十 暮レト明ケ(終)

「――で、背後霊的なポジションになってもらったってこと?」

「まぁそんな感じになるのかな」

あのお屋敷――鬼代邸を出た後も明井さんは俺と行動を共にしている。

大雑把なくくりで言えば幽霊と同じようなものである明井さんの存在は霊感が強い人じゃないと認識できない。

――はずだったのに大学の友人であるあきらの霊感が明井さんを認識できるぐらい強かったという予想外の事実が判明したことで事情を説明――具体的には鬼代邸であった出来事を話す羽目になり、現在に至る。

灼がこういうことを言いふらすタイプじゃないのが不幸中の幸いだ。

「えっと……大丈夫、なんだよね?また呪いのせいで不幸な目に遭ったりとか――」

「しないしない」

たまに弱い悪霊的なものを明井さんが握りつぶす姿を目撃してはそういえばこの人鏡鬼だった、ということを思い出す以外は平和な日常を送っている。

「ところで灼、お前の方はどうだったんだよ?行ってきたんだろ、番鏡山ばんきょうやま

「……うん、話すと長くなるんだけどね……」

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鏡怪談 弐:鏡鬼ノ話 等星シリス @nadohosi

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