第35話 人智

「本当かい!?君はかの『アーサー王』だと?これは面白いことになったなぁ!君をとらえて研究材料にさせてもらうよ!」


徹也は笑いながら俺とイヴを交互に指差した。


「何言ってんだ?お前にこれから先などない、一生だ。」


「おいおい……『アーサー王』だと?これは面白いことになったなぁ!君をとらえて研究材料にさせてもらうよ!」


「何言ってんだ?お前にこれから先などない、一生だ。」


「おいおい……俺もお前も同じジェマだ……え?」


徹也は自分の首にナイフが刺さっているのに気づく。

震えた手でそのその首元をそっと撫でたのち、自分の手のひらをまじまじと見る。

真っ赤に染まった手をまじまじとみる。


「血……?」


「もう喋るな。お前の姿はもう二度と見たくない。」


俺はさらにナイフを構えて徹也に投げようと構えると、大輝は自分の首元にあったナイフを引っこ抜いた。

そして笑いながら俺の足元に抜いたナイフを捨てた。

カランカランと音を立て、何度か弾んだのち音は止んだ。


「おいおい、見たくないとかつれないこと言わないでほしいなぁ。」


「お前………!」


奥歯をかみしめながら俺は徹也の方をじっと睨む。

奴の首元にあった血は奴の体に吸収されたのち、傷も修復された。

現代、能力があっても無理とされるものがいくつか存在をしていた。

時間の移動や並行世界への移動など様々なものが合ったうちの一つだ。


「不老不死の完成」


人間として踏み入れてはいけない領域までにこいつはたどり着いてしまった。

そのために内臓はすでに機能を果たしてはおらず、栄養を摂取することも必要なくなる。

はたして、誰がそんな存在を『人間』と呼ぶのだろうか?


「まぁそう睨まないで。それとも君も俺のようになりたかったのかな?」


「不老不死などは絶対に作ることはできないものだ。お前のその治癒能力も一時的なものによるものだ。薬によるものか。」


「だ・か・ら言ってるじゃん。絶対的な不死に君は勝つことはできない。あと80年、僕が君に斬られ続ければ君の負けになるしね。」


「ならば斬って確かめるしかねえな。」


剣を構え、一気に間合いを詰める。

徹也は防ぐそぶりもなかったが俺が上からたたき斬ろうとすると避けた。

そのまま俺は二撃目を下から切り上げる、徹也はその時は間に合わなかったのか、剣が足を断ち切る。

その後すぐに足は再生をした、徹也はその再生した足で腹に蹴りを入れてきた。


足を斬るとそのなくなった時の間合いを考えてしまうのを調整しなくては……。

あいつにはどこを攻撃しても常に五体満足の間合いで動くことが出来る……と。


後ろの方に吹き飛ばされた俺はすぐに姿勢を立て直す、徹也は追撃を入れようと落ちていたナイフを拾いながら低い姿勢で俺のもとに間合いを詰めてくる。

俺はそのまま徹也の手を思いきり蹴り上げる。

その反動で徹也の手にあったナイフが空中に舞う。


「身体能力もだよ。」


徹也は地面をけり上げると、空中で何度も旋回をしながら踵落としをナイフの柄に合わせる。

蹴り上げたばかりの俺にその攻撃に反応する余裕はなく、肩にナイフがそのまま突き刺さる。

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