第36話 聖剣
「グッ!」
「有紀さん……!」
鎧の上をナイフが貫く。
鋼の鎧をただのナイフで貫通させるとかどんな踵落としだよ……。
イヴが心配そうにこちらを見る。
ハハッ、なんでお前が泣きそうになってんだよ……。
「ここだね!」
徹也が能力の発動を行うと、俺の体はおもしが付いたかのように一気に重くなった。
これが第三位の能力か……!
どうにか距離を取ると体は自由を効かせた。
「随分と苦しそうだね。」
「ハッ!苦しい?そう見えるか?」
「あぁ、肩にだいぶ深い傷を与えた。すでに剣を支えるだけでその右手は精一杯なんじゃない?」
「確かにそうだな……でも……俺はまだ一度として能力を発動をしてはいない。」
「!」
この学校生活が始まってから一度としてだ。
今まではすべて身体能力や基礎能力によるものだ。
しかし、俺が真に能力を見せるにはこの『エクスカリバー』による能力の発動をもって真に能力を発動した、と言えるであろう。
「歯ァ食いしばりな。ここからは本気の喧嘩だ。」
剣を構えなおし間合いを取りながら剣先を徹也に向ける。
大輝やイヴのこともある、被害を最小限にとどめながら徹也に最大のダメージを与える。
「我が聖剣エクスカリバーは常勝であり最強の勝利をもたらす剣である!ここに能力の解放をもってそれを証明する!」
剣が眩い光を帯びゆく。
何かを察知したのか徹也は全力で俺のほうへと突っ込んでくるが時すでに遅し、能力の解放は済んだ。
剣の光が徐々に収まってゆくと何も起こらなかった。
「ふ……はつ……?」
光を腕で覆い隠していた大輝とイヴは顔を見合わせるかのようにしたのち、何も起こらなかった剣を見つめた。
「何もなかったようだね!これで君も終わりだ!折角だ、僕も名乗ってあげよう!我が名はニュートン!その叡智をもって世界の真理を知らんとする者なり!」
徹也が手を前に出しながら能力を発動しようとした。
発動しようとしただけであった。
能力は発動されず、前に出した右手だけがただ、そこにあるだけであった。
「どうした?能力は使わないのか?」
「ど……どういうことだ!能力がどうして出ない!」
「この一定領域内にいる人間は、すべて俺の前にて能力を発動することは何人たりとて赦されない。言ったろ?ここからが本気の喧嘩だって。」
「フフフフ……アハハハハハ!君は馬鹿なのかい?先ほど俺と君の身体能力における差は明白だったではないか!」
「自分の力が計られていたってことは考えもしなかったんだな。」
「何を言っているんだい?僕はジェマだぞ?そんなの相手に力量を計るなんてことしていたら負けるに決まっている!」
「哀れだな……自分の力を過信しすぎる人間に未来はない。もう一度言うがお前にこれから先はない。」
目を閉じ、息を吸い、息を止める、流れた時間は数秒にも満たなかっただろうが俺と
その後目を見開くと、徹也の体はバラバラとなり地面に散った。
「え?」
何が起こったのか徹也は理解できていなかっただろう。
俺は剣を床に差し、バラバラとなった徹也が再生を始まる前に頭をつかんだ。
「お前別に不死ではないだろ。自身のすべての機関をある部分に一点集中させること、すなわち『核』となる場所を作りによってそれ以外の部位が消えてもそこに保存された元の記憶を頼りに再生を行う、違うか?」
「そ……それは……!」
「今この状態で俺がお前の核を破壊したらどうなるんだろうな?」
「や……やめてくれ!それだけは……!」
「言ったよな?お前にこれから先はないって。お前イヴのことは当然ながら今回の核作るために何人で人体実験を行ってきたんだろうな?」
俺は徹也がある程度再生したのち、核を破壊した。
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