《星空1000PV記念!》異説・白雪姫(後編)
森を掻き分け、
「不味いな……早く水だけでも見つけないと……ん?」
ふと見ると、前方にひらけた空間が見えます。そしてそこには、一件の小屋が立っていたのです。
「こんな森の中に小屋? 少し怪しいが……贅沢は言ってられないな」
疲れ切った足を動かし、
「すまない。あんたはここの住人か?」
「ああ。こんな森の中でどうしたんだい?」
「すまないが、水を貰えないだろうか。出来れば二人分」
「連れがいるのかい?」
「ああ。今は離れたところで休ませてる」
「そりゃ大変だ! すぐに行こう、案内しておくれ!」
二人の事情を聞いた
――しかし。運命は決して、二人を放って置いてはくれなかったのです――。
ある日の事です。その日は小屋にいるのは
「あれ?」
突然ノックの音が聞こえて、
「どなたですか?」
「リンゴ売りの行商デェス♪ 開けて下サァイ♪」
その声に
「カワイイお嬢さん♪ おいしーいリンゴはいかが?」
「うーん、食べたいけど私、お金持ってないよ」
「ならお近づきのシルシに一つサービスしてアゲル♪」
そう言って、女の子がリンゴを一つ取り出して差し出します。しかし
「ううん、いいよ」
「どうしてぇ? すっごーい美味しいリンゴなんだよぉ?」
「一緒に住んでる人達が頑張ってるのに、私一人だけリンゴを食べるなんてズルいもん。だから貰えない」
女の子はそれを聞くと、強く歯軋りをします。そしてリンゴの山の下に隠してあったナイフを取り出し、
「だったら直接殺してアゲル! 死ね、
「あなた……
そう、女の子の正体は
「止めて!
「アンタがいなくなれば……ビビアンが世界で一番カワイくなるんだからあっ!」
そして逃げ場をなくした
「
その声と、何か固い物同士がぶつかる音と共に、
「
「急に胸騒ぎがしたから、急いで戻ってきたんだ。まさか
怪我一つない
「……もういいよ、
「何を馬鹿な事を……」
「
「俺が守る」
「
「お前の事は一生、俺が守り抜く。絶対に」
そのまま二人は、静かに見つめ合います。やがて、
「私にも、身を守る方法を教えて」
「え?」
「守られるだけでいたくないの。堂々と、
驚いたように、
「……そうだな。二人助け合って、生きていこう。ずっと」
「うん!」
二人は今ここに、確かな誓いを交わしあったのでした。
――そして、数年後。
「さあ悪党、大人しく観念しなさい!」
眼前に突きつけられた銃に、髭面の男は怯えます。男の前に立っているのは、スラリとした肢体と艶やかな黒い髪、そして雪のように白い肌が特徴的な美女。
「あ、あれだけの人数がたった二人に……まさか……まさかお前らが……」
美女の後ろに立つのは、砂色の髪の青年。そして男は泣きながら、その名前を呼びました。
「お前らが最強と名高い二人組の賞金稼ぎ……『スノーホワイト』!?」
「正解! どうする? 大人しく出頭する?」
美女、いえ、
むかしむかしの物語。継母に、命を狙われた白雪姫。
けれど白雪姫は自らを守る力を身に付け、本当に愛する人といつまでも幸せに暮らしたそうな――。
「……で、この
ない。
「ちょっと待て!?」
おそまつ。
fin
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