第20話 調査員
それから事件の展開はかなり早かった。
「すみません授業遅れました!」
とは言っても半ばあきらめの状態であった。
時計を見た時にはすでに授業終了の10分前、着くころには
しかし教室の扉を開けるといつも通りの日常とは違う光景がそこにはあった。l
「何か用スか?」
3人ほどの調査員が教室の後ろの方で待機をしていた。
周りの生徒はもう下校時刻のためとはいえ、教室に誰一人としていないという奇妙な状況であった。
いや、奇妙な状況であったのは調査員による故意的行為であろう。
まだ春で寒いとはいえスーツの上にトレンチコート、深く帽子をかぶった奇妙な3人組であった。
「用があるのは君ではない。その隣にいる『名探偵』のほうだ。」
大輝は自分かことが呼ばれると少し嫌そうな顔をし、そのまま一歩教室に足を踏み入れた。
「別に名探偵でも何でもありません。たまたま適性が
「あまりそこは重要な問題ではない。問題なのはこれから先の話だ。」
3人組は立ったまま防止の中から俺の様子をちらりと見ると、3人で顔を合わせるかのようなしぐさを取った。
「そこの君は席を外してくれないか?」
俺は言われるがままにその場から席を外れようとした。
大輝はその様子をあまり気分が良いものでもなく、ただ、ぶすっとした顔で調査員のほうを見ていた。
「まぁいいっすよ、大輝終わったら連絡頼むわ。」
ただでさえイギリスの面倒ごとを一つ抱えてしまっている今の状況で、これ以上面倒ごとを増やしたくない。
話を聞いた時点でこのことに参加しなければならないという状況ならいっそのこと知らぬ存ぜぬのほうがましだ。
**********
あれから30分ほどの時間が経過していた。
俺はやることもないので図書館で勉強をしたり、本を読んだりなどして時間を潰していた。
「イギリス……ねぇ……。」
自分の英雄と少なからず関係している国ともなるとどうしても気になっている自分がそこにはいた。
そして携帯が軽くバイブレーションしたため俺は教室のほうへと戻っていった。
「話は終わったのか?」
「まぁな、でもあまり興味のそそられる話ではなかったな。」
「そうか、大輝がそうならそうなんじゃないか?」
立ち上がった時大輝のポケットから何か、紙切れのようなものが落ちたのが見えた。
俺はそれを拾い、軽く見てみる本のタイトルのようなものが書いてあった。
『解放運動に関する人 R953』
しかし、後ろにある謎のRと3桁の数字の羅列はよくわからなかった。
「大輝、これ落としたぞ。」
「あ、あぁ……悪いな。」
それを受け取った大輝はまじまじとその紙を見た後、紙切れをポケットにしまった。
「さ!帰りだ帰り!疲れたから早く帰ろうぜ!」
大輝はカラ元気を出してはいたがその背中はこれから何かが起こることを暗示しているかのような哀しさ匂わせていた。
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