赤いローザ

北風 嵐

第1話 いま何故彼女なのか?

近代から現代にかけて、歴史でわたしが一番興味を持つところは、第1次世界大戦からロシア革命、失敗した革命・ドイツ革命を経てナチスが登場するまで、結果、第2次大戦に至る。まさに、『戦争と革命』の時代であった。ノートを取る感覚で、このタイトルでこの時代を書いた。https://kakuyomu.jp/works/1177354054889754047

その中で彼女について書いたところを抜粋してみる。


戦争というタイトルで、

「極東に血が流れる。ツァー政府(ロシア)の犯罪的政策によって、ロシアと日本の間に戦争がひきおこされたのだ。二つの国のはたらく人民は、ツァーと日本資本主義の繁栄のために、互いに殺し合わねばならぬ。世界中のプロレタリアもブルジョワも、不安のまなざしで、戦争のなりゆきを追っている。これはロシアと日本だけの問題ではないのだ。世界資本主義の運命とツァー方式の絶対主義の運命がかかっているのである」と、出だしでローザはこう書いている。


二つの国の戦争とは日露戦争(1904年・明治37年)のことである。

「現在の世界の情勢の中では、二つの国の間のどんな戦争でも、利害をことにする全ての列強の武力衝突に転化し、全面的な流血を引き起こす危険がある・・資本主義の野望の特別の対象となったのは、特に巨大な自然の資源と5億の住民を持つアジアであり、アジアの中でもとりわけ中国であった」

ツァー政府が日本と戦っているのは、中国を手に入れるためであると断言し、この戦争はおそかれはやかれ、資本主義世界全体を渦中に巻き込む危険があると、すでに来るべき世界戦争を予見している。


「たとい、どのような結果になろうとも、この戦争は必ずツァーリズムの埋葬に行きつく」とし、「相手にする日本は、4千5百万人の人口を持ち、国力と生命力に充ちた国、すでに多くを学び取り、近代的な十分に武装された軍隊を持ち、この武力を十分に使いこなせる国である」と、ロシアの敗北を予測している。それによってもたらされる混乱を革命に転嫁せよ!と激を飛ばし、そして、ロシアにおける革命は必ず、ロシアより資本主義が発達しているが、やはり皇帝の絶対主義の尻尾を持つドイツに革命的な状況を作り出すであろうと…


ロシア革命を予測し、ドイツの来るべき状態を予見し、労働者・農民が兵士となって殺し合う戦争、帝国主義戦争はプロレタリアートの革命的な連帯によってしか防げないと、彼女は考える。


揺るぎない絶対平和への信念と、時代を見通すその予見力にわたしは魅了されるのである。


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