第12話 イギリスからの使者
「じゃあ、今日の授業はほとんど寝てても俺には関係ないな。」
「だというと思ったよ。ちなみに今日は化学の小テストだぞ。」
「はぁ!?早く言えよ!」
「だって俺ノー勉でも解けるし。休み時間せっせと勉学に励みたまえ。」
「これだからエリート様は困るぜ、もっと下級戦士のことも考えてくれよな。」
「俺はまだM字に禿げてねえよ!大体、お前前日に伝えたところで勉強しないだろ?」
「あ、確かにそれもそうだな。」
俺は急いで化学の教科書を開くと小テストに向けて必死になって勉強をするのであった。
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「ど……どうにかテストは乗り切ったぞ、見たか……!」
「おう、見た見た。すげーよ、でも最後のここの問題、間違ってるぞ。」
「なん……だと……。」
大輝の手伝いもあって俺はどうにかテストを切り抜けることが出来た。
元々勉強自体は嫌いなのである。
毎回10分に全力を注ぐことによってどうにか乗り越えている。
追い詰められないと必死にならない、自分の悪い癖だ。
「で、問題は次の時間だ……マジで視線すら合わせたくねえよ……。」
「お前のことってバレてるのか?」
「悲しいことに会うのはこれで3回目だ。バレてるじゃなくて後ろ姿見ただけでバレるまである。」
「諦めて解剖されろよ。」
「テスト手伝ってやったやつにかける言葉がそれなのかお前は!?」
確かに……。
とは言ってもどうしようもない。
もしイギリスの調査員とかが
それに単なるジョークだ、軽く流しておけばいいものをどうしてここまで毛嫌いするのだろうか?
「なんかあったのか?」
「お前は生理的に無理な人間っているか?」
「今までそんな奴会ったことはないな。」
「だよな……なんだろうな……こう、背筋がぞわぞわしてくるこの感じ。」
「?????」
正直言ってこいつが何を言っているのか訳が分からないが本気で困っているようだ。
「つまり、お前が生理的に嫌な人間が調査に来るってことだよな?」
「あぁ、自分でも第一印象だけで決めつけるのはいかがなものかと思っているが、最初は違和感があっただけだったが、そいつの『英雄』を聞いた時に最悪だと思ったよ。」
英雄を聞いただけで生理的に嫌になるねぇ……まるでヴォルデモートみたいだな……。
「で?その人はいつ来るんだ?」
「時間通りに来たことは一度としてない人間だからわかr」
大きな「パリーン」という音とともに教室にあった窓ガラスが割れた。
そして外からスーツを着た金髪のいかにも外国人というかのような堀の深く、きれいな蒼い目をした男性が入ってきた。
「やぁミスターダイキ!待たせたね!」
大輝はすでにこの金髪男性から距離を取って威嚇をするかのように睨みつけていた。
しかし男性は冷静に、何事もないかのように近くの席に座った。
いや、そこ俺の席……。
「おやおや、どうしたんだい?」
「自分の胸に手を当ててよく考えてみろ。」
大輝は教室の端から吠えるかのように伝えた。
この仲の悪さはなんなんだ……。
「ふむ……いたって心拍は正常だな。」
「いやそうじゃねえだろ。」
俺がツッコむとその男はちらりと俺を見るとそっけない態度をとったのち、大輝のほうへと向き直った。
「お前のそういうところがいちいち癪に障るなぁ!」
「何を言うか、ライヘンバッハにて一緒に心中した仲ではないか。」
「死にたくて死んだわけじゃねえんだよ!」
あぁ、なるほど。
シャーロックホームズとかなりゆかりの深い英雄だ。
これを英雄と取るかは置いといて、近代の犯罪の歴史においてはかなりの人気度を誇る人物であることは間違いない。
だから生理的に無理と言っていたのか。
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