第28話 話の行方

次の授業が開始してからも俺は考えていた。

最近見たような文字……『関する者』って何のことだ……。

机の中から授業のノートをすべて取り出してすべてのページを見た。

しかし、ぴったしと合うような回答は得られなかった。


「誰かのノートかそれに準ずるものか……。」


適当に関係ないと考えていたものがここで気になりだした。

どうしてあの時は全く興味をそそられなかったというのに今になって気になりだしたのだろうか?

そんな時携帯に一通の通知が来た。


『なんで机の上を散らかしてるんだ?(大輝)』


あぁ、そういうことか。

お前のあの紙切れだったのか……。

俺は『何でもない。シャーペンどこかのノートに挟みっ放しだったの取り出しただけ。』とだけ送ると携帯をマナーモードにした。

大輝が持っていた紙切れの中身は確か……


『解放運動に関する者 R953』


「に関する者」を「ary」と置き換えてみる……ならば解放運動も英語ってことか……。

携帯で「解放運動」を和英辞書で引いてみると「lib」というワードが出てきた。

つまり、この文字を組み合わせると……


「libary」


これでは単語としては成立しない。

ならばこのR953の「R」をどこかに入れればよいということか。


そして一つの単語が出来た。









library図書館









「図書……館……?」


「図書館」というワードがそこには書かれていた。

図書館と言えばイヴがいた場所、そして謎の残る場所であった。

嫌な予感がし始めた。

イギリスとイヴがつながってこの学校の情報を横流ししていた……?

いや、それはない。ならば大輝への依頼は0のはずだからだ。

ならばこの文字の解読か……?

こんな俺でもわかるような暗号をか?

そうしたとき残る答えは一つとなっていた。

大輝にわかるように仕向けられた暗号かつイギリスに関係している。


「イギリスから大輝への調査の内容」


間違いなくこれだ!

調査員はあくまでここに来たのはこの学院の視察などではなかった。

目的は大輝との接触及び指令内容の伝達

裏でつながっていたのは大輝のほうだったか……。



**********



放課後になると俺は図書館へ一目散で向かった。

今日イヴがいるか、なんてことは正直どうでもよかった。

しかしその考えは図書館に着いた俺の頭の中で改められるのであった。


「library 953というのは日本十進分類法で分けられた数字のことか。」


一桁目の9は文学作品

二桁目の5はフランス

三桁目の3は小説を意味している。


すなわちあの指令の内容で書かれていたものは


「フランス文学作品―——小説」


俺はその列をくまなく探していると一つの文学作品を見つけた。

いや、文学作品というよりは伝記というほうが正しい。


「アーサー王伝説」


何故この作品がフランス文学作品にあるのだろうか。

あったとしても英米文学のところだろう。

元に戻そうと本を手に取ったとき謎の感触を受けて本を開いた。

何かが挟まっているような感覚だ、本の端が折られているのかと思った。

開いた時、折りたたまれた紙が落下をした。

その時のページで紹介されていた内容は


「ランスロットの罪」


円卓の騎士長・ランスロット

湖の乙女より賜った剣『アロンダイト』をもってアーサー王に仕えた身であったが、ブリテンの滅亡の原因の一つ、アーサー王の正妻である「グィネヴィア」と不倫をした。

アロンダイトは逃亡の際にガウェインの弟である「ガレス」などを切りつけた時に魔剣と化した。


綺麗に折りたたまれた紙を拾い上げ、開いてみた。

その時の俺はどのような顔をしていたのだろうか。

驚愕、恐怖、興味、様々な感情が渦巻いていたのだろう。

しかし最も強かった思いは


「哀れみ」


だろう。

何せ書かれていたのは




















「ジェマ開発プロジェクトの被験者:イヴ・オルコット」

















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