第2話 【シニガミさん】とあわれなおうさま
とある国に小さい頃から兄弟たちと比べられてきた王子がいた。
家臣たちは王子様よりもほかの王子様のほうが賢く、勇ましく、相応しいと口々に噂していた。
王子は比べられていることをとても不快に感じた。
王子が自分の部屋に帰ると床を蹴り上げて、自身の思いを吐いては部屋のものに当たり散らした。
自分はなぜに他の兄弟と比べられなければならないのか。
自分の努力は評価されても、誰よりも優秀でなければならないのかと。
そんなある日のことだった。
王子様は王様になった。尊敬された王様が死んでしまったからだ。
王子様はそんな尊敬された王様の代わりとして、家臣達に選ばれた王様になった。
王様はそんな家臣たちに我慢が出来ずに殺してしまった。
殺される前のこと、家臣たちは王様にこの国のために考えた結果のことだと説明した。
王様はそんなことを聞きたいわけではなかった。
ただ一人でも、王様に相応しいと言われたかった。
王様は、自分の努力を認めたうえで言って欲しかっただけあった。
それからというもの、王様は自分の努力を認めてほしいがために、国のためにその人生を捧げた。
「お主が死神か?」
「・・・そうだよ。」
「私はどうかね?」
「・・・なにがだい?」
「私の人生は何かが足りなかった。」
「・・・そうだね、足りなかった。」
「今となっては遅いが、私の子供たちを見れば何が足りないかわかったよ。」
「・・・何が足りなかったんだい?」
「友だ。・・・私の隣で話をする友がいなかった。」
「・・・そうだね。君の元には多くの人はいたが隣にはいなかった。」
「こんな時にならねば気が付けないがね。妻も子供も私を王様として接してくれるが、夫として親としては出会ってから一度も接してはくれなかった。」
「・・・君が気が付けば如何にかなっただろうね。」
「私のことは私がわかる。・・・もう長くないな。」
「・・・・・・あと少しだけだがね。」
「――死神よ、私の友になってはくれないか?」
「・・・あぁ、ああぁ。そんなことを言わずとも、この僅かな時間話した仲であろうとも私たちは友だとも。
・・・だがね、友に死なれてしまうのは悲しいのだよ。・・・王様、あなたは臆病者だ。それを悪くは言わない。だが、君は勇気を出して、それを他の者たちにも言うべきだったよ。
さようなら王様。」
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