第19話エピローグ


黄金獅子王の女王・ライオ。

この俺だ。

しがないギルドに所属する冒険者だったのが、依頼に失敗し、致命傷を喰らって黄金獅子王という最上位生物に転生したのだ。その王の娘。王女に。

そこから女王になった俺は右腕の智将・ラーバルオに支えられて天下統一の覇業を果たした。

ラーバルオは俺を支えてくれた。女性になっていた俺ではあるが、ラーバルオは少しの下心も見せずに臣下として支えてくれた。

魔王傘下の一勢力であった黄金獅子王族は魔王軍に反旗を翻し、魔王軍を倒し、人間の軍も倒して天下を統一した。

天下統一の覇業が成され、全ての臣下・兵・民を招き大規模な祝祭を行った。

そこで俺の意識は途絶えた。

そして、気が付けば黄金獅子ライオに転生する前の人間に戻っていた。

普通の人間だ。安物の革鎧が懐かしさを覚える。黄金獅子王に比べれば脆弱過ぎる肉体。人間。しかし、四本足ではない。二本の足で歩ける人間である。

俺は最初、何がなんだか分からなかった。

ただ、自分が人間に戻ったことを認識すると歓喜の声を上げてしまった。人間の体なのだ。なんだかんだで戻りたかった人間の体である。

人目もはばからず、さんざんにはしゃいだ後、俺は町に帰って、新たな人生を送った。

町ではいきなり美少女と出逢った。運命の出会いとお互い認識した出会いだ。黄金獅子の頃に俺を頼りにしてきた白銀獅子王の女性に近い雰囲気を持った少女だった。

彼女の転生か何かかもしれない。

その少女とはいきなり同じ家に住むことになった。そこからの俺の冒険者稼業を彼女は支えてくれた。結婚しようとすぐに思ったが、他に俺を支える女性たちとの出逢いにも恵まれたこと。まだ貧困の中であることから結婚は後に置いておくことにした。

それから俺は何故か大成功した。黄金獅子王として天下統一を果たした功績を評価されてか次々にいい依頼が入って来て、俺は巨万の富を得た。

冒険者稼業など辞めて商売に手を出し、俺を会長とした一大商社が誕生するのにそんなに時間はかからなかった。

商社を支えてくれる有能な人材にも恵まれ、内縁の妻と堂々と結婚式を挙げた。最初に会った白銀獅子王の生まれ変わりかもしれない女性とは別の女性だ。

大成功の人生であった。

これも黄金獅子王として天下統一を果たし世界平和に貢献した功績を評価されてのことかもしれない。妻は一人でなくともよいのでは、と商社の副社長の進言に従い、側室を二人持つことにもした。

俺は人間として正室の妻や側室の妻二人。商社の仲間たちと共に幸せいっぱいの日々を送ることになるのだった。


`・


 黄金獅子王ライオは突如として姿を消した。しかし、その後も統一帝国はラーバルオを皇帝として治まり、千年に渡り繁栄するのだった。

 黄金獅子王ライオもきちんとした人間に戻り、幸せに暮らした。これはそんな天下取りの物語である。



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異世界のチート最上位魔物・黄金獅子王一族の女王に転生したんだが 一(はじめ) @kazumihajime

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