第34話・気付き始めた想い
先生と話をした翌日のお昼休み、私は教室で早矢香とお弁当を食べながら昨日の事を話した。
「なるほど、まあ今までの話を総合して答えを出すと、それって『好き避け』じゃないかな?」
「スキサケって何?」
「好きだから避けちゃう、それが好き避けだよ、シエラちゃん♪」
「好きなのに避けちゃうの? どうして?」
「どうしてって、例えば好きだから近くに居ると恥ずかしくなるとか、好き過ぎておかしくなりそうだから避けちゃうとか、そんな事だと思うよ? シエラちゃん、先生と居るとモヤモヤして身体が熱くなってくるんでしょ?」
「うん」
「それが先生の事を好き避けしてる証拠だと思うよ?」
「そうなの? それじゃあモヤモヤしてるのも先生が好きだから?」
「んー、それは多分、先生の事が好きなのにそれを自覚してないからモヤモヤしてるんじゃないかな?」
「自覚してないから?」
「ほら、シエラちゃんと先生ってスピード婚でしょ? だからその時には知らなかった先生の一面を見て、それで改めて先生の事を好きになっちゃった――だけどその事に自分で気付いてないからモヤモヤしちゃう――みたいな事なんじゃないかな?」
特定の異性を特別に好きになった事が無い私には、その感覚がよく分からなかった。でも今の私が先生に対して思っている気持ちが特別な好きという感情なのだとしたら、これが悪魔学校でも習った恋心というものなのかもしれない。
「それにしても、まさかシエラちゃんからそんなのろけ話を聞くとは思ってもみなかったなあ」
「のろけ話?」
「うん。だってシエラちゃん、今まで先生の事でそんな話をした事なかったもん。私からすれば不自然なくらいに先生もシエラちゃんも他人行儀だったし」
「そうかな?」
「うん、だから二人がちゃんとラブラブしてるみたいで安心したよ」
「そっか、私は先生の事が好きだったんだ……」
「えー!? 今更それを言っちゃう? まあ相手の知らない一面を見て好きなるってよく聞く話だけど、先生ってシエラちゃんの事を凄く大事にしてるから、シエラちゃんが先生の事をもっと好きになるのも分かるかなぁ」
「……ねえ早矢香、私どうすればいいのかな? どうやったらモヤモヤしなくなるのかな?」
「えっ? そんなの簡単だよ、先生に今の気持ちを伝えればいいだけだから」
「今の気持ちを?」
「そうそう、要するに好きって気持ちを伝えればいいだけだよ♪」
「そっか、好きって言えばいいんだ」
「くう~! シエラちゃんに好かれて羨ましいなぁ先生、私も好かれたい!」
「ん? 私、早矢香の事も好きだよ?」
「おおっと! ここでまさかの告白!? 駄目よシエラちゃん、シエラちゃんには先生が居るんだから――なーんてね! 私もシエラちゃんの事が好きだよー♪」
妙な仕草をしながらそんな事を言ったあと、早矢香は私に飛び付いてギュッと身体を抱き締めた。
「さ、早矢香、苦しい……」
「だってシエラちゃん超可愛いんだもーん♪ もうちょっとだけスリスリさせてー♪」
「う、うん……」
それからしばらくの間、私は早矢香に抱き締められたままいい様にされていたけど、不思議と悪い気はしなかった。
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