アブスタール、開眼す ~後~
「――美味い」
『だろ?なんだってうちは――
「追加、200本。銀貨2枚だろう?」
『お客さんまじですか…!?』
「あぁ。頼む。」
そうして新たな美味を発見し上機嫌になりながらパークスを探して行くアブだった。
「あれが訓練場じゃないのか?」
大きな石レンガ造りの壁に囲まれた建物。
こんな格好をした施設だ。訓練場しかありえない。
そしてその真ん中にいる……え?
赤い長髪をポニーテールにし、使い込んだ鎧を着ている人がいる。
あれは女の人か?いかにもな格好をしているから隊長だとは思うが、まさか女性とは。
「君がマルクスさんとこのアブ君とかいう子かな?」
「えぇ、呼び出されたので捻りに来ました。悪く思わないでくださいね?」
「強気なんだねぇ〜、じゃ、隊長の威厳にかけて負ける訳には行かないね?」
『で、では、両者構え!』
少し目力をかけた隊長に怯んだのか、早く終わらせてほしそうな顔をした自警団の1人が剣を投げ渡し、構えの合図を言い渡す。
互いに渡された木剣を構え睨み合う。
これだけでもかなりの威圧感だ。
「へぇ〜結構威圧かけたはずなんだけどなぁ、耐えちゃうか」
やはりか。これは少し精神を鍛えたぐらいで使えるものでは無い。
目に魔力を込めることによって使えるのだが、元の武力に比例して威圧の力も強くなる。
相当な腕の持ち主なのは確かだ。
『初め!』
その合図と共に攻める。
とっとと終わらせなければならない。
即座に背後に周り決めようとするも―
「無駄っ!」
――カキイィィィンッ
互いに魔力を込めた木剣故か、似つかわしくない音が鳴り響く。
「ていっ!」
アブの見せた一瞬の隙にすかさず一撃を叩き込もうと突き出してくる。
「【
ユリーナ姉さんとの戦いで蹴りをつけた転移からの一撃をお見舞いしようと背後に移る。
そして剣を振りかざすと、さっきまでそこにいたはずのパークスさんは、霧となって居なくなっていた。
「ふふ、驚いた?これが私の固有魔力、
【
自身の体や、その1部を幻影にすることが出来るの。触れられると霧散しちゃうんだけどね。」
「そういう事か……なら!」
そうと分かれば対処するのは簡単だ。
「よそ見してていいのか――え?」
「【
その瞬間霧となっていたパークスさんの姿が現れアブの突き出した剣が1本をとった。
「そちらこそ、戦いの最中にお話なんて、相当余裕なんでしょうね?」
「そんな、なんで?」
「魔力強制解除、相手の魔力行使を不可能にする術ですよ、油断しましたね」
パークスさんが膝かわ崩れ落ちる
「これでお仕事は終わりか。
とっとと帰って串焼きを食べなくては。」
隊長はこの村で敵う者がいないほど強い。
それを知らなかったアヴィは村人の間で伝説を作っていることなど知るよしもなかった。
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