今度は彼女の腹部、胸元が視野に入り、彼の顔は赤くなっていった。
肩からかけられたタオルで、胸元の大事な部分は隠れているものの、その姿は非常に扇情的だった。
彼女の肌は白い淡雪の様に美しく、入浴後でもあった為、ほんのり赤みがさしていた。
その滑らかな肌は衣服越しでも感触が伝わるようで、彼女の内股が少し動いて葉の体を締め付ける度に、彼の体温が上がっていった。
彼女の体から発せられる香りも花園にいる様な落ち着く香りがして、目さえ瞑っていれば、ずっとそこにいたいと思わせるほどだった。
『コイツ…、本当に何がしたいんだ?クソッ、何とか動け、俺のか―』
「ねぇ…、葉?」
その声の方へ葉が視線を移すと、
ドキッ…
思わず、彼はときめいてしまった。
普段から葉は彼女の顔が美しい事を知っている。
知っているからこそ、こんな風にときめく事など無いと、そう思っていた。
しかし、今の彼女は普段とは少し、違っていた。
入浴後の水分を含んだ艶がある髪。その毛先から少し垂れる滴がまた、彼女を艶やかに魅せていた。
そして、見慣れた筈の美しい顔はなぜかほんのり頰に赤みがさしており、いつもは彼を迷い無く真っ直ぐ見つめるその目も、今日は少し潤んでトロンとしており、色っぽくなっていた。
しかも、彼女の吐息は普段より荒く、時折辛そうな声も入るため、葉は普段とは全く違う彼女の姿に動揺を隠せなかった。
彼は高鳴る鼓動を抑えるためにはぁ。と溜息を吐いて、心を落ち着かせて、彼女に語りかけた。
「なぁ、マジで、どうした?いつもの、あんたらしく無いよ…」
「姉貴」
そう。彼の体に跨っていた美女は金木葉の実の姉。
容姿端麗、文武両道の秀才であり、
『花園の姫』と呼ばれた人物。
金木華。
その人だった。
「ごめん、葉。んっ…、ちょっと、だけ…。ねッ?」
「ちょっ、マジで何やっているんだ。あんたっ!?うわっ、そんな格好でここで寝るな!」
ドキドキ…と葉の心臓の鼓動がガンガン早くなっていく。
その間に彼と華の距離は近くなっていく。
『ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!こういう時は大体、ラブコメとかではお決まりのあの展開に…』
ガチャ
『あっ、やっぱり…』
その音が聞こえた時に彼は全てを悟った様な顔になり、そして、数分後、彼の意識は、
バチィーン!!
と気持ちの良い音と共に、
どこか遠くへ飛ぶことになる。
おとなりの美女の夢を、俺がプロデュースする事になりました 蜂蜜珈琲 @kansyou_houjicha
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